
連日レポートしている初期FLOYD復刻プロジェクト、NICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。その最新・極上ライヴアルバムの登場です。今週は万人向けの最高傑作『COPENHAGEN 2018: MULTICAM(Amity 476)』が同時リリースとなりますが、それに対して本作は通常営業(?)。ツアーを極上録音で併走していくライヴアルバムです。そんな本作に収録されているのは「2018年9月16日ベルリン公演」。最新ヨーロッパ大陸編の後半を代表する極上オーディエンス録音です。今回の秋ツアーからは5本目となりますので、まずは日程の中でコレクションを整理してみましょう。
・9月2日:ストックホルム・9月3日:コペンハーゲン『COPENHAGEN 2018』・9月4日:ロストック・9月6日:アムステルダム『AMSTERDAM 2018』・9月8日:アントウェルペン・9月9日:ルクセンブルク・9月10日:パリ・9月11日:デュッセルドルフ『DUSSELDORF 2018』
・9月13日:ハンブルク 『HAMBURG 2018』・9月15日:シュトゥットガルト・9月16日:ベルリン 【本作】・9月17日:ライプツィヒ・9月19日:ウィーン・9月20日:ミラノ・9月21日:チューリッヒ ・9月23日-29日:英国(6公演)
これが9月から始まった本格ツアーの全21公演。本作のベルリン公演は、その11公演目にあたるコンサートです。現在、進行中のイギリスに加え、すでに終了したヨーロッパ大陸編の音源総括が行われておりますが、本作はその後半を代表する1本であり、「ツアーベストでは!?」「まるでサウンドボード!」と話題になっている極上録音なのです。実のところ、現代は「まるでサウンドボード」と言いたくなる名録音も珍しくないのですが、本作はその基準を持ってしても異常なレベル。むしろ「これのどこがサウンドボードじゃない!?」と驚くサウンドなのです。楽音の芯には距離感などまるでなく、輝くエッジは空気を通したとは思えないほど鋭い。クリアに透き通った演奏音は綺麗にセパレートしつつ、初期FLOYDならではの幻想世界を立体的なステレオ感で描き出す。よくよく分析して聴けば、会場音響もないわけではないのですが、それさえバンド側がエフェクターで創り出しているかのように鮮やか。まだ、このプロジェクトのサウンドボードは登場していませんが、もし発掘されてもここまで凄くはないんじゃないか……そんな次元の異様なハイクオリティ密着サウンドなのです。それだけのサウンドをモノにしたのは、ベルリンを中心に活動しているドイツの名手。特に今年になってからの活躍は目覚ましく、当店でも21世紀RAINBOWのプレス・タイトル『DEFINITIVE BERLIN 2018(Black Box 027)』やQueen+アダム・アンパートの『BERLIN 2018(Uxbridge 854)』が大好評となりました。本作は、そんなドイツ代表の最新作となるわけですが、ネットの公開音源そのものではなく、独自マスタリングで磨き直したもの。原音の時点で凄まじいダイレクト感でしたが、やや中音域に寄りすぎでもあった。本作では、そのバランスを調整。もちろん、無闇な音圧稼ぎなど一切しておりませんが、高音は更に伸びやかに、重低音はヴァイヴまで繊細に感じられるクリスタル・クリアなサウンドを実現したのです。そんなサウンドで描かれる初期FLOYDの世界は絶品。セットや演奏はこれまでの傑作群に酷似しているわけですが、このサウンドで描かれるとまるで違って聞こえる。特に耳から鱗が落ちるのは立体感。距離感がないので空間感覚とは違うのですが、密着した演奏やSEが鮮やかなステレオ感で迫り、さまざまな音の断片が頭を包囲してくる。それこそ、サウンドボードかIEMsか……といった感覚で演奏と意識がシンクロするのです。これまで幾多の極上録音でレポートしてきたNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETS。オーディエンス録音は好みが激しく分かれるだけに、軽々に「頂点作」と断言できません。しかし「サウンドボードに近い」ことを最優先される方には断言できる。それほどまでに鮮やかで密着した最高峰のライヴアルバムであり、もし録音家が出自を秘匿していたら「サウンドボード登場!」と言われた事は間違いないサウンドなのです。
Live at Tempodrom, Berlin, Germany 16th September 2018 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND
Disc 1 (55:30)
1. Soundscape: Atmo 2. Soundscape: Noise 3. Intro 4. Interstellar Overdrive 5. Astronomy Domine 6. Nick Mason Speaking 7. Lucifer Sam 8. Fearless 9. Obscured by Clouds 10. When You're In 11. Arnold Layne 12. Vegetable Man
13. Nick Mason Speaking and Band Introductions 14. If 15. Atom Heart Mother 16. If (Reprise)
Disc 2 (54:59)
1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is the Colour 4. Gary Kemp Speaking 5. Let There Be More Light 6. Nick Mason Speaking 7. Set the Controls for the Heart of the Sun 8. See Emily Play 9. Bike 10. One of These Days 11. A Saucerful of Secrets 12. Point Me at the Sky
Nick Mason - Drums Guy Pratt - Bass, vocals Gary Kemp - Guitar, vocals Lee Harris - Guitar Dom Beken - Keyboards