ソーニャ・クリスティーナとダリル・ウェイの2枚看板でロックを進化させていた初期CURVED AIR。その貴重なプロショットを極上クオリティで約85分も集成した大傑作がリリース決定です。本作に収められているプロショットは4種類。すべて『AIR CONDITIONING』から『PHANTASMAGORIA』までのもので、ロックにヴァイオリンを持ち込んだパイオニアとして輝いていた時代の彼らです。それでは、それぞれの映像を個別にご紹介していきましょう。
【1972年4月:ベルギー“POP SHOP”】
まず登場するのは『PHANTASMAGORIA』時代。アルバム発売と同時期に出演したベルギーのテレビ番組“POP SHOP”です。ベルギーのBBC、NHKとも言える公共放送局RTBFの音楽番組ですが、そのクオリティは衝撃的。収録こそ70年代ヨーロッパの薫りたっぷりですが、そのサウンド、映像美はデジタル全盛の現在の眼にも超絶。本作はコア・マニアが制作したコンピレーションで詳細は伝わっていないものの、エアチェックではなく放送局マスターのダイレクト・コピーなのは間違いない。「そう見える」ではなく「それ以外にあり得ない」……そうクオリティが言っているのです。そのクオリティで描かれるのは、歴史的名盤をモノにした彼らの苛烈なプログレッシヴ・ロック。傑作『PHANTASMAGORIA』から「Marie Antionette」「Melinda (More Or Less)」とデビュー作『AIR CONDITIONING』から「Propositions」「Vivaldi」の2曲ずつがセレクトされ、アルバム以上に熱い演奏が繰り広げられる。どの曲も観客ナシのスタジオ・ライヴではありますが、そのインター・プレイは特濃で、何かに憑依されたように目を閉じ、鬼気迫る演奏に入り込んでいくダリルの姿がド迫力。ベルギーと言えば、UNIVERS ZEROを筆頭にしたチェンバー・ロックの名産地でもありますが、その原点にはこの放送もあったんじゃないか……そんな妄想まで掻き立てられる大傑作プロショットです。
【1971年7月6日:フランス“POP2”】
続いて登場するのは『SECOND ALBUM』。アルバム発売の約2ヶ月前に出演したフランスの音楽番組“POP2”です。これまた驚異的なプロショット。上記の“POP SHOP”に比べるとやや画質に甘さがありますが、これは恐らく収録した放送局の関係。艶やかでノイズレスな映像美は、こちらも間違いなく放送局マスターと思われ、ダビング痕や経年劣化などまったく皆無。やはりオフィシャルDVDでそのままリリースできる超極上映像です。そして、そんなクオリティで描かれるのは、狂気さえ感じさせるライヴ。発売の迫る『SECOND ALBUM』の「Back Street Luv」をフィーチュアしつつ、デビュー作の「Propositions」「Vivaldi」と合わせて計3曲を披露していますが、それ以上なのがパフォーマンスそのもの。本作はどれも放送局内でのスタジオ・ライヴですが、この映像だけは観客も入れたもの。それが演奏に一層の凄味を加え、さらに観客の存在に触発されたパフォーマンスをも引きだしている。特に凄いのは、やはりダリル。強烈なインプロヴィゼーションはもちろんのこと、陶酔しきった表情でヴァイオリンを掲げ、床を転げ回っては異音を発し、虚空に叩きつけるように上体を振りながら狂ったフレーズを連発する。キース・エマーソンは「鍵盤のジミヘン」とも言われましたが、この映像のダリルはまさに「ヴァイオリンのジミヘン」です。
【1971年3月+9月:西ドイツ“BEAT-CLUB”(2種)】
最後は、西ドイツの名物番組“BEAT-CLUB”に出演した際のプロショット。これまた超極上で、曲間に編集用のカチンコ映像も挟まる局マスターです。この番組からは2種収録されており、1つは『AIR CONDITIONING』でのデビューから4ヶ月という1971年3月のもの。「Vivaldi」「Propositions」に加え、「It Happened Today」も披露しています。この番組はサイケデリックな映像処理でも有名ですが、本作でもプリクラのようなフレーム処理や七色の合成処理が強烈。演奏も極初期だけあって若々しく、ソーニャのシャウトもほとんど悲鳴。何から何まで実にサイケデリックな映像です。もう1つは半年後の1971年9月に出演したもの。この時は『SECOND ALBUM』のリリース直後で、「Back Street Luv(2テイク)」「Piece Of Mind」といった当時の新曲を披露しています。面白いのは「Back Street Luv」。最初のテイクは放送用に映像処理されたものですが、2テイク目は未処理バージョン。現場は映像加工するためのブルーバックで、照明にも映り込まないようにブルーのカーテンで隠されている。ハッキリ言ってムードもへったくれもない作業現場なのですが、これが実に面白い。“BEAT-CLUB”はさまざまなバンドで凄まじくサイケデリックな映像を残していますが、その現場が現代オフィシャル級の映像美でリアルに映し出されるのです。 ギターともキーボードとも違うヴァイオリンでロックを極めんとしたパイオニア、CURVED AIR。その姿を完全オフィシャル級の超美麗マルチカメラ・プロショットで見られる。これに尽きます。オフィシャル・リリースすべき超一級の文化遺産。
High Quality Studio Live Video compilation PRO-SHOT
Pop Shop, RTBF, Belgium April 1972 1. Marie Antionette 2. Propositions 3. Melinda (More Or Less) 4. Vivaldi
POP2, La Taverne de l'Olympia, Paris, France 6th July 1971 5 Back Street Luv 6. Propositions 7. Vivaldi "Beat-Club" Sessions, Radio Bremen, Germany 1971 8. Vivaldi (March 1971) 9. It Happened Today (March 1971) 10. Propositions (March 1971) 11. Back Street Luv [Take 1] (20th & 22nd September 1971)
12. Back Street Luv [Take 2] (20th & 22nd September 1971) 13. Piece Of Mind (20th & 22nd September 1971)
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.85min.
(メーカーインフォによる)