盟友コージー・パウエルと組んだ初のソロツアー“BACK TO THE LIGHT TOUR 1992-1993”。そのオフィシャル映像がリリース決定です。フレディ・マーキュリーを失ったQUEENは活動を停止し、次の活動が注目されていたブライアン・メイ。その彼がソロ活動を始めたのは、フレディ死去の翌1992年のことでした。ブライアンは旧友であるコージー・パウエルを迎えてアルバム『BACK TO THE LIGHT』を制作、ワールドツアーを開始しました。その一幕「1993年6月15日ロンドン公演」は公式に撮影され、作品化もされました。本作は、そのオフィシャル映像『LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY』をDVD化したものです。まずは、このショウのポジションをツアー概要の中で見てみましょう。
《1992年4月20日:フレディ追悼コンサート》 《1992年9月28日『BACK TO THE LIGHT』発売》 ・1992年11月:南米(5公演)・1993年2月-4月:北米#1(22公演)・1993年5月-7月:欧州#1(30公演)←★ココ★・1993年9月12日:スイス(1公演)・1993年10月:北米#2(8公演)
・1993年11月:日本(7公演)・1993年11月-12月:欧州#2(18公演)
これが初ソロツアーの全体像。コージー最後の来日となった日本公演も思い出深いところですが、本作のロンドン公演はその約半年前にあたる「欧州#1」の15公演目にあたるコンサートです。この映像が発売されてから20年以上経っていますが、未だに公式にはDVD化されず、闇に葬られたままになっている傑作映像なのです。本作では、当時リリースされたミントクオリティの日本版VHSを使用し、精緻にDVD化いたしました。そのクオリティはVHSソースが信じられないほどに素晴らしい。艶やかな発色、ノイズ皆無の音声、VHSの宿命であるはずの走行ムラや画面端の歪みさえ一切ない。もちろん、アナログを経由しているはずなのですが、デジタル映像に慣れきった現代の眼にも美麗端正。何のインフォメーションもなければ、レーザーディスク起こしとしか思えない極上のクオリティなのです。そんな映像美で描かれる“BACK TO THE LIGHT TOUR”の素晴らしさ……。もちろん、ソロアルバム『BACK TO THE LIGHT』のナンバーも演奏されますが、ショウの中核はQUEEN。輝ける名曲群をブライアン本人が歌い、弾いていくのです。その歌声が実に素晴らしい。もちろん、QUEENでも美声を聴かせてくれましたし、歌の巧さは百も承知。しかし、彼がフレディの曲も歌いきれるのか、そもそも1人でフルショウを歌ってノドが保つのか……。当時はそんな心配もしたものですが、ここでは繊細なだけではなく力強いヴォーカリゼイションも披露。現代の私たちは、代役シンガーによる“QUEEN+○○”も目撃しているわけですが、それでもまったく物足りなさを感じない……いえ、ブライアン本人だからこその“本物感”は、“QUEEN+”さえも凌駕しているほどです。そして、彼を支えるバックバンドが最高。QUEENでもサポートを務めるスパイク・エドニーやジェイミー・モージズもさることながら、やはり盟友コージーが素晴らしい! コージーは最期まで渡り鳥でしたが、晩年の基本はTHE BRIAN MAY BAND。スケジュールでも最優先にされており、さまざまなバンド/プロジェクトも「ブライアンと被らなければ」との条件だったそうです。それだけに、本作のコージーは単なる“手伝い”ではなく、「俺のメイン」の気迫十分。しかも、その気迫が“パワー”ではなく、“意欲”に向かっているから素晴らしい。コージーというと力押し一辺倒と思われがちですが、初期には繊細な技で気紛れジェフ・ベックと渡り合い、後期でもBLACK SABBATHでは独自のドラムリフでドラマを演出していた巧者。トニー・アイオミも「ロックドラマーというより、パーカッショニスト」と評していましたが、本作でも硬軟を巧みに叩き分け、QUEENの名曲群を大いに盛り立てているのです。とは言え、パワーもまたコージーの大事な魅力。それが炸裂するのがドラムソロをフィーチュアした「Resurrection」です。そもそも、この曲自体がコージーのソロ曲「Ride To Win」をヴォーカルナンバーに改作したもの(オリジナル・バージョンのギターもブライアンでした)。ブライアンのギターソロに雷鳴の如き勇壮ドラミング割って入り、一気にコージー・ワールドに突入! そして、そのままドラムソロへ。ここでは比較的短めのソロながら、あの「1812年」をフィーチュア。WHITESNAKE後期の1984年から長らく「火星」をテーマにしてきましたが、ここで復活したのです。そして大団円を迎えた後は、QUEENの「Tie Your Mother Down」を挟んで再び「Resurrection」でフィニッシュ。まさにドラムヒーローの面目躍如。“Cozy on Stage”なのです(そして、これがコージー最後のバージョンとなってしまいました……)。さらにコージーならではの1曲は「Since You've Been Gone」。COZY POWELL’S HAMMERでも演奏していましたが、この曲をリクエストしたのはブライアンだったそう。いかに当時のブライアンとコージーが相棒だったのかが分かります。 フレディの死を振り切るようにソロ活動を始めたブライアン・メイ。その復活劇を支えた英雄コージー・パウエル。不幸にも長くは続かなかった2人の盟友が描く“QUEENの次”です。その色鮮やかでパワフルなショウを超美麗なオフィシャル・クオリティで味わえる1枚。
Live at the Brixton Academy, London, UK 15th June 1993 PRO-SHOT Taken from the original Japanese VHS (TOVW-3178)
1. Back To The Light 2. Driven By You 3. Tie Your Mother Down 4. Love Token 5. Headlong 6. Love Of My Life 7. '39 / Let Your Heart Rule Your Head 8. Too Much Love Will Kill You 9. Since You've Been Gone 10. Now I'm Here 11. Guitar Extravagance 12. Resurrection
13. Drum Solo feat. 1812 Overture 14. Tie Your Mother Down/Resurrection(reprise) 15. Last Horizon 16. We Will Rock You 17. Hammer to Fall
Brian May - lead vocals, lead guitar Cozy Powell - drums, percussion Neil Murray - bass guitar Spike Edney - keyboards, backing vocals Jamie Moses - rhythm guitar, backing vocals Cathy Porter - backing vocals Shelley Preston - backing vocals
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.89min.