
BBC制作の“THE POLICE特番”がリリース決定です。本作に収められているのは、名物番組“TOP OF THE POPS”。ただし、歴代の出演を集めたコンピレーションではなく、再結成以後に制作されたオリジナル編集のスペシャル番組です。実際、その編集ぶりが素晴らしい。その中身は、デビュー時のマイム出演からライヴ、PVなど。曲紹介的なナレーションも少しは入るものの、おおよそ演奏と音楽で埋め尽くしています。とは言え、約1時間の放送枠に17曲を詰め込んでいるため、ほとんどがフル演奏ではないわけですが、それが気にならないほど“見どころ”と“歴史”を巧く凝縮している。しかも、そのいずれもが天下のBBCによる極上クオリティ。「さすがロック文化と共に歩んできたBBC」と言ったところでしょうか。さらに単なる凝縮ではなく、幅の広さも特番ならでは。主軸の“THE POLICE”にブレはないものの、スティングのソロやスチュワート・コープランドの覆面ユニットKLARK KENTの貴重映像、さらにはシーラ・ヒルトンによる「The Bed's Too Big Without You」のレゲエ・カバー(トリビュート盤『REGGATTA MONDATTA』にも収録されています)も盛り込む。各曲の詳細はカンタンな英語字幕で解説もされ、「懐かしい!」と浸ったり、「こんな映像もあったのか」と驚いたり。60分間があっと言う間に過ぎていくのです。恐ろしくカッコイイ初期ライヴの「So Lonely」「Fall Out」「Hole In My Life」等々、貴重映像目白押しですが、そんな中でも目を惹くのは“TOP OF THE POPS”出演映像でしょうか。この番組は(特例を除き)マイムが基本になるわけですが、デビュー直後の「Roxanne」や「Can't Stand Losing You」では、「どうせ音なんか出てねーよ!」と言わんばかりのパフォーマンスが最高。ベースは弾かないわ、マイクそっちのけで叫んでるわ、レゲエビートを完全無視で珍妙なドラムをブッ叩くわ……。反骨というか、若気の至りというか。ふて腐れ気味の大暴れが爽快なのです(もしマイクがオンになっていたら、どんな音になってたんでしょうね)。ところが、その2年後の「Spirits In The Material World」になると様変わり。相変わらずマイムの不自然さはあるもの、演技にも抵抗がなくなったのか、かなりスタイリッシュにこなすようになっている。さらに後年になるほど「曲イメージの表現手法の1つ」として丁寧に世界を作り上げていく……。音楽・風貌の変遷だけでなく、そんな大人への階段を上っていく姿も垣間見える映像作品なのです。数々の貴重映像を、BBCならではのマスター・クオリティと編集の妙技でまとめ上げた傑作映像です。日常のBGVとしても心地よく、見つめても懐かしく、浸りきるほどに面白いロック番組の大傑作。
Compilation of Police & Sting TV Performance of "Top Of The Pops" 1979-1993
The Police
1. Introduction 2. Roxanne(May 79) 3. Can't Stand Losing You(July 79) 4. So Lonely(Feb 79) 5. Walking On The Moon(Promo Nov 79)
Klark Kent
6. Don't Care(Aug 78)
Sheila Hylton
7. The Bed's Too Big Without You(Jan 81)
The Police
8. Spirits In The Material World(Dec 81) 9. Don't Stand So Close To Me(Promo Sept 80) 10. Wrapped Around Your Finger(July 83) 11. Fall Out(Feb 79) 12. Hole In My Life(Feb 79) 13. Every Little Thing She Does Is Magic(Promo Oct 81)
Sting
14. If You Love Somebody Set Them Free(Jun 85) 15. Fields Of Gold(Jun 93)
The Police
16. De Do Do Do, De Da Da Da(Promo Dec 80) 17. Every Breath You Take(May 83) 18. Message In A Bottle(Feb 79)
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 59min.