
※インフォはVol.1・2共通です。ビートルズが解散し、各メンバーのソロ活動もすっかり軌道に乗ってそれぞれがヒットチャートを賑わすことすら当たり前となった1972年、BBCラジオが画期的な番組を作りました。それが1960年代の象徴と言っても過言ではないビートルズの軌跡を振り返る長編ラジオ・プログラム、それが「THE BEATLES STORY」。アメリカのキャピトル盤でも同名のアルバムがリリースされていましたが、それが1964年に吹き荒れたビートルズ旋風を題材としていたのに対し、こちらは彼らのデビュー前から解散、さらに1972年までの時点における解散後のソロ活動にまで触れたもの。よって番組は13回のエピソードに分かれたプログラムとして毎週放送されました。翌年には赤盤と青盤がリリースされてビートルズに対する回顧的な機運が加速するのですが、そのきっかけとも言える放送がこの番組でしょう。後に番組の放送用原盤を丸ごとコピーし、しかもデラックスなパッケージに包まれたボックスセットという副産物が生み出されることになりました。むしろマニアの方であれば、このセットの存在によって覚えている方が多いかもしれません。実際にオークションなどに高額で出品されていることもあります。むしろ、そのようなアイテムのせいで、存在は知っていても番組を聞いたことがない、というマニアも少なくなかったのではないでしょうか。現在では1972年から73年にかけて放送されたイギリス、アメリカそれぞれの放送バージョンがマスター・リールから収録された最高の音質でネット上に広まっています。何と便利な時代なのでしょうか。あの高価なセットに指をくわえていなくとも、簡単に長編番組が聞けてしまうのです。その一方で、この番組が日本のラジオ局でも放送されていたという事実を覚えている人は少ないのでは。わが国でも1972年の秋から連続で放送されていたのですが、何しろ元が長編ですので、それをエアチェックしていたという方も多くはなかった。むしろマニアでも「当時放送された」事実だけを知っていた人が多いのではないか。驚いたことに、今年に入ってその放送を毎回録音したというマニアが現れました。おまけに録音ソフトはリール・テープ。まだカセットが普及し切る前の時期ということで、より情報量に長けたリールで録音されたテープ、さらにそれを収めたボックスには圧倒されてしまいました。それは正に歴史の記録と呼ぶに相応しい。そして各回を一本のリールに録音していたのですから、そのボリュームたるや。そのリリースに当たっては、あの伝説的なLPボックスのパッケージをリスペクトした形のデザインでボックスを制作。そのパッケージだけでもマニアをニヤリとさせてしまうこと請け合い。また放送をエアチェックしたリール・テープではありますが、経年によってピッチが正確な場合と番組の途中でピッチが変わるといった問題が散見されました。それに加えて原盤の時点からピッチが高い箇所などもある。例を挙げればDisc-6のエピソード「栄光のビートルズ」において「Help!」が生み出されたエピソードを語るポールの声の甲高さ。あるいはDisc-3の「ビートルズ、ヒットパレードを荒らしまわり海外へ進出」で流された「Love Me Do」のように、日本放送時、あるいは録音時にピッチが上がってしまった場合もありました。そこでこうした箇所をピンポイントでアジャスト。また番組の内容全体が非常に面白いのが流石のBBC制作。この時点で入手できたインタビュー、さらには番組の為に取材を受けた関係者の証言などによって、今なお驚かされるエピソードがいくつも登場します。例えばDisc-2の「レコード・デビュー」においてビートルズが初めてスーツを着てキャバーン・クラブに上がった夜のこと。あるいはDisc-8の「ビートルズ幻想の世界」において、昨年リリース50周年ということで話題を呼んだ「SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND」にまつわる面白いエピソードが続出。ポールの「When I’m Sixty-four」がデビュー前からの曲で、アンプが壊れた時に好んで演奏していたという有名なエピソードをジョンが証言してみせる。それでいてアルバムを彼が「その時はゴキゲンなアイディアだと思ったけど、今聞いてみるとどうってことないんだね」と言った具合に作者自分で一刀両断してしまうのだから爆笑。つまり現在の「BEATLES ANTHOLOGY」でも聞かれない逸話が随所に登場する。ところがビートルズの活動末期が近づいてくると、まだ解散からそれほど時期が立っていない生々しさがあったからか、グループ間の不和に関しては描写が曖昧になっていきます。現在では常識となっているようないきさつなどが意外なほど登場しないし、Disc-10「ハロー・グッバイからカム・トゥゲザーまで」などではゲット・バック・セッションで起きた問題などがほとんど触れられません。この辺りは致し方ないことかと。そして驚かされるのは、番組内で公開されたレア音源がことごとく当時音盤化されていたということではないでしょうか。まずDisc-1「リバプール・サウンドの誕生」において抜粋が紹介されたBBCライブ音源「Lucille」と「I Forgot To Remember To Forget」はどちらも不完全な状態だったにもかかわらず、70年代を通してさまざまなアイテムに転用されていたものです。もちろんこれら二曲のピッチもアジャスト。意外なところではDisc-12「四人のソロ活動」でジョンがポールの「Too Many People」の歌詞を口ずさむところもここが出所であり、「NOW HEAR THIS SONG OF MINE: RAM OUTTAKES」の最後に収録されたのも記憶に新しい。そして本プログラムの中に唯一フィーチャーされたライブ音源である1963年のスウェーデン公演。