本作に封入されているのは、イングヴェイ2回目(ソロでは1回目)のジャパン・ツアーの初日、「1985年1月22日・大阪厚生年金会館公演」。まさにソロの日本1本目のライヴです。録音者本人から直接受け取ったカセットをダイレクトにデジタル化した、完全オリジナル・マスターのライヴ盤です。そのサウンドは、マスター・ダイレクトだからこその鮮度が鮮烈で、客席録音ならではの生々しさに溢れている。低音も効いたビッグ・サウンドで迫力も満点。あまりの迫力に、ドラムのアタックが強いパートで入力過多のビビりもあったりします(現場の出音も関係しているようです)が、ギターはもちろんのこと、ジェフ・スコット・ソートのハイノートも綺麗に伸び、各楽器の分離もばっちりです。ショウは「CHASING YNGWIE」と違い、オジーでお馴染みの「Carmina Burana」からスタート。ここからもう、高音質ぶりがしっかりと分かります。そして、ワンコードの轟音から間髪入れずスタートする「I’ll See The Light Tonight」の迫力は鳥肌モノです。その迫力のまま、ショウは最後の最後まで突っ走る。「CHASING YNGWIE」では観られなかった「Caught In The Middle」「Little Savage」「Keyboards Solo」「Kojo No Tsuki」「Now Your Ships Are Burned」も完全収録です。特に「Caught In The Middle」や「Now Your Ships Are Burned」のレア度には目眩がしそう!さらに「CHASING YNGWIE」と違うのは、客席録音だからこそのドキュメンタリー。「CHASING YNGWIE」も生々しさ抜群でしたが、ピッキングもしてない映像なのにバッキングが鳴っているシーン(映像がなければ分からないほど凄まじい演奏なのが、またイングヴェイの凄いところなのですが)では「あれ?」となってしまいましたが、本作は本生100%。「As Above, So Below」ではテクニカルな問題が発生したのか、すぐにスタートできずに間が空いてしまったり、「Anguish And Fear」ではドラムソロに入ってもジェフがそのまま歌ってしまったり。そんなトラブルでさえ、パーフェクトに押さえきっています。そして、本生100%であってもなお、圧倒的なライヴに改めて驚きます。正確無比ながら燃え上がる情熱を感じさせるイングヴェイの凄さは語り尽くされていますが、ジェフのヴォーカルも同じくらいに凄い。1stアルバム「RISING FORCE」では、オーディションの試しテイクをそのまま使われ、2nd「MARCHING OUT」では籠もったサウンドで本領が伝わりづらかったジェフ。しかし、本作から聞こえる彼は、ライヴであるにも関わらず、伸びに伸びるハイノートを轟かせ、ハスキーな声質で熱く熱く歌い込む。特に「Now Your Ships Are Burned」での歌唱は、オーディション・テイクでしかなかったスタジオ・アルバムを遙かに超えて表情豊かです。イングヴェイに「様式美」を求める日本では、後任のマーク・ボールズこそが「イングヴェイ史上ナンバー1シンガー」と名高いところですが、様式美フレーズをメタリックに仕上げた「MARCHING OUT」の名曲群の本領を表現できるのは、やはりジェフ。これでソウルフルなバックグラウンドが映えるバラードの1曲でもあったら「イングヴェイのシンガーは機械的で味がない」などという誤解もされなかったと思うのですが……。何はともあれ、この後”ビッグ・イン・ジャパン”として長年君臨するイングヴェイの記念すべき日本ソロ1発目。それをベスト・サウンドで収めきった本作は、まさにイングヴェイ音源史上の記念碑です。
Live at Koseinenkin Hall, Osaka, Japan 22nd January 1985
Disc 1
1. Carl Orff “Carmina Burana” 2. I’ll See The Light Tonight 3. Caught In The Middle 4. As Above, So Below 5. Don’t Let It End 6. Far Beyond The Sun 7. On The Run Again 8. Black Star 9. Icarus’ Dream Suite Opus 4 10. I Am A Viking
Disc 2
1. Anguish And Fear 2. Drums Solo 3. Little Savage 4. Keyboards Solo 5. Kree Nakoorie 6. Guitar Solo 7. Disciples Of Hell 8. Kojo No Tsuki 9. Now Your Ships Are Burned 10. Jet To Jet
Yngwie Malmsteen – Guitar Jeff Scott Soto – Vocal Jens Johansson – Keyboards Marcel Jacob – Bass Anders Johansson – Drums