
ボウイ史上、もっともポップでゴージャスな“GLASS SPIDER TOUR 1987”。その公式映像がリリース決定です。大勢のダンサーやキャストを導入し、キャリア史上最大級のショウを繰り広げたツアーですが、ファンが抱くイメージとのすれ違いも大きかった。しかし、その大掛かりぶりは今だからこそ鮮烈でさえある。本作は、そんな“GLASS SPIDER TOUR 1987”の頂点として君臨する公式映像『GLASS SPIDER』を聖地に復刻させたものです。この映像はビデオ起こしの海外版や微妙なクオリティの公式DVD化もされましたが、今や廃盤。プレミアも付いている映像なのです。そんなオフィシャル映像の本作は、まさにここでしか見られないボウイの姿がタップリと詰まっている。冒頭からして圧倒的な世界観。巨大な光の蜘蛛のステージが現れるや、カルロス・アロマーによるギターソロ。今にもVAN HALENの「Eruption」になるんじゃないかというタッピング・ソロの嵐に「黙れ!」という声が轟くも、ソロを止めようとはしない。そんなカルロスを静止しようと、ヘリの飛行音と共に降下部隊さながらにキャストが次々と登場する。そのキャスト達による言い争いつつ「Up The Hill Backwards」を演奏し始め、十数メートル上空から玉座に座ったボウイが電話をしながら厳かに降りてくる……。この間、わずか5分あまり。たったこれだけで。このショウがいかに異様で、いかにゴージャスで、猛烈にアイディアが詰まっているのかが分かろうというもの。歌い出しても、ダンサー達は床に転げてもだえ、風船を膨らませ、その風船をバットで打ち、ステージの真ん中で組体操に興じる。そして、スポットライトを浴びて最後に登場するのは、ピーター・フランプトン。何とも人を食ったというか、実にシュールな演出が凄い勢いで押し寄せてくるのです。これらはすべてオープニングの「Up The Hill Backwards」の話ですが、もちろん出落ちでは終わらない。「Absolute Beginners」では小林○子ばりの巨大衣装の女性が現れるわ。「Loving The Alien」では上空からスーツは降りてくるわ、ダンサーがでんぐり返しダンスを披露されるわ、「Never Let Me Down」ではダンサーが酸素吸入器をボウイにあてがいながら艶やかに踊るわ……。どの曲でも(金がかかりつつ)強烈にシュールな演出。それも、1曲1ネタではなく、次々と繰り出され続けるのです。とてもその総ては書ききれないのですが、特に強烈なのを2つほど。1つは「Bang Bang」。興奮した女性客をステージに上げるまではありがちですが、その女性がキャスに静止されると(なぜか)生着替え。ドレスアップした彼女は崇拝するボウイに手を取られて感激しつつも、セクハラしてきたボウイをぶっ飛ばす。怒る女性客はキャスト達に説得されてボウイに手を差し伸べ、その手を取ったボウイをダンスを始め、実は女性客もダンサーだった……なんですか、これは。いや、最初から仕込みはバレバレなのですが、その女性は着替え中もちらちらボウイを見ては動揺し、悲鳴まで上げる熱演。クサイを通り越して、あざとすぎる小芝居はとてもボウイのイメージとはかけ離れていながら、「やる以上は徹底的にやる」の強烈な意志は実にボウイらしいのです。もう1つは、「Sons Of The Silent Age」。女性ダンサーがマイケル・ジャクソンのゼログラヴィティばりに倒れ込むワザを見せつけるのですが、手品のタネは長いスキー板。スキー板を履いて体重を支え、ゼログラヴィティをやっているわけです。これだけなら「ネタが見えちゃった」といったところなのですが、それだけではない。そのスキー板を堂々とステージ真ん中まで持って行くし、そのくせボウイは「吊してないよ!」と言わんばかりにダンサーの頭の上に手をかざし、そうかと思うとボウイ自身がビンディングを外すシーンも映っている。マジなのか、ギャグなのか、じっくり観ていても迷ってしまうギリギリのユーモア。これがまたボウイらしくなく、とてもボウイらしいのです。肝心要のクオリティや音楽について触れる前に長くなってしまいました。しかし、それほどまでに映像が凄いのです(もちろん、画質/音質共にオフィシャル・クオリティです)。ボウイ史上でも“GLASS SPIDER TOUR 1987”にしかない、徹底的なエンターテインメントの世界。もしかしたらあなたのボウイ像とはかけ離れているかも知れませんが、これもまたボウイなのです。マイケル・ジャクソンやプリンス、マドンナが地球を席巻していた1987年のボウイ。その姿を極上のオフィシャル映像で収めた1枚。
Live at Sydney Entertainment Centre, Sydney, Australia 7th & 9th November 1987 PRO-SHOT (103:57)
1. Introduction 2. Up The Hill Backwards 3. Glass Spider 4. Day-In Day-Out 5. Bang Bang 6. Absolute Beginners 7. Loving The Alien 8. China Girl 9. Rebel Rebel 10. Fashion 11. Never Let Me Down 12. Heroes 13. Sons Of The Silent Age 14. Band Introduction 15. Young Americans 16. The Jean Genie
17. Let's Dance 18. Time 19. Dancers Introduction 20. Fame 21. Blue Jean 22. I Want To Be Your Dog (with Charlie Sexton) 23. White Light White Heat (with Charlie Sexton) 24. Modern Love
David Bowie - vocals, guitar Peter Frampton - guitar, vocals Carlos Alomar - guitar Carmine Rojas - bass guitar Alan Childs - drums Erdal Kizilcay - keyboards, trumpet, congas, violin Richard Cottle - keyboards, saxophone
Tour dancers: Melissa Hurley Constance Marie Spazz Attack (Craig Allen Rothwell) Viktor Manoel Stephen Nichols Toni Basil (choreography)
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 104min.