「バンドは目の前で解散したのにどうも実感が沸かないんだ。何故だろう?」。これは先日、プログレ好きの知人が中野サンプラザで行われたU.K.最終公演後にふと漏らした言葉です。バンドがここ日本でその歴史に幕を下ろしてから約3週間が過ぎましたが、その言葉通りまだ実感が沸かないというのは意外と多くのファンに共通した本音ではないでしょうか。今週末はその理由に鋭い答えを出す、U.K.最終公演究極の超・超・超ウルトラ極上音質盤が登場致します!先々週にリリースされた『THE FINAL IN JAPAN 』は、U.K.が活動の歴史を締めくくった日本2公演をコンプリート収録した好盤として御好評戴き、そのリリース週にギフト盤で登場した『THE FINAL CONCERT 2015 (無料2CDR)』もギフト盤には勿体無いくらいの高音質盤で御好評を賜りました。どちらもメモリアル録音としては充分なクオリティを保っていますし、実際、御購入後に来店されたお客様からも喜びの声を複数頂戴致しました。しかし" 演奏研究用の素材 "として耐え得る音源か、となると少し話は違ってきます。何故ならそれにはよりシャープで音楽的な曖昧さを減じたサウンドが求められるからです。つまりメモリアルというよりは音質的に特化したクールなドキュメンタリー性がそこに求められる訳で、こうなるとどうしても卓録音の流出音源か、超高品質なイヤモニ・マトリックスの出番...と想起してしまいます。でもそうはならないのが昨今の録音機材の興味深いところ。本録音は熟練のテーパー達がいま一番注目しているMK4マイクとリニアPCMレコーダーを組み合わせた話題の録音方式なのです!ショップス製MK4マイク...。ブートレッグに慣れ親しんでおられる方なら、最近チラホラとその名称を目や耳にされていると思います。その場の音を驚異的な近さと鮮明さでパーフェクトに録り切る超高性能マイクとして、テーパーだけでなく録音ファン全般からも絶大な支持と高評価を得ているドイツ製の単一指向性マイクです。本録音はこのMK4にPCM-D100という国内大手メーカーが誇るリニアPCMレコーダーを組み合わせてハイレゾ録音したものが元ソースとなっているのですが、その録音ポテンシャルの高さは業務用録音をも軽く超えるほど驚異的なのです。「AUD録音なのに業務用SBDやイヤモニより音が近くて極上...?そんな事があり得るのか?」という方も居られると思いますが、これは現実にあるのです。昨今のブートレッグでも徐々に実戦投入されたタイトルが出始めており、録音方法に賛否両論のあるイヤモニ・マトリックスに一石を投じる王道復権の録音方式として大きく注目を集めています。しかしながら人の注意を惹く様な優れた音で録る為には経験やセンスも必要です。MK4と組み合わせる機材や設置の仕方によって音像も変わってきますし、録音位置によっても差が出るものです。本録音の元ソースもその要因を僅かに抱えており、それだけで強烈な印象を放つ高音質ソースながらも、全体的に低音がやや希薄に感じられるサウンドでした。なので原音には影響を及ぼさない範囲でリマスター(※先日導入した2015年最新機材を使用)を施し、不足していた低音部を強化したところ、元ソースの魅力を最高値で開花させた奇跡の超高音質サウンドが実現したのです。すなわち、全ての出音が信じ難いほどの超至近距離で現れ、強音でも全く濁らず・潰れず・ブレず、弱音の微細な音も全て拾っているうえ立ち上がりの鋭さもびっくりするほど際立っているのです。ノイズも皆無であり、中~低音域の重量感や芯の入った伸びのある高音域のアタック感も驚異的で、何よりも単一指向性のマイクらしく一点の曇りの無いボーカルラインの近さと鮮明さは卓録音やイヤモニ録音をも超えており、正直ちょっと異常なほどです。もちろんノーカット完全録音で収録時間も長く、例えばショウ開始前の様子を伝えるトラック(1)は『THE FINAL IN JAPAN』より約3分半も長く収録されています。開演前の会場内女性アナウンスもその喋り出しからコンプリート収録しており、ディスク冒頭からのアドヴァンテージにいきなり心躍るでしょう。「Thirty Years」ではウエットンの声の近さ、ギターの弱音、そして淡く奏でるマンジーニの打音がパーフェクトに録れているだけでなく、全ての音が異常なほどの至近距離で現れる音像に、10人中10人全員が公式録音超えを確信する筈です。