“90年代最強のYES”の極上ステレオサウンドボード・アルバムが登場です。いきなり勝手に最強認定して恐縮ですが、そうとしか思えないテクニカル・ラインナップとはビリー・シャーウッド&イゴール・コロシェフ在籍時代。単に演奏技術なだけでなく、90年代の最高傑作とも言われる『THE LADDER』を生み出した“6人編成YES”です。本作は、歴史的にも珍しい6人時代に行われた“THE LADDER TOUR 1999-2000”の決定的ライヴアルバム。「1999年12月11日ボストン公演」の流出サウンドボード音源です。良い機会ですので、ここで“THE LADDER TOUR 1999-2000”の全体像から振り返ってみましょう。
・1999年9月6日-24日:中南米(9公演)・1999年10月15日-12月13日:北米(43公演)←★ココ★ ・2000年2月6日-3月25日:欧州(31公演)
以上、全83公演でした。本作に収められているボストン公演は「北米レッグ」の最終盤、ちょうど50公演目にあたるコンサートです。そんな本作最大のポイントは、強烈ダイレクトな卓直結サウンド。サウンドボード卓から直接DAT録音したと思われ、その生々しさは驚異的。オーディオ・クオリティ的には「オフィシャル級」と呼んでも構わないのですが、そんな言葉では脳ミソにプラグを突っ込まれたような埋没感まではご理解いただけない。しかも、そのプラグは1本ではなく、各楽器それぞれ別に何本もあるかのように鮮やかに分離。ていねいなミキシングで整えられたオフィシャル盤とは次元が違い、まるで自分の頭がアンプになったかのようです。実際、このツアーからはオフィシャルのライヴアルバム『HOUSE OF YES: LIVE FROM HOUSE OF BLUES』もリリースされており、こちらも本作と同じ「北米レッグ」。ショウの内容も酷似しているわけですが、そのサウンド・ニュアンスはまるで違っている。公式盤のゴージャス感がない代わりに、演奏そのものが全身に流れ込むようなサウンド。それこそ、“生録り版HOUSE OF YES”とでも言えるようなライヴアルバムなのです。そんなクオリティで描かれる“6人YES”ショウがまた、なんとも鮮烈。正直なところ、この日はアラン・ホワイトやスティーヴ・ハウのリズムが乱れがちではあるのですが、それを補って余りあるビリー&イゴールが素晴らしい。特にイゴールは鮮やかなテクニックに、近代的なデジタル・キーボードの煌びやかさで装飾。当時はその音色に好き嫌いも分かれましたが、“本家YES”と“ARW”の2つがそれぞれ競うように若い血を取り込んでいる現代の耳には自然に馴染む。クラシックYESの名曲群をアップデートさせつつ、新名作『THE LADDER』の音世界と自然に融合させる手腕は本当に見事で、ビリーが復帰した現YESにイゴールも戻ったら……などと、思わず妄想してしまうアンサンブルです。その演奏力で描かれる90年代末期のYESソングスは、先述した通り『HOUSE OF YES: LIVE FROM HOUSE OF BLUES』に酷似。しかし、丸っきり同じでもなく、オフィシャル盤ではカットされた名曲「Hearts」も収録されています。たかが1曲のようですが、これが嬉しい。このツアーを最後に演奏されなくなった貴重なサウンドボード記録でもありますが、その上に流れも良い。「It Will Be A Good Day」「Face To Face」の新世界2連発から「Hearts」で“90125 YES”世界へ移行し、そして大名曲「Awaken」へと橋渡ししていく。この他にもセット最後の「Cinema」やアンコール「Owner Of A Lonely Heart」といった“90125 YES”ナンバーが控えているわけですが、さらにもう1曲あることで、自在に時代を行き来するカラフルさが際立っているのです。“クラシックYES”とも、“90125 YES”とも、“8人YES”とも違う、90年代最強の“6人YES”。その鮮やかなアンサンブルが脳ミソ直結サウンドで流し込まれる極上ライスアルバムです。流出サウンドボードだからこその生々しさ、没入感が溢れ出す大傑作。
Live at Orpheum Theatre, Boston, MA. USA 11th December 1999 STEREO SBD
Disc 1(66:31)
1. Firebird Suite 2. Yours Is No Disgrace 3. Time And A Word 4. Homeworld 5. Perpetual Change 6. Lightning Strikes 7. The Messenger 8. Nous Sommes Du Solei 9. And You And I
Disc 2(67:52)
1. It Will Be A Good Day 2. Face To Face 3. Hearts 4. Awaken 5. I've Seen All Good People 6. Cinema 7. Owner Of A Lonely Heart 8. Roundabout
Jon Anderson - Vocals Steve Howe - Guitars Billy Sherwood – Guitars Chris Squire - Bass Alan White - Drums Igor Khoroshev - Keyboards
STEREO SOUNDBOARD RECORDING