
その昔、ビートルズには「HOT AS SUN」という幻のアルバムがあったという説がまことしやかに語り継がれていました。曰く「LET IT BE」と「ABBEY ROAD」の合間で作られたが、マスターテープが盗まれた挙句、アップルが取り返した際に通関時のX線検査でテープの音が消されてしまったというもの。これはアメリカのローリング・ストーン誌に「幻のビートルズのアルバム」として掲載されたものであり、そうした雑誌からのエピソードということから、日本で発行された研究誌などにも転載されていたものです。そのせいで実際に幻のアルバムが存在するのではとマニアも想像を膨らませていたものでした。それも今となってはツッコミどころ満載のガセネタでしかなく、そもそも先に挙げた二枚のアルバムの合間で別のアルバムが存在したということ自体が無理な話でした。ホワイト・アルバムの制作に半年かけた後で、1969年には同じ期間に三枚もアルバムが作られただなんて!それでもある程度は信憑性を持って語られた時期があったのは、今ほど情報が豊かでない時代ならではの都市伝説だったのかもしれません。今ではウィキペディアにも同アルバムに関するエピソードがまとめられているほど。いずれにせよビートルズのレコーディング・データの詳細などが明らかになってからはマニアの間でもまったく話題に上ることのなくなったガセネタだったのですが、21世紀に入ってさまざまなビートルズのレア音源が出揃った中、この捏造アルバムを再現しようとしたマニアがいました。中身はゲットバック・セッションとキンファウンス・デモでまとめあげられた…とだけ言えば、マニアでなくとも後はもう十分でしょう。捏造記事の中に含まれていた架空の楽曲「I Should Like To Live Up A Tree」に関しては、ゲットバック・セッションで「One After 909」の合間に演奏されたジャムをこじつけて収録。もう一つのうそこソング「Zero Is Just Another Even Number」に関してもゲットバック・セッションにおけるジョージ一時脱退時のジャムから流用していますが、いよいよ曲名とは関連性がありません(笑)。要するに捏造アルバムの伝説に応えてマニアが作った妄想アルバム、という訳なんですね。ただし音質を統一すべくほどこされたイコライズがなかなかの仕上がりで、複数の音源を組み合わせた違和感なく聞き通せる点が意外な驚きかと。オールド・マニアなら笑ってしまうかも! (27:27)
1. Maxwell's Silver Hammer 2. Don't Let Me Down 3. Hot As Sun 4. Junk 5. Polythene Pam 6. Octopus's Garden 7. I Should Like To Live Up A Tree 8. Zero Is Just Another Even Number 9. What's The News Mary Jane 10. Dirty Old Man (Mean Mr. Mustard)
11. Proud As You Are (Madman) 12. Watching Rainbows