「Nevermore」はこの布陣による演奏の可能性と魅力がウルトラ級の音質で浮き上がります。特に息を呑むのはウエットンとマンジーニのリズムワークで、連打でも単音でも知性を感じさせる打音がリズム面から曲をどう支え、ベースと連動してどの様に曲の鼓動を創っていたかが驚異的な音質でお愉しみ戴けるでしょう。「Carrying No Cross」も序盤から音の浮き立ちが信じ難いほどの鮮明さで現れ、MK4マイクの実力が至るところで実感出来るシーンが連発します。6分19秒付近から入ってくるシーケンス音が近く・遠くなる様子も驚異の間近さで現れ、それを縫って歌うキーボード、動き出すベースとドラムの低音部がどれも驚天動地の超至近距離で出てきます。終曲部で入るドラムの深いエコー感も他のタイトルではまず味わえないでしょう。「Alaska」も導入のキーボードが凄まじい近さと肉厚さで鳴っており、これは初めて聴いたら卒倒するかもしれません。アンサンブルが動く2分58秒からの音像も目の前で稲妻が炸裂する様な鋭さで飛び出し、「Time To Kill」での瞬発力の高い演奏もリズムに骨格を感じるシャープでタフな音像に驚嘆される筈です。またウエットンがハミングを入れる様子(※1分44秒~45秒)も鮮明に拾っていますが、これは他の同日タイトルの音質・収録音では全体音に埋没して判り辛いシーンのひとつとなっており、これが鮮明に聴けるのも本録音のアドヴァンテージです。同様にトラック(7)ではエディの肉声が非常に近く鮮明に聴こえますが、彼は声がか細い為に他の同日タイトルではここまで完璧に声を拾っておりません。故に、ここでMCがハッキリ聴き取れるのも本録音の嬉しいポイントです。「Night After Night」では中音域のタフな音の威力と収録音域の広さが際立ち、コブシを効かせまくった歌声も真に耳を疑うほどの近さと鮮明さでこちらにぶつかってきます。展開部でのキーボードの艶とドラムの鮮明なアプローチも瑞々しい感動を喚起し、終演後に再び入るエディのMCもトラック(7)同様その肉声が鮮明にお愉しみ戴けます。「Rendezvous 6:02」は曲後半からクラッシュ・シンバルを使う効果(※或いは、マンジーニ流の解釈)が鮮烈に浮き上がり、リズム面から可能性を探った最終演奏の理解度がより高まる筈ですし、歌詞1番のボーカル・エコーの掛かり具合と歌詞2番からのエコーの掛かり具合の違いが瞬時に感じ取れるのも大きな特徴となっています。このエコー変化は、他タイトルの音像ではよほど注意深く聴かない限りまず気付けないでしょう。「Nothing To Lose」では他の同日タイトルを全て一蹴する威力あるキーボードが至近距離から鋭く立ち上がり、音楽が高く遠くに押し上がってゆく興奮がのっけから炸裂します。途中でキーボードの機材トラブルが発生する様子も純度の高いサウンドで生々しく捉えており、最終演奏に起こったドキュメントの全てが完璧に追ってゆけます。「In The Dead Of Night」は各楽器の出音の近さが瞬発力の高い演奏と相まり、その漲るほどタフで震えるほどラウドな極上音像に聴く者全員が唖然とする筈です。中盤でドスの効きまくったウエットンらしいベースが楽しめるのも魅力で、曲が変容する「By The Light Of Day」もそれぞれの楽器が透明感最高の至近音で重なり、生命力に充ちたアンサンブルの綴れ折りが耳元を次々に通り過ぎてゆきます。「Forever Until Sunday」はヴァイオリンが放つ中~高音域の音色が低音でゴリゴリ唸りまくるキレの良いリズム音と対比する眩しいサウンドとなっているのですが、これは他レーベルの同日タイトルで聴いていた方もここまで緻密で透明な音でこの演奏を味わってはいなかった筈です。麗しいギターの響きが漂う中でひとつ、またひとつと互いの音楽が寄り添って重なり、この未発表曲が最高の演奏で完成形になってゆく真のドキュメンタリーを超極上のサウンドで御堪能戴けるでしょう。「Caesar's Palace Blues」は他の同日タイトルでは伝え切っていなかった本物の躍動感とタッチの鋭さが最高値で耳元を襲います。ボーカルの出音が更に近くなっているのも驚きのトピックスで、もう耳元というよりは耳の中でウエットンが歌っている感覚にもなる筈です。サビの部分を観客に歌わせ、長年熱心に支え続けてきた日本のファンと最後の演奏を創ってゆく様子もウルトラ級の鮮明さと超至近距離の音像で飛び出しますので是非御注目下さい。