YES史の重要コンサートが世界初公開です! その“重要コンサート”とは、今を去ること36年前。YES最初の解散を前にしたファイナル・ショウ「1980年12月18日レインボー・シアター公演」です。YESは歴史上、何度も離合集散を繰り返してきたバンドですが、1968年の結成から連綿と続いた活動が最初に止まったのは1980年。“DRAMA TOUR”の不振による活動停止でした。本作は、その“DRAMA TOUR”最終日のオーディエンス・アルバムなのです。ロック史を愛する者なら誰もが注目する歴史的最終日ですが、現在に至るまで“音の記録”は一切見つかっていませんでした。本作こそ、初めて“最初の終焉”を全世界に伝える1本なのです。当店では、そのオリジナル・カセット現物を奇跡の入手。現場の空気を直接デジタル化することに成功いたしました。そんな本作は、実に素晴らしいオーディエンス・サウンド。重要コンサートにも関わらずプレス化していないことからも分かるように「まるでサウンドボード」と呼べるクオリティではありませんが、楽音自体は極太で真っ直ぐ逞しい。貴重記録にありがちな爆音・轟音の類ではまったくなく、各メンバーの演奏もクッキリと楽しめるのです。美録音ではないとしても本作のサウンドは耳を澄ますまでもなく、演奏が飛び込んでくる実録。そのサウンドで描かれる“終焉の真実”が痛ましいほどに伝わってきます。やはり、何よりも厳しいのはトレヴァー・ホーン。数々の記録や証言で語られてきたように、彼にジョン・アンダーソンの代役は荷が重く、その歌声は断末魔の悲壮感を湛えている。バック陣がハードロック寄りにパワフルにドライヴするほど、弱々しく限界ギリギリなホーンの歌声が厳しい。もちろん、彼に全責任を負わせるのは酷というものですが、やはり活動停止も致し方ない……そんな思いが頭をよぎってしまうのです。それ以上に“最後”を実感させるのがホーンのMC。「Machine Messiah」の後で関係者やスタッフに礼を言い、「今夜が最後のギグ」と語る。もちろん、解散に触れる事はなく、形式上はツアー最終日然としているのですが、その疲れた声に生気が感じられない。ホーンにとって“DRAMA TOUR”は長くトラウマとなったそうですが、その最後の舞台をなんとかやり遂げようとする姿。もはや、気力だけで語り、懸命に歌う姿が残酷なまでの鮮明さでスピーカーから流れ出るのです。これが“1980年”の現実。思えば、この年は英国ロックにとって大きな大きな曲がり角でした。EL&PやKING CRIMSONはすでに存在せず、その一方でGENESISは「DUKE」で新境地を拓き、PINK FLOYDは「THE WALL」で我が道の極北を体現していた。お隣さんのハードロックに目を向けても、元BLACK SABBATH組がロニー・ジェイムズ・ディオやランディ・ローズを得て成功したかと思えば、LED ZEPPELINが歴史に幕を下ろし、ジョン・スローマン時代のURIAH HEEPが苦境に苦しんでいた。それぞれが“新しい音楽”・“新しい時代”に直面しながらもがき、ある者は転身し、ある者は消えていった1年だったのです。そんな中、YESは満身創痍で倒れた。“新たな挑戦”に破れ、終わるべくして終わらざるを得なかった姿が生々しく記録されているのです。その後の華麗なる復活劇や紆余曲折を知る今、2016年の来日公演で『DRAMA』ナンバーの幸福な姿を目の当たりにした今だからこそ、なお重い最終公演。その現場に立ち会う本生サウンドの1本。
Live at Rainbow Theatre, London, UK 18th December 1980 GREAT/AMAZING SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (74:01)
1. Young Persons Guide To The Orchestra 2. Apocalypse 3. Does It Really Happen? 4. Yours Is No Disgrace 5. Into The Lens 6. Clap 7. And You And I 8. Go Through This 9. Man In The White Car Suite 10. We Can Fly From Here 11. Tempus Fugit
Disc 2 (50:39)
1. Amazing Grace/The Fish (Schindleria Praematurus) 2. Machine Messiah 3. Trevor Horn MC 4. Starship Trooper 5. Roundabout 6. White Car (a capela)
Trevor Horn - Vocals Steve Howe - Guitars, Vocal Chris Squire - Bass, Vocal Alan White - Drums, Percussion Geoff Downes, Keyboards, Vocal