大人気ラジオ番組「ヤング・ジョッキー」シリーズの“プログレ人気投票ベスト20”が復活です。本作は、ラジオ番組の特番で、“プロ グレ”をテーマにリスナーからの人気投票を発表しながら曲をかけていくもの。ディスク1が「1978年6月3日放送」で、第20位から第10位まで、ディ スク2は翌日「6月4日放送」で第9位から第1位までを発表していきます。当時、この番組をエアチェックしていたコアマニアが大切に保管していたマスター を使用しており、まるで昨日録られたような鮮度がバツグン。この手の音源が公式化するわけがありませんが、クオリティ的にはオフィシャルにも使用できるほ どのFM音源です。再生してまず耳に飛び込むのは、時報。ここからもうタイムスリップ感満点です。こういったラジオ・アルバムの面白さは、時代感覚がムキ出しのコメントと 選曲。特に本作は、DJの嗜好は関係なしのリスナー投票ですから“1978年の日本の空気”が鮮烈で、まさに時間旅行の醍醐味に溢れているのです。そのベ スト20は下の曲目リストをご覧の通り、まさにプログレ黄金期の名曲がズラリ。しかし、それ以上に時代感覚が吹き出すのは、ちょっとズレた曲の方。錚々た るプログレバンドの中に、第18位のTHE BEATLESや第14位のLED ZEPPELIN、第16位のBRIAN ENO、第8位のDAVID BOWIEといったミュージシャンが顔を出すのです。第6位のQUEENでは、DJも「このグループをプログレッシヴ・ロックだ!と断じて投票してくる人 はなかなかだと思いますけど」と苦笑していますが、まさにこれこそが時代感覚。“プログレかくあるべし!”というリスナーの他にも、ジャンルに厳密にこだ わらず、「好きなものは好き」気分で聴く一般にまでプログレが広く浸透していた時代の空気なのです。もちろん、プログレ・リスナーの意識感覚も面白い。たとえば、第5位にGENESISがランクインしていますが、DJは「いつも英米に比べて日本では人 気が低いと言われてきたバンドですが、この得票数を見ると、第2のプログレの主流という位置を占めてきたなと思われます」と語る。現代では、アメリカの ROLLING STONE誌やイギリスのPROG MAGAZINE誌でも必ず5位以内に付けてくるなど、あらゆる雑誌特集で“5大バンド”の地位を確固たるものとしていますが、当時はあくまで“4 大+1”。こうした微妙な1978年感覚が随所に見え隠れするのです。さらに“ハガキ職人”全盛期の空気感が透けるのが、第11位のU.K.紹介。20曲を放送枠ギチギチで紹介するため、ネタ紹介の面白さはありませんが、 自分のお気に入りバンドを上位に入れるための組織票の話が飛び出す。番組スタッフと職人たちがハガキを通して互いの思惑を読みあい、攻防を繰り広げるエピ ソードが最高に可笑しいのです。本作は、あなたの部屋を一瞬にして1978年にしてしまうタイムマシン・アルバムです。生々しいオーディエンス録音のライヴアルバムも素晴らしい臨場感 を伝えてくれますが、やはり“正確に当時そのままを感じる”という意味では、ラジオアルバムに勝るものはない。1978年、自分の部屋でスピーカーから流 れる番組に耳を傾けていた、あの夜。あのとき感じた温度、部屋の匂いまでもが蘇ってくるタイムマシン。現代科学の粋を凝らしても不可能なマジック。
【参考までに】
ベスト20位に届かなかったバンドは以下の通り。21位ユートピア、22位ジェフ・ベック、23位ゴールデン・イヤリング、24位アフロディーティス・チャイルド、25位は同率でスティックスとスーパートランプ、27位ホワイトノイズ、28位ディープ・パープル、29位PFM、30位フィル・マンザネラ。
さらに、31位以下は……(順不同)。
ヴァンゲリス、ザ・ナイス、ナショナル・ヘルス、ノバリス、プリズム、アラン・パーソンズ・プロジェクト、マクドナルド・アンド・ジャイルス、ノイ、ピー ター・ガブリエル、ネクター、マンダラバンド、マホガニー・ラッシュ、プラトゥー、ケビン・エアーズ、カーン、ソフト・マシーン、バークレー・ジェーム ズ・ハーベスト、クリアライト、クリス・スクワイア、コロシアム2、カーブド・エアー、キャラバン、タイフーン、アンブローシャ、アレア、アンジェ、アモ ンデュール2、アシュラ、アトール、ジャーニー、ジェーン、ファー・イースト・ファミリーバンド、ファースト、ゲイリー・ライト、ジャイズ・アンド・フ リップ、ハットフィールド&ザ・ノース、ヘンリーカウ、ホークウィンド、エスペラント、イースト・オブ・エデン、ムーディーブルース、マイク・オール フィールドなど。
Broadcast Date : 3rd & 4th June 1978
Disc 1(60:33)
Broadcast Date : 3rd June 1978
1. Intro. feat. Focus - Harem Scarem(No.20, 67 votes) 2. Renaissance - Opening Out(No.19, 70 votes) 3. MC 4. The Beatles - A Day In The Life(No.18, 77 votes) 5. MC 6. 10 CC - Art For Art's Sake(No.17, 79 votes) 7. MC 8. Kraftwerk - Trans Europe Express(No.16, 82 votes) 9. MC
10. Tangerine Dream - Movements Of A Visionary(No.15, 90 votes) 11. MC 12. Led Zeppelin - Houses Of The Holy(No.14, 94 votes) 13. MC 14. Camel - Rhayader Goes To Town(No.13, 104 votes) 15. MC 16. Brian Eno - Sky Saw(No.12, 111 votes) 17. MC
18. U.K - Alaska(No.11, 112 votes) 19. MC 20. Boston - More than A Feeling(No.10, 147 votes)
Disc 2(60:20)
Broadcast Date : 4th June 1978
1. Introduction 2. Van Der Graaf Generator - Wondering(No.9, 150 votes) 3. MC 4. David Bowie - Weeping Wall(No.8, 169 votes) 5. MC 6. Kansas - Carry On Wayward Son(No.7, 245 votes) 7. MC 8. Queen - Bohemian Rhapsody(No.6, 266 votes) 9. MC
10. Genesis - The Lamb Lies Down On Broadway(No.5, 530 votes) 11. MC 12. King Crimson - Red(No.4, 750 votes) 13. MC 14. Yes - Siberian Khatru(No.3, 899 votes) 15. MC 16. Pink Floyd - Have A Cigar(No.2, 927 votes) 17. MC 18. Emerson, Lake & Palmer - Karn Evil 9 1st Impression Part 1(No.1, 1049 votes)