
ソウル・ミュージックに目覚めたボウイ史の秘境“THE SOUL/PHILLY DOGS TOUR”。その真実を伝える極上ライヴアルバムが新発掘です。本作に収められているのは「1974年11月18日フィラデルフィア公演」。1974年のボウイと言えば、真っ先に浮かぶのが公式ライヴアルバム『DAVID LIVE』。かの公式盤は「1974年のフィラデルフィア公演」として有名ですが、本作はまったくの別公演。“DIAMOND DOGS TOUR”でも末期にあたる“THE SOUL/PHILLY DOGS TOUR”の一幕なのです。まずは、当時の流れをカンタンにおさらいしてみましょう。
《5月『DIAMOND DOGS』リリース》“DIAMOND DOGS TOUR”・6月14日-7月20日:北米#1(31公演)※公式盤《8月『YOUNG AMERICANS』制作開始》・9月2日-16日:北米#2(12公演)“THE SOUL/PHILLY DOGS TOUR”・10月5日-12月1日:北米#3(30公演)←★ココ★
これが『DIAMOND DOGS』に伴うライヴ・スケジュールです。“DIAMOND DOGS TOUR”はすべて北米公演だったものの、大きく3レッグに分けられ「北米#3」のみ別名“THE SOUL/PHILLY DOGS TOUR”とも呼ばれている。フィラデルフィア公演とは言っても、公式盤『DAVID LIVE』は序盤の「北米#1」であり、本作は最終盤「北米#3」なのです(※注:厳密には『DAVID LIVE』が録音されたのはフィラデルフィアではなく、アッパーダービーです。この町はフィラデルフィアと隣接しており、混同されることがよくある。川崎市が東京都と思われたり、町田市が神奈川県扱いされるのと似た感覚でしょうか)。また、この「北米#3」は新たなツアー名が冠されるだけあって内容も「北米#1-2」とは異なっている。「北米#1」はまさしく『DIAMOND DOGS』の薫りをステージに伝えるショウでしたが、その後に早くも『YOUNG AMERICANS』の制作に着手。ここでカルロス・アロマーを迎えたボウイは、急速にソウル・ミュージックへ傾倒。当時最大規模と言われた巨大名ステージセットも投げ打って、大胆な方向転換を図るのです。そして、「北米#2」を経てソウルへの傾倒は加速し、様変わりした「北米#3」へと突入する。本作は、そんな「北米#3」から新たに飛び出した新発掘オーディエンス録音なのです。2017年になっての新発掘だけでも驚きですが、それ以上に衝撃的なのがサウンド。オーディエンス録音ではあるのですが、その恐ろしくクリアでダイレクトな楽音はほとんどサウンドボード級。骨太にして肉厚な演奏と歌声が轟き、オーディエンス・ノイズがほとんど無いという衝撃録音なのです。この登場に世界中のマニアが震撼。現在、この瞬間にも1人、また1人とマニアが飛びつき、あまりの素晴らしさに打ち震えている真っ最中なのです。そんな話題沸騰の新音源は、その過熱ぶりにやや混乱も起きていますが、本作はキッチリとベストマスターを使用しました。当店は、常にボウイ研究の世界的権威に監修を受けておりますが、今回も研究家が精査。ネット音源では公式『DAVID LIVE』の「Cracked Actor」が繋げられたマスターも出回っていますが、本作にはそんなフェイクはありません。さらに、本作は最新・細心のマスタリングも実施。元音源では狂っていた左右のステレオ・バランスを整え、やや低かった「Rebel Rebel」のピッチも正確に訂正。万全を尽くした最良盤に仕上げました。もちろん、新発掘の美麗な“鳴り”を損なうような無粋なマネは一切しておりません。そうして完成した新発掘音源の最良盤は、『DAVID LIVE』から様変わりした“THE SOUL/PHILLY DOGS TOUR”ならではの音世界が美しく流れ出る。まず何より、バンドからして違う。マイク・ガーソンやアール・スリックは『DIAMOND DOGS』から続いて参加していますが、先述のカルロスを始め、リズム隊はウィリー・ウィークスやデニス・デイビスに交代し、バックヴォーカルにもアヴァ・チェリー、ロビン・クラーク、ルーサー・ヴァンドロスなど、『YOUNG AMERICANS』メンバーが大挙参加。総勢14名に及ぶビッグなアンサンブルなのです。そんなメンバー達が演奏するセットも異なる。公式盤では聴けない「John, I'm Only Dancing (Again)」「Sorrow」「Footstompin’」を始め、すでに制作の進んでいた『YOUNG AMERICANS』からの新曲「Can You Hear Me」「Young Americans」「Somebody Up There Likes Me」が早くも披露されている。過去のレパートリーにしてもファンキーに仕上がり、「1984」や「Rock 'n' Roll With Me」も様変わりしています。それにしても、これほどの録音が43年間も眠っていたとは。貴重な新発掘にして、いきなり“THE SOUL/PHILLY DOGS TOUR”の代表作に踊り出た大傑作です。その後へと続くソウル路線の第一章。
Live at the Spectrum, Philadelphia, PA. USA 18th November 1974 (72:24)
1. Rebel Rebel 2. John, I'm Only Dancing (Again) 3. Sorrow 4. Changes 5. Moonage Daydream 6. Can You Hear Me 7. Young Americans 8. 1984 9. Footstompin' 10. Rock 'n' Roll With Me 11. Love Me Do / The Jean Genie 12. Somebody Up There Likes Me 13. Suffragette City
14. Rock 'n' Roll Suicide 15. Diamond Dogs
David Bowie: Vocals/Guitar Carlos Alomar: Rhythm Guitar David Sanborn: Alto Saxophone/Flute Dennis Davis: Drums Earl Slick: Lead Guitar Emir Ksasan: Bass Micheal Kamen: Piano/Moog/Oboe Mike Garson: Keyboards Pablo Rosario: Percussion Richard Grando: Baritone Saxophone/Flute
Vocals: Anthony Hinton, Ava Cherry, Diane Sumler, Geoffrey MacCormick (Warren Peace), Jean Fineberg, Luther Vandross, Robin Clark