
因縁の両雄、METALLICA・MEGADETHが初めて合同ツアーを行ったのは、1993年のことでした。それまで“犬猿の仲”と思われていた2大巨頭の“和解”とも言われた現場。メタル者なら誰もが体験したいショウを目撃できるオーディエンス・ショットがリリース決定です。デイヴ・ムステインがMETALLICAを追放されたのは、1983年4月のこと。それから34年、METALLICA・MEGADETHは何度かステージを共にしてきました。今週は、その競演作『WOODSTOCK '99: DIGITAL MASTER EDITION』『DOWNLOAD 2012』も登場しますが、ここで両雄の競演史を振り返っておきましょう。
《1983年4月:METALLICAからムステイン追放》 A:1985年12月:NEW YEAR’S EVE 1985(1公演) B:1993年6月:和解ツアー(5公演) ←★ココ★ C:1999年7月:WOODSTOCK ’99(1公演) D:2010年6月-2011年9月:THE BIG 4(13公演) E:2012年6月:DOWNLOAD FESTIVAL(1公演)
これは海外マニアがリサーチした競演データ。全21公演しかなく、“THE BIG 4”プロジェクトの「D」をのぞくと34年間で8公演だけでした。本作に収められているのは、その中でも両雄が大ヒット作『BLACK ALBUM』『COUNTDOWN TO EXTINCTION』で黄金時代を謳歌していた「B」。この時は「10年越しの和解」と言われ、5公演のミニツアーを実施。本作は、その中の「1993年6月12日ロッテルダム」公演です。ここで、そのスケジュールも見ておきましょう。
・6月5日:ミルトンキーンズ『BULLSHIT IS OVER!!』・6月8日:ブラチスラヴァ ・6月9日:ブダペスト ・6月12日:ロッテルダム 【本作】・6月22日:トリノ
これが通称“和解ツアー”の全5公演。初日のミルトンキーンズ公演は極上ステレオサウンドボード・アルバム『BULLSHIT IS OVER!!』が大ヒットを記録しましたが、本作のロッテルダム公演はその1週間後。あの大傑作の映像編とも言えるオーディエンス・ショットなのです。そのクオリティは、何より目も覚めるようなクリアな視界が素晴らしい。ステージ右側(マーティ/カーク側)スタンド席からの見下ろしショットなのですが、最前席なのか遮蔽物ゼロ。アナログ時代だけに果敢なズームにも限界はあるものの、“ステージだけ”が画面を占領する視界なのです。しかも、安定感も素晴らしい。のぞき穴のような影が入ることからも隠し録りなのは間違いないのですが、まるで三脚でも使ったようにビシッとしており、見どころを追ってもほとんど手ブレを起こさない。もう1つ素晴らしいのがマスターの鮮度。ダビング痕も経年劣化もなく、白線ノイズ1本さえもない美麗な映像美は、まるで昨日録ったかのように瑞々しい。さらに加えて、サウンド。METALLICA編は録りっぱなしのビデオカメラ音声なのですが、MEGADETH編は海外マニアによって別収録の極上音声に差し替えられている。そのクオリティたるや、逞しい骨太サウンドが真っ直ぐに飛び込み、音声だけのライヴアルバムな素晴らしさ……と言いますか、これでMETALLICA編も同等のサウンドだったら……。そんなクオリティで描かれる両雄の定点観測は、まさに至極のメタル・タイム。先述しましたが、この時の両雄は今をときめく『BLACK ALBUM』&『COUNTDOWN TO EXTINCTION』時代。METALLICAはジェイソン・ニューステッド、MEGADETHはマーティ・フリードマン&ニックメンザが在籍しており、大成功の風を全身に浴びた堂々たるパフォーマンスをたっぷりと魅せてくれるのです。しかも、メンバーだけじゃない。そのショウは全米1位・2位を記録した新曲と怒濤のスラッシュ・ナンバーで埋め尽くされている。超名盤『BULLSHIT IS OVER!!』は極上サウンドボードとは言え、放送収録のために一部がカットされた不完全版でした。それに対し、本作は正真正銘の完全撮影。MEGADETHなら「Holy Wars... The Punishment Due」「Countdown To Extinction」「Sweating Bullets」「Ashes In Your Mouth」、METALLICAなら「Enter Sandman」「So What!」といった必殺の超名曲もたっぷりと味わえるのです。METALLICA・MEGADETH、双方が黄金期ド真ん中のライヴなのですが、そこに競演だからこその特別感、“負けるか!”の気迫も注入された最高のメタル・ショウ。超名盤『BULLSHIT IS OVER!!』の映像編にして、完全版としても楽しめる1本です。
希代の名バンドそれぞれを愛するだけでなく、長年にわたって両雄の新作を1枚ずつ楽しみにし、その歩みを見つめてきた方ほど感慨も深い傑作映像。
Feijenoord Stadium, Rotterdam, The Netherlands 12th June 1993
Disc 1: MEGADETH(58:24)
1. Intro. 2. Holy Wars... The Punishment Due 3. Skin O’ My Teeth 4. Wake Up Dead 5. Countdown To Extinction 6. Sweating Bullets 7. In My Darkest Hour 8. The Conjuring 9. Ashes In Your Mouth 10. Symphony Of Destruction 11. Peace Sells 12. Anarchy In The U.K.
Disc 2: METALLICA(158:48)
1. The Ecstasy Of Gold 2. Creeping Death 3. Harvester Of Sorrow 4. Welcome Home (Sanitarium) 5. Of Wolf And Man 6. Wherever I May Roam 7. The Thing That Should Not Be 8. The Unforgiven 9. Disposable Heroes 10. Bass Solo 11. Orion/To Live is to Die/Call of Ktulu
12. The Four Horsemen 13. For Whom The Bell Tolls 14. Fade To Black 15. Master Of Puppets 16. Seek & Destroy 17. Battery 18. Nothing Else Matters 19. Sad But True 20. Last Caress 21. One 22. Enter Sandman 23. So What!