
それまでアジアと言えば日本しかツアーしてこなかったボウイが初めて東南・東アジアを回った際のプロショットが登場です。本作が撮影されたのは、ボウイ史上最大規模のワールドツアーとなった“SERIOUS MOONLIGHT TOUR 1983”最終盤のである「1983年12月」。全96公演で世界中を回ったわけですが、その最後の3回シンガポール、タイ、香港公演です。本作は、その3公演から5曲をコンピレーションした30分弱の構成なのですが、そのクオリティは極上中の極上。ただのテレビ放送などとは次元が違い、ほぼプロモビデオや映画ばりの画質と編集。各国の風景と生演奏の映像を駆使しながら、この特別な3ヵ国をイメージ豊かに映しだしていくのです。まず登場する「12月3日シンガポール」では、伝統文化の映像と交差しながら「Heroes」の熱演。音声は生演奏ですし、立派なライヴクリップ仕立てです。次なる「12月5日タイ」では「Ricochet」をバックに異国の街並みにたたずむボウイの姿が映し出され、オリエンタルなムードたっぷりに優雅な太極拳が重なる。「Heroes」がライヴクリップなら、こちらは映画仕立ての映像です。映画『戦場のメリークリスマス』で一世を風靡していた当時ならではのつくりでしょう。そして、もっともライヴのムードが素直に表現されるのが最終日「12月8日・香港」。飛行機で移動するシーンも挿入されるなど、100%ライヴ映像というわけではありませんが、会場入りから「China Girl」「Look Back In Anger」「Imagine」の3曲を熱唱する姿までマルチカメラのプロショットが追っていく。この日はジョン・レノンの命日にもあたり、彼の死に触れながら歌われる「Imagine」の感動に包まれ、本作は幕を閉じます。思えば、この頃のボウイは単なる“ポップスター”というだけでなく、映画『戦場のメリークリスマス』や「China Girl」でオリエンタルへの想いを深めていた。その上で、ワールドツアー最終盤に実現したのが初の東南・東アジアツアーだったわけです。約27分間の短さではありますが、極上中の極上クオリティで“1983年のボウイ”の総決算する傑作映像。普段とは違うボウイに会える1本です。故国イギリスや日本など、“SERIOUS MOONLIGHT TOUR 1983”の決定盤が登場する今週。ぜひ、異国情緒をたっぷりと振りまく本作も併せてお楽しみいただければ幸いです。
Serious Moonlight Tour (26:53)
National Stadium, Singapore 3rd December 1983
1. Heroes
Thai Army Sports Stadium, Bangkok Thailand 5th December 1983
2. Documentary feat. Ricochet
Hong Kong Coliseum, Hung Hom, Kowloon, Hong Kong 8th December 1983
3. China Girl 4. Look Back In Anger 5. MC about memories and the death of John Lennon 6. Imagine
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.27min.