傑作『FACING THE ANIMAL』を引っさげて実現したライヴ・イン・ジャパンの傑作映像がリリース決定です。本作に収められているのは「1998年4月10日:NHKホール」公演。このツアーは絶頂だったイングヴェイ人気に加え、コージー・パウエル参加もアナウンスされて話題が沸騰。歴代ナンバー1規模だった“MUGNUM OPUS TOUR”に次ぐ巨大な来日ツアーが組まれました(結局、バイク事故により離脱したコージーが来日することはありませんでした)。全14公演に及ぶ日程のうち、本作のNHK公演は前半でした。その部分をちょっと観てみましょう。
・4月5日:渋谷公会堂 ・4月6日:赤坂BLITZ ・4月7日:赤坂BLITZ ・4月9日:神奈川県民ホール ・4月10日:NHKホール 【本作】・4月12日:川口総合文化センター 《4月13日-24日:地方公演8回》
これは全14公演の前半だった関東公演だけをまとめたもの。東京だけでも4公演が組まれ、この後も北は札幌から南は福岡まで列島を縦断するスケジュールでした。本作はその東京最終日です(ちなみに、初日の渋谷公演があった4月5日にはコージーがサーブ9000に乗って事故を起こし、帰らぬ人となりました)。そんな本作は、非常に素晴らしいオーディエンス・ショット。ステージ左寄りから撮影されているのですが、2階スタンド最前の手すりを三脚代わりにしているのか、画面下に影が入るものの、その代わりに前列の影もなく遮蔽物ナシでステージだけが直接目に入る。そのポジションを固めるか、1曲目の「Braveheart」ではフレームアウトすることもあるものの、一度固まってしまえば果敢なズームでも手ブレなしの安定感でたっぷりと楽しめるのです。そして、その強力なズームが素晴らしい。イングヴェイのウェスト・アップにまでグイッと迫るのですが、安定感の上に鮮やかなマスター鮮度によってやけに美しい。もちろん、アナログ撮影ですのでデジタル画質はいきませんが、最接近するとアコースティック・ギターの弦1から揺れる長髪に至るまで鮮明に見えるのです。残念ながらアンコール前に3曲+鍵盤ソロがカットされているためにギフトになりましたが、その映像美も撮影テクニックも十二分なものなのです。そんなクオリティで描かれるのが、我が世の春を謳歌していたイングヴェイのショウ。カバーアルバム『INSPIRATION』やオケ共演『CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA』といった企画活動が続いていただけに、久々の通常スタイルは実にフレッシュ。しかも、新シンガー:マッツ・レヴィンを迎え、曲も久々の快作『FACING THE ANIMAL』の強力ナンバーがズラリ。いつにも増して“勇壮”なイングヴェイがたっぷりと味わえるのです。また、そのマッツがまた、実に素晴らしい。ハスキーでややダーティな声質はジェフ・スコット・ソート以来のタフネスを演出し、歌唱力もバツグン。『FACING THE ANIMAL』の新曲はもちろんのこと、歴代シンガーが歌ってきた名曲群も時にブルージーに、時に壮麗に歌い上げ、ハイノートも問題なし。ポップな「Heaven Tonight」でさえ、タフでワイルドなロックナンバーに仕上げてみせる(どこかスティーヴ・リー時代のGOTTHARDのよう)。イングヴェイの歴史では異色のタイプではありましたが、それだけに他にはない輝きを見せつけてくれます。返す返す、3曲分の撮影漏れが悔やまれる。それほどまでに本作の基本クオリティが素晴らしく、無視するには惜しい傑作ショットなのです。ルーツやコンツェルトを経験し、同郷スウェーデンのシンガーを迎えて勇壮な新世界を拓いた1998年のイングヴェイ。そのライヴ・イン・ジャパンを体験できる1枚。
Live at NHK Hall, Tokyo, Japan 10th April 1998 AMAZING SHOT
1. Intro 2. Braveheart 3. Facing the Animal 4. Rising Force 5. Bedroom Eyes 6. Guitar Solo 7. Guitar Intro. 8. Far Beyond The Sun 9. Like An Angel (For April) 10. My Resurrection 11. Seventh Sign 12. Guitar Solo 13. Red House 14. Acoustic Guitar Solo 15. Black Star 16. Heaven Tonight 17. I'll See the Light, Tonight
COLOUR NTSC Approx.90min.