
2016年、共に帰らぬ人となってしまったキース・エマーソンとグレッグ・レイク。そんな2人が晩年を過ごした共演プロジェクトのライヴアルバムが復刻です。その共演プロジェクトとは、“KEITH EMERSON & GREG LAKE”。2人が中心となったバンドではなく、純粋に2人だけの世界が広がるデュオ・ユニットでした。本作は、その現場に立ち会える貴重なオーディエンス・アルバムです。まずは、このユニットが活動した2010年を振り返ってみましょう。
・2010年4月5日-5月15日:北米(23公演)・2010年7月25日:HIGH VOLTAGE(EL&P)・2010年10月4日-7日:日本(3公演)※キャンセル・2010年11月14日-12月7日:欧州(14公演)※キャンセル
これが2010年の彼らの歩み。北米23公演のあと、一夜限りのEL&P再結成を挟んで日本→ヨーロッパとツアーを続ける予定でした。しかし、日本公演を前にしてキースに結腸ポリープが見つかり急遽手術。結局、その後の予定はすべてキャンセルとなり、2人が再びステージを分け合う事はありませんでした。そんな“KEITH EMERSON & GREG LAKE”は、公式ライヴアルバム『LIVE FROM MANTICORE HALL』も遺されてはいますが、それは日程末期の19公演目。それに対し、本作は序盤「2010年4月10日ニュー・ベッドフォード(4公演目)」をディスク1・2に、翌日「4月11日リン(5公演目)」をディスク3・4に配した4枚組です。そのクオリティは、まさに絶品。特にディスク3・4のリン公演は、透き通る空気感の中で中高音がキラキラと輝き、重低音は会場の壁を震わせる。公式盤『LIVE FROM MANTICORE HALL』と同等以上の鮮やかさで2人の共演が目の前に迫るのです。もちろん、こうしてカップリングする以上はディスク1・2のニュー・ベッドフォード公演も素晴らしい。リン公演の輝きとは趣が違いますが、極太の楽音は全身を優しく包み、ディテールも鮮やかな演奏と歌声が降り注ぐよう。その上で、暖かい劇場の親密さが漂い、まさに2人が目の前で呼吸し、演奏しているような感覚に浸れるサウンドなのです。そして、その息づかいこそが胸に染みる。カール・パーマーのいないデュオ形態のため、名曲群がこれまで聴いたこともないに彩られ、親密感たっぷり。ピアノとアコギによる「From The Beginning」、シンセとピアノが味わい深い「Talk To The Wind」、ピアノ弦を使わず、鍵盤弾きだけでイントロを再現する「Take A Pebble」……。中でも白眉は「Tarkus」。冒頭リフから迫力満点ですし、「Eruption」パートはまるでフリーフォーム・ジャズのようなソロ・ピアノが素晴らしい。ピアノ&ベースのみの利点を活かしたスポンテニアスな演奏は自然体。デュオ・スタイルでしか聴けない演奏が楽しめるのです。また、1枚ものだった公式盤では聴けないシーンもたっぷり。ショウ後半にはキースのソロアルバムからの「Prelude To A Hope」が披露され、「THE NICE時代の……」という紹介に続いて「America/Rondo」も演奏される。バッハ演奏のパートでは観客が盛り上がっており、お馴染みの背面弾きを披露しているのかも知れません。さらに、親密感が溢れるのはMC。矢継ぎ早にスペクタクルを繰り広げるEL&Pとは異なり、長いMCでキースやグレッグが昔を振り返りながら楽しいエピソードの数々を披露。さらには、観客との質疑応答タイムさえ設けられている。特に、「4月11日(ディスク4)」では、女性ファンからのリクエストに応えて「悪の経典 第一印象」のリフを演奏。観客もやんやの大喜びです。正直なところ、キースは右手の薬指と小指が上手く動かなくなっており、3本指がメインで速いパッセージは弾ききれない。ピアノソロやリズムが不安定になるシーンも散見します。しかし、今となってはそれさえもが愛おしい。この演奏を日本でも見せてほしかった。暖かい空気の中で2人が並ぶ光景を、もう一度だけ。このショウから6年。その願いはもう永遠に叶いません。言葉にすれば「残念」ではあるけれど、胸に去来するのは悔しさとは違う、切なさ。その想いを鎮め、そして再びキースやグレッグに逢わせてくれるライヴアルバムです。“KEITH EMERSON & GREG LAKE”が叶わなかった私たちには、眩しすぎるライヴアルバム。Live at Lynn Memorial Auditorium, Lynn, MA. USA 11th April 2010 TRULY PERFECT SOUND
Live at Zeiterion Theatre, New Bedford, MA. USA 10th April 2010
Disc 1
1. From The Beginning 2. Story 3. Talk To The Wind 4. Story 5. Bitches Crystal 6. Take A Pebble 7. Tarkus
Disc 2
1. Story 2. C'est La Vie 3. Prelude To A Hope 4. Story 5. America/Rondo 6. Q&A with audience 7. Pirates 8. Lucky Man
Live at Lynn Memorial Auditorium, Lynn, MA. USA 11th April 2010
Disc 3
1. From The Beginning 2. Story 3. Talk To The Wind 4. Story 5. Bitches Crystal 6. Take A Pebble 7. Tarkus
Disc 4
1. Story 2. C'est La Vie 3. Prelude To A Hope 4. Story 5. America/Rondo 6. Q&A with audience 7. Pirates 8. Lucky Man
Keith Emerson – Keyboards Greg Lake - Vocals, 6 & 12 String Acoustic Guitars, Bass