初来日も果たした“AND THEN THERE WERE THREE TOUR 1978”。そのヒストリカルな極上映像がタイトルで登場です。本作に収められているのは「1978年10月10日コロンバス公演」。当時撮影されたフルカラーの8ミリフィルムを海外のコアマニアが精緻に組み上げた傑作映像です。当店では、70年代8ミリを駆使した映像作品を数多くご紹介しておりますが、その中でも格別の完成度を誇る逸品です。その中身に触れる前に、まずはショウのポジションをツアー全景の中から確認してみましょう。
・3月26日-4月22日:北米#1(18公演)・5月14日-6月24日:欧州#1(26公演)・7月3日-31日:北米#2(20公演)・8月20日-9月9日:欧州#2(10公演)・9月29日-10月22日:北米#3(17公演)←★ココ★・11月27日-12月3日:日本(6公演)
これが『AND THEN THERE WERE THREE』時代のツアースケジュール。当時の記録には曖昧なところもあるので確実ではありませんが、おおよそのイメージは把握いただけると思います。本作のコロンバス公演は、ツアー後半「北米#1」の7公演目。あと10公演ほどこなしたところで、伝説の初来日を果たすというタイミングでした。そんなショウが映像で残っているだけでも画期的なのですが、そのクオリティも実に素晴らしい。まず衝撃的なのは「長さ」。当店の8ミリ映像作品に親しまれている方ならご存じとは思いますが、8ミリは撮影時間が短い。80年代以降のようなフルショウ一気貫通は臨むべくもなく、細切れ映像にならざるを得ません。本作でもそれは同じなのですが、撮影タイミングはショウの全体に渡り、全曲の映像が合計55分にも及ぶ。1曲1曲は完全でなくとも、ショウの全景を見つめることができるのです。これは数ある8ミリ映像作品でも、非常に希なことです。さらに、その細切れを逆手に取ったような「アングルの多彩さ」。冒頭、後方席からの遠景で始まりますが、撮影ごとに場所を変えており、開場のあらゆる視点が楽しめる。しかも、その中身が凄い。前方の間近席だけでも素晴らしいのに、なんとバックステージからの撮影まである。ステージの右袖、真後ろ、左斜め視点……。それこそ、現代プロショットのようなドアップで精緻な演奏が目撃できるのです。その光景を描く映像美も極めて美しい。フィルムの保存状態が良かったこともあるでしょうが、さらにデジタルでブラッシュアップされたと思しきカラフルな映像は、当代きってのライトショウを見事に描き出している。その上に来て、まったくブレない安定感。関係者が三脚撮影したのか、デジタルでブレを補正したのかは分かりませんが、極めてビシッとした映像美が全編を貫いているのです。そんな映像芸術を娯楽作品にしているのがサウンド。実は、当時にしては珍しい「音声付き8ミリ」で撮影されていたそうですが、さすがにその音声では記録的すぎ、“楽しむ”とはいかなかった。そこで、コロンバス公演の3日後である「1978年10月13日シカゴ公演」のオフィシャル級FMサウンドを(しかもベストマスターをキッチリ選択して)シンクロさせている。つまり、「公式ライヴアルバムを映像付きで見る」ような感覚なのです。そのシンクロ度も別公演とは思えないほど完璧。当時のGENESISが毎晩完成度の高いショウを行っていた証左でもあるわけですが、その上に「音声付き8ミリ」だったのが功を奏したのでしょう。普通の8ミリ映像の場合、身振りや手・口の動きで曲を判別しなくてはならないのですが、本作の場合gは曲・フレーズを正確に合わせることができているのです。 そんなクオリティで描かれるショウは、まさに“70年代プログレ最後の輝き”そのもの。精緻な演奏はもとより、フィル・コリンズによる演劇的なパフォーマンス、火花散るツインドラムのバトル……。その1つひとつが色鮮やかに描かれていく。バックステージの接写ではメンバーの美技が事細かに感じられ、遠景では最新ライトショウが紡ぐ壮大な幻想が画面いっぱいに広がる。先述の通り各曲はダイジェストになるわけですが、数ヶ月を費やしたという編集も丁寧で、唐突感もなく浸りきれるのです。まさにヒストリカルな大傑作。単に貴重なのではなく、執念の編集と極上FMサウンドで十二分に娯楽作として仕上がったライヴ映像美術です。英国が生み出した魅惑の”プログレッシヴ・ロック”。その70年代最後の輝きを、ぜひ本作でご体験ください。
Live at St. John's Centre, Columbus, OH. USA 10th October 1978 (Audio: synched with soundboard recording from Uptown Theatre, Chicago, IL. USA 13th October 1978)
1. Intro. 2. Eleventh Earl Of Mar 3. In the Cage 4. Burning Rope 5. Ripples 6. Deep in the Motherlode 7. One for the Vine 8. Squonk 9. Say It's Alright Joe 10. The Lady Lies 11. Cinema Show 12. Afterglow 13. Follow You Follow Me 14. Dance on a Volcano 15. Drum Duet 16. Los Endos 17. I Know What I Like
COLOUR NTSC Approx.55min