未DVD化のオフィシャル映像作品『IN THE BIG DREAM』がリリース決定です。ABWHの映像というと、YES合流後にリリースされた『イエス・ミュージックの夜』が有名ですが、本作は活動中に発表されたもの。当時ビデオとレーザーディスクでリリースされましたが、現在廃盤となっているものです。本作では、国内コア・コレクターが秘蔵していた日本盤レーザー・ディスクからデジタル化いたしいました。そんな本作は、まさに極上クオリティ。当店では、数々の廃盤アナログ映像をアーカイヴしておりますが、その中でも特級。もちろん、ミント・クオリティ盤だからこそ成し得た映像美なのですが、それにも増して大元のオフィシャル映像が優れている。そのクオリティで描かれる内容は、ざっくり言うとクリップ集。3曲「Brother Of Mine」「Order Of The Universe」「Quartet (I'm Alive)」のクリップをメインに、「Heart Of The Sunrise」のライヴ映像が収められています。ただし、このライヴは『イエス・ミュージックの夜』と同じものなので、あまり貴重は言えません。しかし、このクリップが美しくも素晴らしい。夕方のニュース番組でもお馴染みの「Order Of The Universe」はライヴ映像にスタイリッシュな映像処理を加えた普通の仕上がりですが、他2曲はぶっ飛んでいる。「Brother Of Mine」では民族風メイクのダンサーが身体の柔らかさを誇示するように踊りますが、そこに「アレ?」と思う顔も混じる。ビル・ブルーフォードやスティーヴ・ハウもメイクで登場し、そのまま演奏シーンへと雪崩れ込むのです。そして、極めつけが「Quartet (I'm Alive)」。これがまた不思議ちゃんなジョン・アンダーソンのキャラクター全開。爽やかな大空の中でダリか?ヒプノシスか?といった異世界が繰り広げられ、ジャンボジェットが鳥のように羽ばたく……。一体、レコード会社はどんなイメージで売りたかったのか?と思いつつ、妙に納得もしてしまう傑作クリップです。そんなクリップ以上に見どころなのが曲間に挟まっているインタビューシーン。実のところ、『イエス・ミュージックの夜』のボーナス映像としてDVD化されているシーンなのですが、ポイントは日本語字幕。DVDは輸入マスターなので何を言っているのか分かりませんが、本作は日本盤レーザーディスクならではの字幕で楽しめるのです。おおよそは邂逅の経緯や活動の意義、音楽的な話なのですが、思わず4人のキャラクターも透ける。いきなり奇声を上げてふざけるビル、クリケットのスティックで遊ぶリック・ウェイクマン、ひたすらストイックにギターをつま弾くハウ……。そんなメンバー達をオーガナイズするジョンの天真爛漫ぶりも史上最高峰クオリティ&日本語字幕で目撃できるのです。複雑なYES史の象徴でもあったABWH。単に離合集散だったわけではなく、当時の彼らはしっかりとビジョンを持って集い、音楽を紡ぎ出していた。その素顔を感じられるオフィシャル映像です。メインがクリップ3曲というマニアックな内容ゆえに公式にDVD再発は望めませんが、だからこそマニアには心くすぐられる1枚でもある。人知れず眠り続けるのは惜しいオフィシャルの美映像作品。
Taken from the original Japanese Laser Disc(BVLP-4)
1. Themes 2. Jon Anderson 3. Brother Of Mine 4. Studio Talk/Bill Bruford 5. Order Of The Universe 6. Rick Wakeman 7. Steve Howe 8. Quartet (I'm Alive) 9. Jon Anderson10. Heart Of The Sunrise(Live)
Live at Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA. USA 9th September 1989
11. Teakbois (End Credit) 12. Promo Spot
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.37min.