
ギター・インストの大名盤『WIRED』。その大元オリジナル・サウンドを正鵠に復刻した1枚がリリース決定です。これまで究極サウンドを求めて大名盤のアナログ盤をデジタル化した名作群をお届けしてきました。PINK FLOYD、LED ZEPPELIN、DEEP PURPLE、RAINBOW、最近ではBLACK SABBATHの初期作品も人気を博しています。本作は、その『WIRED』編。英国オリジナルの初回プレスLP『EPC 86012』をデジタル化したものなのです。もちろん、単なる盤起こしとはわけが違います。海外のオーディオ・マニアが制作したマスターで、使用したアナログ盤は初回プレスLPの中でも極上のミント・コンディション盤。それをハイエスト環境で再生するわけですが、それもアナログ起こしに特化した機材を揃え、一発目の初回再生の音を記録しているのです。まさに微に入り細に入った作業なわけですが、本作のサウンドはそれだけの工程を証明するかのように美麗。通常、アナログ起こしには針パチが付きもので、デジタル化後にマスタリングで削るのが一般的。ところが、本作はデジタル化した後に一切の加工を加えていないというのに針パチが1つとして見当たらず、プレイヤーの回転ムラも感じられない。艶やかで美しい再生音が絶え間なく全編を貫いているのです。何とも素晴らしい仕上がりなのですが、それはあくまでも作業の精密さによるもの。肝心なのは、そうまでして甦らせた初回プレスLPのサウンドそのものです。これがもう、とんでもなく素晴らしい。『WIRED』のCDというと各楽器がぶつかり合う塊感があり、リマスター後もピークだけが強調して飛び出す。特にスネアの打音はアタックが強調され、塊感のトゲが飛び出しているようなイメージがありました。それに対し、本作は極めて自然なまま、各楽器が鮮やかにセパレートしている。しかも、単に分離して聞こえるのではなく、1つひとつのノートが立ち上がりから消音まで綺麗な山を描き、ピークだけが飛び出るような違和感がない。1音1音に現実感があり、音の向こうに震える弦やドラムヘッドの存在が感じられるのです。こうした感触はアナログ起こしの特権なのですが、それ以上に驚きなのは鮮やかさ。通常、アナログ起こしは鳴りが美しくともエッジは丸くマイルドになりがち。ところが『WIRED』の英国オリジナルLPは、その輪郭・エッジも実にシャープなのです。現在、『WIRED』の最高峰は2016年リリースのSACD盤ですが、本作のクリアさはその最新盤にも劣らない……と言いますか、曲によっては本作の方が鮮やかなくらいなのです。もちろん、本作はSACDのクアドラフォニックの別ミックスではなく、オリジナルの2chステレオ・ミックス。本作は単にリマスターCDよりもナチュラルなだけでなく、英国オリジナルLPがここまでクッキリと鮮明な音だったのか、と驚かされるサウンドなのです。ジェフ・ベックの名作と言うより、ギターという楽器そのものを象徴する大名盤『WIRED』。その原初のサウンドを海外オーディオ・マニアが情熱の限りを尽くして甦らせた1枚です。これこそ、当時のイギリスでしか聴けなかった……いえ、当時では不可能なほどのハイエンド環境によって引き出された“本物の音”。
Taken from the UK original LP (EPC 86012) (37:13)
1. Led Boots 2. Come Dancing 3. Goodbye Pork Pie Hat 4. Head For Backstage Pass 5. Blue Wind 6. Sophie 7. Play With Me 8. Love Is Green