
ローリング・ストーンズ名盤「STICKY FINGERS」のリリースを控え、既に収録曲をライブ披露するというアグレッシブさが際立った1970年のヨーロッパ・ツアー。ストーンズが本格的なライブ・ツアーへの復帰を果たした69年アメリカ・ツアーからガラリと変わった、ストーンズならではのルーズで攻撃的なライブサウンドが奏でられた時期です。そこからは昨年、当店が「MILAN 1970 2ND SHOW」にて10月1日のミラノ公演セカンド・ショウの新発掘音源をリリースしてみせたのは記憶に新しいところですが、今回は70年ツアーから、既にアイテムが生み出されていた公演かつ音源のアッパー版をリリースいたします。それはミラノから十日前、9月20日のシュツットガルト公演を捉えたオーディエンス録音。70年ツアーからのビンテージ・ライブ音源にもかかわらず、ここ15年の間で二種類の音源が発掘されたという珍しいライブ。元になったのは後になって発掘された「recorder 2」。先にも述べたように「recorder 2」は既にアイテムが存在し、DAC「GERMANY 1970」としてリリースされていました。今回は同じオーディエンス録音のファースト・ジェネレーション・マスターを入手。音質の向上がはっきりと実感できるアッパー版のリリースと相成りました。元々存在する二種類のシュツットガルト公演音源は…どちらもざらついた録音状態。昨年リリースしたミラノ公演のようなクリアネスは望むべくもない。それでも「recorder 2」は最初に登場してVGP「EUROPEAN TOUR STUTTGART 1970」というタイトルがリリースされた「recorder 1」と比べれば大幅に見通しの良い音質であり、マニアの間では70年ユーロツアーにおける優良音源の一つに数えられています。再生ボタンを押すと聴こえてくるのは、これぞ「ビンテージ」という言葉がぴったりと当てはまる古めかしい音質。まるで骨董品のようですらある。考えてみれば1970年のオーディエンス録音と言えばこういったレベルの音源が当たり前であって、前年のオークランドのようなウルトラ・オーディエンス録音の存在がいかに「奇跡」であったかを思い知らされた時代。そういった意味でシュツットガルト「recorder 2」はこの時代の「アベレージ」なレコーディング・クオリティなのですが、そんな中でミックの歌を中心に演奏自体を骨のあるバランスでキャッチしてくれたのもまた「奇跡」と呼んで差し支えないのではないでしょうか。今回この音源のファースト・ジェネレーション・マスターということから「GERMANY 1970」にあった粗さが薄まり、まるで一皮むけたかのような見通しの良さを感じさせます。間違いなく、聴きやすさが向上しました!それどころか、ステレオ的な音の広がりすら感じさせるほど。(「GERMANY 1970」は完全モノラルでした。)本盤は、イントロが既発より7秒長く、アウトロが既発より25秒長いのもポイントのひとつ。またナチュラルさも向上。こういった古めかしい音質のオーディエンス録音はイコライズを施すと違和感が強まってしまうきらいがあります。やはり、こういったアナログ・テイスト全開な質感を好まれる方は少なくないかと。しかし今回のリリースのおける最大のアドバンテージ、それはライブ全編を単一ソースにて収録していること。それは「GERMANY 1970」リリース時、ライブ後半の「Let It Rock」だけが「recorder 1」に差し替えられていたのですが、今回はロージェネレーションな状態らしく、同曲も一切の欠損なしに収録されているのです。「GERMANY 1970」においてのアジャストは見事なものでしたが、それでも「recorder 1」の荒々しい録音状態の違和感は否めません。それだけに、今回は「Let It Rock」までもが「recorder 2」そのままに通しで聴けてしまう状態と言うだけでも、世界中のマニアからの注目を集めることでしょう。 その「Let It Rock」を始める前では「can you dig it?」を二回も連呼するなど、この日も70年ユーロならではと言えるミックのアッパーな調子は、今回の聴きやすくなった状態によって、さらにリアルにドキュメントされています。マニアの間ではこのツアーのワイルドにシャウトするミックの歌声は三年後のユーロで同じように絶頂を迎えるミック・テイラーのギター・プレイと同じように神格化されています。「STICKY FINGERS」やで彼が聴かせたハイパー・シャウトがステージでもそのまま蘇る…本当にこの時期のミックは別格。当然「Sympathy For The Devil」からしてミックのシャウトが炸裂していますし、スローな「Love In Vain」でテイラーが間奏を弾き始めたところでもシャウトしてしまう勢いの余った感じが楽しい。そんなハイパー・ミックに引っ張られるかの如く、ストーンズの演奏も盤石。キースがイントロを弾き始める独特なアレンジが魅力の「Live With Me」などは掛け値なしに最高!そしてやはり70年ならではの「Roll Over Beethoven」では面白い場面が。キースが弾き始めてすぐにチューニングの狂いに気付いたものの、既にチャーリーのドラムが加わって来てしまったことから、イントロを引き伸ばして(当然ミックの歌い出しが遅れます)ハプニングを逃れる場面までしっかり聴き取れてしまうのです。そんな70年ユーロツアーらしい名演の数々を、ファースト・ジェネレーション・マスター使用のアッパー版にて再確認してください!
Killesberg, Stuttgart, Germany 20th September 1970 (62:26)
1. Intro. 2. Jumping Jack Flash 3. Roll Over Beethoven 4. Sympathy For The Devil 5. Stray Cat Blues 6. Love In Vain 7. Dead Flowers 8. Midnight Rambler 9. Live With Me 10. Let It Rock 11. Little Queenie 12. Brown Sugar 13. Honky Tonk Women 14. Street Fighting Man