HR/HM系バラードを特集した映像コンピレーションがリリース決定です。本作は、ポリグラムが制作したバラード映像作品『ROCK BALLADS』。SCORPIONS、BON JOVI、CINDERELLA、EXTREME、KINGDOM COME、イングヴェイ・マルムスティーン等々など、所属バンド/アーティストのバラード・クリップ集なのです。当時、ビデオとレーザーディスクでリリースされたものですが、もちろん未DVD化。本作では、国内コア・コレクターが当時の秘蔵していた日本盤レーザーディスクから精緻に復刻しました。まさに当時そのもののクオリティで蘇るのは、当時の匂いそのもの。DIOの「All The Fools Sailed Away」だけは1987年ですが、他は1989年から1991年ばかり(BON JOVIの「I’ll Be There For You」は1988年の曲ですが、シングルカットは1989年)。すでに地下からグランジ勢のマグマが近づきつつあったわけですが、本作にはその影はなく、輝ける“80年代の残照”を全身に浴びた美メロディたちが次から次へと流れ出る。しかも、80年代後期のバブリーなギラギラ感ともチョット違い、GUNS N’ ROSES以降のストリート回帰感覚や素朴さを身にまとっている。浮ついた80年代の喧噪に疲れ、ホッとするようなメロディを求めていた時代のムード。“1989年-1991年”だからこその薫りが立ち上るのです。もちろん、クリップの作りも当時風。MTV隆盛期に流行った“演技するアーティスト演出”はなりを潜め(皆無ではありませんが)、渋い演奏シーンが中心。その上で、役者たちが歌詞世界を描き出し、稚拙なCGにも「こんな事が出来る!」のハシャギ感がない自然な映像処理で雰囲気を盛り上げる。すでに「ミュージック・クリップ」が定着し、試行錯誤の末にたどり着いた演出法が確立した時代が薫るのです。そして、その時代感は個々の曲を超えて作品コンセプト全体にも広がっている。そもそも“バラード映像コンピレーション”なる存在自体が、時代の産物なのです。80年代初期から登場した家庭用の映像メディアが定着しつつ、まだケーブルテレビもネットもない時代。飲食店やボーリング場には1曲100円ほどでPVを流すレーザーディスク・ジュークボックスが置かれ、書店にはビデオ・マガジンなども売られていた。ビデオは普及していない昔でも、配信・CATVが発達した現代でもあり得ない。本作は、そんな時代に鳴っていたバラード・ブームごと、“あの光景”と“薫り”にむせ返る1枚なのです。お目当てのバンド/曲を楽しむのも良いですが、ぜひ1枚を通してBGVにしていただきたい。若々しい姿と歌声が1曲、また1曲と重ねられることで「80年代と90年代の狭間」の空気感が醸成されていくのです。現代では考えられず、また再発もあり得ないであろうオフィシャル映像コンピレーション。その史上最高峰クオリティ版。懐かしくも、匂い立つ26年前の“バラード・ブーム”。ぜひ、存分にお楽しみください。
Taken from the Japanese Laser Disc (VALP-3292) released in 1991 (44:51)
1. Scorpions - Winds Of Change 2. Bon Jovi - I'll Be There For You 3. L.A. Guns - The Ballad Of Jane 4. Cinderella - Heartbreak Station 5. Extreme - More Than Words 6. Doro - A Whiter Shade Of Pale 7. Jon Bon Jovi - Miracle
8. Kingdom Come - Should I 9. Yngwie Malmsteen - Save Our Love 10. Dio - All The Fools Sailed Away
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.45min.