
初公開となるキニーのオリジナル・マスターが登場です。今週末、全世界が初めて知る事になる“秘蔵の音”。その主役は『GUITAR SHOP』を引っさげて日本にやってきた1989年のジェフ・ベックです。この時の来日は音楽イベント「KIRIN “BEER’S NEW GIGS” ’89」に参加するためのものであり、『GUITAR SHOP』に伴うツアーのキックオフ日程でもありました。まずは、その来日日程から確認してみましょう。
・8月5日:有明コロシアム ・8月6日:有明コロシアム(台風のため中止)・8月7日:愛知県体育館 ・8月9日:大阪城ホール・8月10日:大阪城ホール・8月11日:横浜アリーナ 【本作ディスク1】・8月12日:横浜アリーナ 【本作ディスク2】
以上、全6公演。本来は7公演が予定されていましたが、「8月6日公演」は台風13号の上陸に伴って中止となりました。本作は、その中でもファイナルとなった横浜アリーナ公演「8月11日」をディスク1、「8月12日」をディスク2に配した2枚組です。そんな本作最大のポイントは、何と言ってもキニーのマジック・サウンド。正直な話、1989年のジャパンツアーは全公演を通してあまり良い録音に恵まれていなかったのですが、そんな中で本作は別格中の別格。開演時や曲間に沸き立つリアルな熱狂は間違いなくオーディエンス録音なのですが、猛烈な演奏が始まるや観客は圧倒。エッジが切り立ち、ディテールも超鮮明な演奏が総てを塗りつぶすライン録音さながらの音世界が広がるのです。ただし、ディスク1・2は同会場とは言え、別ポジションの別公演。それぞれに個性もありますので、詳しくご紹介しましょう。
【ディスク1:8月11日】
横浜アリーナ2DAYSの初日を収めたディスク1は、胸に迫る超リアル・アルバム。何しろ、録音ポジションからしてアリーナ最前列のセンター席。猛烈に間近な楽音が強力にド迫力のライヴアルバムなのです。普通、最前列の中央となると左右のPAからサウンドが回り込み、解像度の悪いサウンドになっても不思議ではありません。しかし、そうしたウィークポイントがまるでなく、ステレオの均整とド直球サウンドという旨みだけがたっぷりと詰まっている。まさにキニー・マジックの面目躍如たる名録音なのです。そんな楽音に加え、もう1つ最前感覚を描き出しているのが観客の熱狂。ジェフ・ベックを愛する日本人ですから演奏を邪魔するような無粋な事はしないのですが、曲間に思わず沸き立つ歓喜の声が素晴らしい。日本語で「真っ正面だよ、真っ正面!」「もうヘロヘロだよ……」等々、聴いているだけで興奮と喜びが乗り移ってくる猛烈な臨場感なのです。そんなサウンドで描かれるショウも凄まじい。特にジェフはキレッキレでして、当時から「東日本のベスト公演だ!」「いや、ツアー全部でもトップじゃないか?」等々の評判が立ったのも納得の名演ぶり。「People Get Ready」の前では日本語で「アナタハサイコ!」と言い出すほど上機嫌なノリノリのライヴを聴かせてくれます。
【ディスク2:8月12日】
代わっての最終日を収めたディスク2は、ひと味違いトータルに美しいライヴアルバム。こちらの録音ポジションはスタンド席の最前列なのですが、楽音の詳細ぶりは最前列のディスク1と甲乙付けがたいほどクリア。恐らく機材セッティングの調整で距離感を相殺していると考えられますが、これもまた別の意味でキニー・マジック。技術力の高さを思い知らされるサウンドです。クリアな楽音よりも雄弁にポジションを物語っているのが、実は歓声。ディスク1では間近のつぶやきが聴き取れるほど“濃密な熱狂”だったわけですが、ディスク2の熱狂は真逆のスケール感。真っ直ぐに届く楽音の下に大歓声の絨毯が広がり、喝采が湯気のように立ち上ってくる。その感覚は公式ライヴアルバムのようでもあり、コンサート全体をトータルに感じられるスペクタクル録音なのです。そんなサウンドで描かれる“GUITAR SHOPトリオ”もまた、トータル感が素晴らしい。MCもゴキゲンだったディスク1に対し、こちらはMCもなくひたすら演奏に集中。1音1音がクッキリと描かれるクリアっぷりもさることながら、3人が交わす呼吸感がリアルに伝わってくるのです。そして、そのアンサンブルがまた凄い。ベースレスの特殊な編成にも関わらず不足感がまるでなく、テリー・ポジオもトニー・ハイマスも鬼神のよう。そして、ジェフも真正面からぶつかり、半歩も引かない。ジェフは現在に至るまで素晴らしいギターを聴かせ続けていますが、やはり自在とは言っても少しずつ“型”のようなものにハマッていったのは否めない。しかし、この時はそんなそぶりもまったくなく、1フレーズ1フレーズからして猛烈に才気走り、ギターという楽器の可能性を更に広げるかのように多彩。そんなジェフを弾き出す2人も含め、“GUITAR SHOPトリオ”の真価をスタジオ作以上の鮮やかで叩きつけてくるライヴアルバムなのです。観客の心理にもシンクロする熱いディスク1。“GUITAR SHOPトリオ”の芯の実力をトータルに思い知らされるディスク2。同会場のキニー録音でありながら、それぞれにサウンドも演奏も表情の違う2枚組です。これまであまり音源の恵まれなかった“1989年”のイメージを根底から覆す世界初公開ライヴアルバム。
Yokohama Arena, Yokohama, Japan 11th & 12th August 1989 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(67:58)
Live at Yokohama Arena, Yokohama, Japan 11th August 1989
01. Intro 02. Savoy 03. Sling Shot 04. Day In The House 05. Big Block 06. Behind The Veil 07. Freeway Jam 08. Guitar Shop 09. Where Were You 10. Stand Out It 11. Goodbye Pork Pie Hat 12. Blue Wind 13. People Get Ready 14. Going Down
Disc 2(67:09)
Live at Yokohama Arena, Yokohama, Japan 12th August 1989
1. Intro 2. Savoy 3. Sling Shot 4. Day In The House 5. Big Block 6. Behind The Veil 7. Freeway Jam 8. Guitar Shop 9. Where Were You 10. Stand Out It 11. Goodbye Pork Pie Hat 12. Blue Wind 13. People Get Ready 14. Going Down(with Steve Lukather, Neal Schon & John Waite)
Jeff Beck Guitars Tony Hymas Keyboards Terry Bozzio – Drums