
コージー・パウエルを迎えて、サバスが新たな時代を迎えた「HEADLESS CROSS」において、バンドはアメリカでの巻き返しも狙っていました。5月31日のニューヨーク・ポキプシー公演から始まった北米ツアーは、当初7月中旬まで、40公演近くがブッキングされており、本来ならば「BORN AGAIN」ツアー以来の規模となるはずでした。しかし実際には、レコード会社やマネージメントの支援が不十分で、アルバムやツアーの告知すら満足に行われていなかったようです(コージーもその事に不満を持っていたとの事)。その結果ライヴ会場での集客はもうひとつで、6月14日のオハイオ州クリーヴランド公演(「HEADLESS IN AGORA」に収録)を最後に、アメリカツアーそのものが打ち切られてしまうのです。しかしライヴの中身が悪かったかというと、そんな事は全く無く、むしろ心機一転したバンドのパフォーマンスは素晴らしいものがありました。本作「CALL OF THE WILD IN NORFOLK」でも、その一端を垣間見られるでしょう。本作に収録された6月6日,ノーフォーク公演はツアー開始から5公演目。直前のライヴでは、Power Gateレーベルの「CALL OF THE WILD」に収録されたコロンビア公演が、優良なオーディエンス録音で知られています。本作はその既発にも劣らない、良質なサウンドでライヴの模様を捉えています。素材の鮮度は高く、演奏の輪郭や細部も明瞭に掴めるのは嬉しいポイント。場面によっては若干テーパーの周囲が騒がしいのですが、バランスやダイレクト感も優良そのもの。ライヴの模様を聴き易いサウンドで楽しめます(ピッチも正常にアジャストされています)。ライヴの幕開けを飾る「Headless Cross」から、アイオミとコージーのプレイが太く、リアルな音色で迫ります(マーティンのヴォーカルもくっきりとした実在感で突き抜ける)! ロニー時代の「Neon Knights」と「Children Of The Sea」は、コージーの存在が曲を一回りも二回りも大きくしている。マーティンの歌唱はいずれの曲でも瑞々しく伸びやかで、しかもパワフル。サバスが最もメロディアスだったこの当時の演奏は、センスと知性に裏付けられた威厳に満ちています。オジー時代はもちろんロニー時代とも違ったこの個性が、マーティン時代の特徴でしょう。本作の大きな聴き所は「Call Of The Wild」でしょう。同曲の演奏が確認されているのは6月9日のフィラデルフィア公演までで、合計5公演分しか音源が存在していません。その中でも本音源は、音の聴き易さや迫力において、間違いなく上位と言えるテイクです。さらに同曲から「The Mob Rules」が続く展開、ライヴ中盤(本作ではディスク2の冒頭)に配置された「Die Young」など、ツアー初期ならではのセットリストも、マニア心をくすぐるものがあります。ライヴ後半は「Black Sabbath」,「Iron Man」そして「Children Of The Grave」といったオジー時代のクラシックに、新曲「Devil & Daughter」や、マーティン・サバス式の「Heaven And Hell」がブレンドされた絶品の展開。オジー時代とロニー時代における「絶対の選曲」へ、「HEADLESS CROSS」からの新曲が絶妙に織り交ぜられた構成は、多くのサバス・マニアを等しく満足させるでしょう!円熟の演奏を聴かせる、ツアー後期の代表作「Definitive Vienna 1989」に対し、ツアー初期の勢いある演奏とレアなセットリストを、良質なオーディエンス・マスターで収めた本作。双方を併せて楽しむ事で、ファンはサバスの'89年ライヴをより深く理解できるはず。
Live at The Boathouse, Norfolk, VA. USA 6th June 1989 TRULY AMAZING SOUND
Disc 1(44:17)
1. Ave Satani 2. The Gates Of Hell 3. Headless Cross 4. Neon Knights 5. Children Of The Sea 6. Call Of The Wild 7. The Mob Rules 8. When Death Calls 9. War Pigs
Disc 2(43:37)
1. Die Young 2. Black Sabbath 3. Devil & Daughter 4. Iron Man 5. Children Of The Grave 6. Heaven And Hell 7. Paranoid/Heaven And Hell(reprise)
Tony Iommi - Guitar Tony Martin - Vocal Cozy Powell - Drums Neil Murray - Bass Geoff Nicholls - Keyboards