「The Only Thing She Needs」ではザクザクした特徴的なリフが刻まれますが(※00分38秒付近~、及び2分53秒付近~)、この音色がドライヴ感たっぷりの特上サウンドで堪能出来るのも本作の魅力です(※他タイトルではここまで鋭く音が出ていません)。歌声の出音もびっくりするほど近く、ドラムもひとつひとつの打音が驚異的に鮮明で、コーダへ向かうヴァイオリンの響きも唖然とするほど艶やかなのですが、これらの音が微塵も潰れることなく異常な近さで出てくる事に仰天されるでしょう。「Carrying No Cross」の最終ヴァース終演後は何と6分近くも録音が続いており、エディの謝辞とウエットンの「サヨナーラ」は勿論、2度湧き上がる長い「U.K.! U.K.!」コール、終演を告げる場内アナウンスも最後まで鮮明な音で完全収録しており、ドキュメンタリー録音としてもまずこれ以上は考えられない完璧さを誇っています。さて、ここまで優れた録音で最終演奏に接して改めて感じるのは「バンドは解散したのに、何故か実感が沸かない」という、冒頭で記した知人の言葉です。不思議にして確かな事ですが、音楽というものは時に生のライブで聴くよりも、CDで聴いて初めて伝わってくる・理解出来る演奏情報が結構多いものです。ブートレッグと接する面白さと興味深さの根幹も恐らくそこにあり、あの日体験した演奏を優れた録音で接し直す事は当日現場で気付けなかった再発見を多くもたらしてくれますし、演奏の分析をする事で自分の中により深い理解が築けたりもするものです。ただその為には少しでも優れた録音で演奏に接する必要があり、そこには音質的な感情移入のし易さも求められる訳ですが、本作に関してはその心配はありません。何しろここで聴けるサウンドは最近流行りの"「オン」なサウンド "という表現など軽く超えるウルトラ級の音質だからです。しかしそうして徹底的に現場の音を拾い抜いた本作で改めてこの最終公演に接すると、知人の放った疑問の答えともなる事実に自然と気付かされるのです。それはこのマイク・マンジーニを擁して放った最終編成による演奏が、非常に大きな音楽的可能性を提示していたという事実です。音質に優れた本作で聴けば明らかですが、この演奏はその歴史に幕を閉じる最終演奏にしてはあまりにも未来に可能性を残す演奏であり、バンドの次なるステップを強く予感させるものとなっています。それゆえ彼も解散の「実感が沸かな」かったのでしょう。しかしバンドが最後に残したその未来への置き土産=音楽的可能性は、まさに解散というお題目が消し飛んでしまうほど実のある嬉しい贈り物でしたし、本作に接すれば多くの方が同じ事を実感されるに違いありません。言い換えればそれほど深く、最終演奏の全ての音と通じ合える究極のタイトルとなっているのです。今週末は是非、他の同日録音ソースを全て駆逐するこの別次元のウルトラ・サウンドをお試し戴きたいと思います。
Live at Nakano Sunplaza, Tokyo, Japan 30th April 2015 TRULY ULTIMATE SOUND
Disc 1(77:39)
1. Intro 2. Thirty Years 3. Nevermore 4. Carrying No Cross 5. Alaska 6. Time To Kill 7. MC 8. Night After Night 9. Keyboard Solo (Ballooning Over Texas) 11. Drum Solo 12. Member Introductions & MC 13. Rendezvous 6:02
Disc 2(50:32)
1. Nothing To Lose 2. In The Dead Of Night 3. By The Light Of Day 4. Presto Vivace And Reprise 5. Forever Until Sunday 6. Caesar's Palace Blues 7. The Only Thing She Needs 8. Carrying No Cross (Last Verse)
John Wetton - Bass, Vocals Eddie Jobson - Keyboards, Violin Alex Machacek – Guitar Mike Mangini - Drums, Percussion