
『BLEACH』時代のNIRVANAに最接近できる極上映像がリリース決定です。本作に収められているのは「1989年11月20日リンツ公演(オーストリア)」。彼らが初めて本国アメリカを出たヨーロッパ・ツアーの一幕です。そんな本作のクオリティは、猛烈に素晴らしい! 分類上は「オーディエンス・ショット」になるのですが、もはや「プロか、オーディエンスか」の次元を超えている。その最大の要因は会場の狭さ。現場となった“カプ”は約500人収容の小さな地下クラブ……とデータにはあるのですが、画面から見えるスペースは「50人の間違いじゃないのか!?」というくらい狭い。天井も低く、バンザイもできない超・密室なライヴスペースなのです。そこで会場設営と思われるカメラで撮影されているのですが、そこまで狭いためにどんなアングルだろうとすべて接写になってしまうのです。それにも関わらず、本作は(なぜか)視野が切り替わるマルチ・アングル。いや、アングルの角度は同じなのですが、メンバー3人が辛うじて画面に収まる接写と、カート・コバーンの顔面ドアップが切り替わるのです。会場設営カメラが2台横並びになっていたのか、もしくは1台で撮影した映像を「全景」と「ドアップのトリミング」で切り替えているのか……。いずれにせよ、視野が切り替わる醍醐味と超・間近感がたっぷりと味わえる。それだけ激近であっても、あくまでも会場設営。大暴れの観客たちに紛れることなく、その頭上ごしにNIRVANAを直視。固定か三脚なのは間違いない安定感にブレは微塵もなく、3人の表情アップまで滑らかに見渡すのです。そんな“目の前感覚”と“安定感”は、サウンドにおいても然り。狭い狭い密室に彼らのロックが充満。恐らくはビデオカメラのマイク収録とは思うのですが、あまりに近くて「オーディエンス録音」とは呼びづらい。ラインで録音しても大して違わないのではないかという超ド直近ダイレクトなサウンド。もちろん、NIRVANAですから轟音ではあるのですが、それは録音のラフさではなく、あくまでも3人がブチかます出音そのもの。徹底的に混沌としたサウンドが溢れ出しても、聴きづらさとは(まったく!)無縁の美しい爆音が炸裂するのです。そんな光景・サウンドで描かれる初期NIRVANAのパフォーマンスは、まさにマグマの胎動。身動きできない狭い狭いステージでお辞儀のようなヘドバンを繰り返しつつ、轟音・爆音の限りをぶちまける3人。その暴虐のサウンドは不思議なまでにキャッチーで、ぶっきらぼうな絶叫調の歌声が心を鷲掴む。そのスタイルは『NEVERMIND』以降と変わらないものの、そのエネルギーが外に放出されず、密室の中をグルグルとかき回し、曲を重ねる毎にその場に溜まっていく。欲望・衝動のままに荒れ狂いながら、異様なまでにストイック。革命児NIRVANAが牙を?きつつ、まだまだ地下で足掻いていた時代だからこその混沌が画面いっぱいに広がるのです。全世界をひっくり返すことになるNIRVANA。その膨大な熱量が極々小さな空間に力づくで封じ込まれた映像です。ロック史がいかに長かろうと、世界がいかに広かろうと、ここまで濃密な空間、映像は他に思いつかない……そんな奇跡の大傑作映像です。たかが空気の振動でしかない「音」、その連なりでしかない「音楽」がどこまで熱を帯びられるのか、どこまで魂を揺さぶれるのか。そして、どこまで濃縮できるのか。その限界さえも見せつける、まるで科学実験のような希代の1枚。
Live at Kapu, Linz, Austria 20th November 1989 AMAZING SHOT!!!(2 CAM MIX) (64:04)
1. Intro. 2. School 3. Scoff 4. Love Buzz 5. Floyd The Barber 6. Dive 7. Polly 8. Big Cheese 9. About A Girl 10. Spank Thru 11. Molly's Lips 12. Breed 13. Been A Son 14. Negative Creep 15. Blew 16. Sappy 17. Even In His Youth 18. Stain
Kurt Cobain - Guitar, Vocals Krist Novoselic - Bass Chad Channing – Drums