YESの創始者、ジョン・アンダーソンとクリス・スクワイア。2人の巨人が並び立った最末期の傑作映像が登場です。本作が撮影されたのは、黄金期の5人がそろった最後のツアー“35TH ANNIVERSARY TOUR 2004”の一幕。「2004年9月19日ロサンゼルス公演」です。このツアーの最終日は“9月22日”でしたが、本作はその1つ前のステージでした。そして、ツアーを終えたYESからはジョンが去り、彼が戻らぬまま、2015年にクリスが逝去。つまり、本作は2人が並び立つ最後から2回目の光景なのです。それほど貴重な映像、どんな画質であろうと満足できるところなのですが、本作はそんな事情なしでも十二分に楽しめるほどのクオリティなのです。ステージ正面、ややスクワイア寄りからのアングルで、開演直後は「遠景で残念かな?」とも思いますが、演奏が始まるや前方客が一斉に着席して一気に視界が広がる。その後は、各メンバーのズームを巧みに多用した極上の映像美がたっぷりと見られるのです。そして、サウンドも文句なし。前方席が着席したことで遮蔽物が一切なくなり、会場の空間を真っ直ぐに突っ切ってくる楽音の輪郭がキリリと際立つ。オーディエンスでは難しい低音も太く、クリスのゴリゴリとしたベースサウンドも美しい。複雑に絡むYESアンサンブルにあっても、“黄金の5人”1人ひとりの機微も見事に聴き取れます。その上で、ジョンのエンジェリック・ヴォイスやコーラスが天から降り注ぐような感覚、リック・ウェイクマンのカラフルなフレーズの荘厳さはオーディエンスならでは。このツアーからは、オフィシャル映像「SONGS FROM TSONGAS」もリリースされていますが、その本生100%の客席バージョンとしても楽しめるクオリティです。その上、「SONGS FROM TSONGAS」にはなかった「America」「Clap」「Awaken」までもがたっぷりと観られるのです。そのクオリティで描かれる“ジョン&クリス”の姿は、やはり胸に熱い。もちろん、この映像の中の2人は「あと2回で別れる」とは思ってもいなかったでしょうし、35周年を祝うピースフルな雰囲気を楽しむように穏やかに笑い、気持ちよく演奏している。そんなムードが際立つのは、ショウ後半のアコースティック・セット。35周年ツアーの目玉のひとつでもあったわけですが、ユーモアを交えながらメンバー同士がフレーズでじゃれ合うようなムードが暖かい。特に「Long Distance Runaround」では、歌詞をちょっと変えて観客の爆笑を誘います。アコースティック・ギターとベースをつま弾くジョンとクリスが並び、その響きに混じり合う2人の声……この光景はもう二度と戻りません。こみ上げる寂しさが優しい歌声に癒されながらも、それが限りなく暖かいからこそ想いも募る。1本のコンサート映像としても素晴らしく、それ以上に胸に迫る1枚。クリスとの最後の別れになってしまった日本公演から1年。そんな今だからこそ、彼との想い出を蘇らせてくれる本作を、あなたに贈ります。(138:08)
1. Firebird Suite 2. Going For The One 3. Sweet Dreams 4. I’ve Seen All Good People 5. America 6. South Side Of The Sky 7. Yours Is No Disgrace 8. Clap 9. Long Distance Runaround (acoustic) 10. Wondrous Stories (acoustic) 11. Roundabout (acoustic) 12. Owner Of A Lonely Heart (acoustic) 13. And You And I
14. Awaken 15. Starship Trooper
Jon Anderson – Vocals Steve Howe – Guitars Chris Squire – Bass Rick Wakeman – Keyboards Alan White – Drums
COLOUR NTSC Approx. 138min.