
“WORKS TOUR”の新たなる傑作録音が登場です。本作に収められているのは「1977年8月14日ロング・ビーチ公演」。“ロング・ビーチ77”と聞いて「あぁ、アレか」と思われるコレクターの方もいらっしゃると思いますが、恐らくそれはハズレ。その正体とは……と、その前に。今週は70年代EL&Pを総括するようなリリースが連発しておりますので、まずは“WORKS TOUR”時代も整理しておきましょう(マニアの方々は軽く読み飛ばしてください)。
《1977年3月17日『四部作』発売》ー約2ヶ月後ー・1977年5月24日-8月26日:北米#1(64公演)←★ココ★(うち、オケ共演15公演)ー約1ヶ月半後ー・1977年10月15日-11月30日:北米#2(32公演)《1977年11月1日『作品第2番』発売》ー約1ヶ月半後ー・1978年1月16日-3月13日:北米#3(48公演)
《1978年夏『ラヴ・ビーチ』制作→EL&P解散へ》
70年代EL&Pと言えば、1976年を境に2つに大別される方が多いと思いますが、上記はその後期にあたる活動の概要。当時の記録にはあやふやなところもありますが、おおよそはご理解いただけると思います。一般に“オケ共演ツアーの大赤字”のイメージだけが強い時期ですが、その中身は70年代EL&Pでも最大規模となる全144公演に及び、すべて北米公演。そのうちオケ共演はわずか15公演のみでした。本作に収められたロング・ビーチ公演はオケ共演と同じ「北米#1」ではあるものの、ここでも大半はトリオ演奏。本作もトリオのライヴアルバムです。さて、いよいよ本題。本作の正体とは、新たに登場した「ロング・ビーチ公演3日目」のオーディエンス録音なのです。“ロング・ビーチ77”と言えば、アナログ時代からの伝統録音『LONG BEACH ARENA(Looking Out For #1)』が有名ですが、あちらは「8月12日」。本作はまったく別公演。これも日程で確認しておきましょう。
・1977年8月11日:ロングビーチ・1977年8月12日:ロングビーチ 『LONG BEACH ARENA』・1977年8月13日:サンバーナーディーノ・1977年8月14日:ロングビーチ 【本作】
このように、1977年のロング・ビーチ公演は3回。本来は2公演だけでサンバーナーディーノ→ロサンゼルスへと歩みを進める予定だったのですが、追加公演が入ったわけです。その会場は3回とも1万3500人収容の“ロング・ビーチ・アリーナ”。当時のEL&P人気の凄さを物語るスケジュールです。そんな新登場音源が本作の正体。実のところ、この日の録音はコア・コレクターのリストにこそ存在していたものの、一般には出回ることがありませんでした。それが最近になって突如登場したわけですが、これがただモノではなかった。なんと、初登場にしていきなり究極のジェネレーション。マスター・カセットからダイレクトにデジタル化された極上品なのです。実際、本作のクオリティは巨大な“WORKS TOUR”でも屈指の素晴らしさ。大会場“ロングビーチ・アリーナ”の熱狂も吸い込んでいますが、それを凌駕する楽音がまっすぐに届き、3人の手足が見えるかのように鮮明。リズム隊はディテールも細やかながらたくましく、キースのピアノはキラキラと降り注ぐように輝く。リアルな熱狂は「まるでサウンドボード」とは違うタイプなものの、伝統の名録音『LONG BEACH ARENA(8月12日)』にも肉薄する美録音なのです。もちろん、そのクオリティで描かれる現場の音楽こそが素晴らしい。苛烈な3人の応酬やインプロヴィゼーションの自由さは70年代初期に譲りますが、滑らかでテンポの速い演奏が凄まじい疾走感を生み出す。『LONG BEACH ARENA』でも味わえたシャープな演奏がフルショウに渡って味わえるのです。ただし、クオリティや演奏が伝統録音に肉薄するとは言っても、そこは別公演。特に本作だけのスペシャルなのが、実はトラブルシーンです。実は、「Take A Pebble」を始める前にモーグの調子がおかしくなり、チューニングに苦心しているのです。もちろん「Take A Pebble」を始め、「Piano Concerto No. 1」「C'est la vie」とアコースティックな曲が続くので問題なくショウが進みますが、そうもいかなるのが「Lucky Man」。エンディングになっても“あの音”が出ず、キースが「今日はモーグが3つも壊れちまったよ!」と語るのです。そんなトラブルシーンも含め、新発掘の特級サウンドがたっぷりフルショウで楽しめる。「Piano Concerto No. 1 1st Movement」「Pirates」にテープチェンジのカットこそありますが、終演BGMが終わる(実に3分以上。珍しい!)までクリア・サウンドで捉えきり、“ロング・ビーチの1日”に思う存分浸れる1本です。マスターダイレクトの究極鮮度でいきなり飛び出した名録音。
Live at Long Beach Arena, Long Beach, CA. USA 14th August 1977 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Disc 1(52:39)
1. Intro. 2. Karn Evil 9 1st Impression Pt. 2 3. Hoedown 4. Tarkus 5. Moog Tuning 6. Take a Pebble 7. Piano Concerto No. 1 1st Movement 8. Take a Pebble (Conclusion) 9. C'est la vie 10. Lucky Man 11. Fix The Moog 12. Knife Edge
Disc 2(69:22)
1. Pictures at an Exhibition 2. Still You Turn Me On 3. Tank incl. Drum Solo 4. Nutrocker 5. Pirates 6. Fanfare for the Common Man / Rondo 7. Finale / Outro.