
オリジナル・マスターで綴る再編EL&P末期の極上ライヴアルバムが登場です。本作に収められているのは「1998年8月22日ティンリーパーク公演」。現場に赴いた録音家本人から譲られたDATマスターを使用した本作だけのオリジナル録音です。1992年から断続的に行われてきたEL&Pの再編。“末期”と一口に言ってもイメージしづらいと思いますので、活動概要をざっくりと振り返ってみましょう。
《1992年6月『BLACK MOON』発売》・1992年:北米34公演+日本8公演+欧州42公演・1993年:北米52公演+南米9公演 《1994年9月『IN THE HOT SEAT』発売》ー2年後ー ・1996年:北米33公演+日本10公演 ・1997年:北米24公演+欧州21公演+南米13公演
・1998年:北米21公演 ←★ココ★ ー12年後ー ・2010年:HIGH VOLTAGE(1公演)
以上、オリジナル・アルバム2枚と全268公演。これが再編EL&Pの概要です。12年のブランクが空いた“HIGH VOLTAGE 2010”は別にして、本作に収録されている1998年は再編活動の最末期。最後の北米ツアー21公演のうち、最後から7公演目にあたるライヴアルバムなのです。そんな本作は、DEEP PURPLE&DREAM THEATERとのカップリングツアーだったために1枚に収まるサイズですが、そのクオリティは猛烈にクリアな極上品。実のところ、かつて『PROG HEROES』としてリリースされた事のある録音なのですが、その際も「完全サウンドボード級」「98年のベスト録音!」と激賞されたほど。本作はそのコピーではなく、オリジナルDATから改めてCD化。後半に数カ所見られた僅かなノイズも綺麗にトリートメントした決定盤にしました。実際、本作のサウンドは極端に美しい。90年代後期で機材も進化していたとは言え、それでも当時の基準を遙かに凌駕する凄まじいクリア・サウンド。曲間の生々しい喝采がオーディエンス録音だと物語ってはいますが、録音家本人から渡されていなければ、「卓流出サウンドボードに完成をミックスした?」と思ったことでしょう。「Hoedown」でハジけるリボンコントローラーの炸裂音までもが超鮮烈です。それほどのサウンドで描かれる末期EL&Pの素晴らしい事。12年後の“HIGH VOLTAGE 2010”を悪く言うつもりはありませんが、本作のEL&Pは圧倒的なまでの現役感。キースもグレッグも50代前半であり、まだまだ実演家として脂が乗っている。20-30代のハジケっぷりとは違いながらも、楽曲のダイナミズムを最大限に引き出す術を知り尽くした演奏っぷりで、「円熟」と呼んだら失礼に当たるほど巨大なスペクタクルを叩きつけるのです。さらに、セットリストやアレンジも“末期”ならではの旨みがたっぷり。例えば「Karn Evil 9」では歌メロと中間奏のメインパートを強引にくっつけていますし、再編時代には「展覧会の絵」とメドレー短縮される事が多かった「Tarkus」も端折らず、本編の最後に「頭脳改革」のエンドSEを挟み込む小技も効かせてきます。久々に復活した「ピアノ協奏曲」も凄い。ピアノ1台のみの演奏で、オーケストラ抜きでも素晴らしいドラマを創り上げるエマーソンの意地と美学が炸裂する名演なのです。そして、何と言ってもKING CRIMSONのカバー「21世紀の精神異常者」! 1997年ツアーから演奏し始めてはいましたが、公式作品『LIVE IN POLAND』『LIVE AT MONTREUX 1997』でも聴く事のできなかった超名曲。「Fanfare For the Common Man」へ続くメドレーですし、キーボード・トリオ版とオリジナルを比較するのはナンセンスというもの。しかし、その貴重なライヴをサウンドボード級の極上サウンドで聴ける(オーディエンスの喜びっぷりも楽しい)のです。この9日後にツアー最終公演を行ったEL&Pは再び眠りに就きます。2010年に一度だけの再結成があったとは言え、現役ロックバンドとしてレギュラー活動していたEL&Pはこの時が最後。正直なところ、この録音が初登場した際にはまさかラストツアーになるとは誰も考えず、「どうせまたやるんだろ」と軽く思われがちでした。しかし、これが最後だった。そんなEL&P最後の輝きを凝縮した1枚なのです。キースとグレッグを失ってしまった今こそ味わっていただきたい、振り返っていただきたい1本。この2016年をEL&Pと共に締めくくりたいあなたへ。
Live at World Music Theater, Tinley Park, IL. USA 22nd August 1998 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) (68:53)
1. Welcome Back 2. Hoedown 3. Knife Edge 4. Piano Concert No.1 3rd Movement 5. C'est La Vie 6. Lucky Man 7. Tarkus 8. Aquatarkus 9. 21st Century Schizoid Man 10. Fanfare For the Common Man/America/Rondo 11. Drums Solo 12. Rondo(Reprise)
Keith Emerson - Keyboards Greg Lake - Bass, Guitar & Vocals Carl Palmer - Drums & Percussion