その中でもDisc-3で聞かれる「You've Really Got A Hold On Me」は途中からスタジオテイクに切り替わるという不思議な編集がほどこされているのです。これもまた「SPICY BEATLE SONGS」など多くのLPに収録された有名編集バージョン。その大本がまさかのBBC放送の中にあったとは。そのことからも解るように、本番組における最大の弱点はライブ音源が皆無に等しいということでしょう。1964年以降の人気が爆発した時期のライブ音源をBBCが所有していなかったということも考えらえます。それがイギリスやアメリカであればストーリーとインタビューで構成できる訳ですが、当時の日本でこれはちょっと厳しい。そこで日本放送時には独自にライブ音源が付け加えられていた事が今回判明しました。それはDisc-5「ビートルズ世界制覇」において。ここで「エド・サリヴァン・ショーの模様です」と紹介されて「Twist And Shout」のライブ・バージョンが流されるのですが、これが何と65年のシェア・スタジアムの演奏。ここでも確かにサリヴァンの紹介から始まるのですが、実は全然違うライブだったという(笑)。日本放送時の制作者のビートルズに対する知識など、この程度のものだったのでしょう。おまけに当時売られていたタイトル(「LAST LIVE SHOW」辺りか?)を流用したと思われる音質。かなり残念な結果となってしまったのですが、あまりのライブ音源の少なさに業を煮やして独自に付け加えたという判断自体は悪くないですよね。他にも日本放送バージョンならではのユニークな点がたくさんあります。コマーシャルの前後で登場する、ビートルズの各曲をモチーフとしたインストゥルメンタルのジングル。あるいは毎回登場するステレオ・コマーシャル(ファースト・ラブ〜♪)の時代を感じさせる内容。昭和ボキャブラリー全開でビートルズらしかぬ口調の連続なのですが、その割にジョンの物にこだわらない性格や話しっぷりが上手く伝わってくるのが愉快。特にビートルズ末期や解散後の日本語ナレーションにおけるジョンの証言は傑作です。日本放送版は我が国のAMラジオで放送されましたので、音質は当然モノラルでいかにもAMっぽい質感。現在手に入るイギリス放送版、さらに解散後のパートを大幅にカットしたアメリカ放送版のステレオ音質にはかなわない。だがしかし、今回の音質こそ、我々があの頃当たり前のように聞いていたラジオの音そのもの。これが懐かしさいっぱいなのです。あるいは「THE BEATLES STORY」のモノ・ミックスという解釈も可能かと。そして何よりも、日本語ナレーションによって海外版とは比べ物にならないほどに番組の内容が味わえるというポイントが大きすぎます。いくら歴史的な番組でも長編の英語ナレーションを延々と聞き続けるのは我々にとってハードルが高い。それがこんなに楽しめてしまうのもマニアには衝撃でしょう。まだインターネットやスマホもなく、誰もがラジオをじっくり聞き込んだあの時代。単にビートルズのヒストリー・プログラムというだけにとどまらず、昭和の日本ならではの懐かしく、のどかな時代にタイムスリップできてしまう逸品が衝撃のリリース!
Disc 1(57:05)
Vol. 7 When The Touring Had To Stop ビートルズ最後の公演旅行 Broadcast Date: 25th November 1972 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Segment 4 10. CM 11. Outro.
Disc 2(56:46)
Vol. 8 The Psychedelic Chapter ビートルズ 幻想の世界 Broadcast Date: 2nd December 1972 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Outro.
Disc 3(57:12)
Vol. 9 Meditation And Corporation ビートルズ 我が道を行く Broadcast Date: 9th December 1972 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Outro.
Disc 4(57:15)
Vol. 10 Hello, Goodbye Or Come Together ハロー・グッドバイからカム・トゥゲザーまで Broadcast Date: 16th December 1972 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Outro.
Disc 5(57:05)
Vol. 11 The End Of The Beatles ビートルズの解散 Broadcast Date: 23rd December 1972 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Outro.
Disc 6(56:52)
Vol. 12 The John, Paul, George And Ringo Show ビートルズ4人のソロ活動 Broadcast Date: 30th December 1972 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Outro.
Disc 7(57:14)
Vol. 13 John, Paul, George And Ringo Today 1972年夏までの4人Broadcast Date: 6th January 1973 1. Intro. 2. CM 3. Segment 1 4. CM 5. Segment 2 6. CM 7. Segment 3 8. CM 9. Outro.