
希代の名盤『AVALON』。その異様な別バージョンがリリース決定です。別バージョンとは言っても本作はデモでもライヴでもなく、正真正銘のオフィシャル品。かつて、1987年の1年間だけリリースされていた日本盤CD「32VD-1051」を精緻に復刻した1枚なのです。そもそも国内盤でCD化されたのは1985年のこと。当初はポリドールからリリースされた初CDは通常通りで、何の変哲もない普通のCD化でした。しかし、異様だったのはその2年後となる1987年にVirginから再CD化されたバージョン。なんと曲順が豪快に入れ替えられた換骨奪胎盤だったのです。その大胆ぶりを整理してみますと……
【旧アナログA面】1. More Than This 2. The Space Between 3. Avalon → India 4. India → Avalon 5. While My Heart Is Still Beating → True To Life
【旧アナログB面】6. The Main Thing 7. Take A Chance With Me → While My Heart Is Still Beating 8. To Turn You On → Take A Chance With Me 9. True To Life → To Turn You On 10. Tara
と、この有様。CDですのでA・B面はないのですが、把握しやすいように分けて記載しました。「Avalon」と「India」が入れ替わっているのはまだ分かる(いや分かりませんが)ものの、その後に続くのがナゼか「True To Life」。外れてしまった「While My Heart Is Still Beating」はB面2曲目に差し込まれ、その後はズレ込んでいる……。新鮮と言えば新鮮ではあるものの、オリジナルでは見事だった「India」→「While My Heart Is Still Beating」の流れも消えてなくなり、リストを見ないで聴いていると「あれ?」が連発する構成になっているのです。なぜ、こんな事態が発生したのかが完全に謎。1985年のポリドール盤は西ドイツ製プレスを流用していたので、本作の1987年が初の日本制作ディスク。しかし、同じ1987年のVirginからはUK盤CDや南アフリカ盤CDも出ているのですが、それらはすべてオリジナルLP通り。変わっていたのは日本盤だけであり、しかもケースに印刷された曲順も正確に(?)間違っていたのです。まさか担当者の悪戯でもないでしょうし、本国から送られてきたであろうマスターを元にして作っていったはず。その本国マスターに、一体何があったというのか……。これが意図ではなかったと確定するのは、翌年のこと。1988年1月には1987年版は廃盤となり、5月にはVirgin Japanから三度のCDリリースが実現。そこではオリジナル通りに戻り、別バージョンは歴史の闇へ消えていくことになったのです。そんな珍バージョン『AVALON』ではありますが、本作はもう1つ聴きどころがある。それはサウンド。先述した通り、初の日本制作によるCD化だったわけですが、そのナチュラルなサウンドがしっかりと永久保存されているのです。ノンリマスターのフラット・トランスファーな鳴りは極めて美しく繊細。しかも、デジタル化の時期が早かったためにマスター・テープの経年劣化もなく、ROXY MUSICが制作した本来のサウンドを忠実に伝えてくれるのです。美しく自然なサウンドで描かれる、ちょっとヘンな『AVALON』。1987年1月から1988年1月までの1年間、日本でのみ流通した超貴重なオフィシャルバージョンを甦らせた1枚です。歴史の悪戯が生み出した大名盤のもうひとつの姿。ぜひ、この機会にお楽しみください。
Taken from the original Japanese CD (32VD-1051 )Release Date: 22nd January 1987 Deletion Date: 21st January 1988
1. More Than This 2. The Space Between 3. India 4. Avalon 5. True To Life 6. The Main Thing 7. While My Heart Is Still Beating 8. Take A Chance With Me 9. To Turn You On 10. Tara