
“RATTLE THAT LOCK TOUR”最新ヨーロッパ・レッグの極上のライヴアルバムが登場いたしました。昨年9月に「9年ぶりのソロツアー」として話題を集めた“RATTLE THAT LOCK TOUR”ですが、発表されている日程は2016年の9月いっぱい。丸1年の予定です。ここで、この1年の歩みをカンタンに振り返ってみましょう。
・2015年9月5日-9月19日:プレビュー&欧州ツアー#1(6公演)・2015年9月23日-10月3日:英国公演#1(5公演)・2015年12月11日-12月20日:南米ツアー(6公演)・2016年3月24日-4月12日:北米ツアー(11公演)・2016年4月24日:TEENAGE CANCER TRUST(1公演)・2016年6月25日-7月28日:欧州ツアー#2(17公演)
→《現在ココ》←・2016年9月25日-30日:英国公演#2(5公演)
このように現在は「欧州ツアー#2」を総て終え、最後の母国イギリス5公演まで、しばしのオフを取っているところ。その「欧州ツアー#2」は、超名曲「One Of These Days」の復活やイベント・コンサートの話題もあって、空前の盛り上がりになりました。録音事情も比例して凄まじく、他大陸以上に素晴らしい録音も連発されています。本作は、そんな中でも特級のクオリティだった1本。「2016年7月14日シュトゥットガルト公演(ドイツ)」の極上オーディエンス・アルバム。この日程、地名をご覧になってピンと来られた方は鋭い。そう、先日3枚組CD『STUTTGART 2016』でご紹介したばかりのライヴです。かの3枚組は、PINK FLOYD研究の世界的権威が厳選・リマスターした逸品で、それはそれは見事な「サウンドボード級オーディエンス」でした。新マスター。これがもう本当に素晴らしい。実のところ、楽音自体は『STUTTGART 2016』と酷似した美麗サウンドで、無理を押し通すほど異なってはいない。しかし、そのサウンドの旨みを伝える空気の透明度が違うのです。“芯の太さ”・“エッジの美しさ”・“分離の鮮やかさ”等々は当たり前の次元なので省きますが、その艶やかトーンが野外会場の虚空に消えゆく儚さまでもが克明に描かれている録音なのです。特にその印象を際立たせているのは、オーディエンス・ノイズ。『STUTTGART 2016』も本作も、観客の声や唱和、喝采も拾っています。しかし、本作はその声や喝采のバランス、タイミングまでもが美しいのです。どちらもPINK FLOYDでは感動的な大合唱が起きるわけですが、本作はそんな唱和以外のシーンが異様に静か。例えば、「The Great Gig in the Sky」。コーラスが美しく幻想の世界を描き出すのですが、『STUTTGART 2016』では、その響きの中に小さいながらも観客の会話も混じっていた。ところが、本作の観客たちは息を飲んで見守り、重なり合う声の一筋までもが鮮やかで、その声が虚空に消えていく美しさまで胸に染み入るのです。それでいて、観客の存在感がないわけでもない。要所要所で贈られる喝采のタイミングが“いかにも音楽に没入していた”ことを物語っており、それだけに沈黙に代わると“息を飲む”ムードを醸し出す。これが一層の幻想感を引き立てているのです。かつて、ロバート・フリップが何も叩かなかったビル・ブルーフォードに対して「演奏しないことで曲に貢献した」と作曲クレジットしたことがありましが、本作の観客もまた“音楽的に”賞賛に値する沈黙なのです。その「The Great Gig in the Sky」や超名曲「One Of These Days」「Fat Old Sun」等、ショウのポイントは『STUTTGART 2016』で解説させていただきましたので省きますが、あの幻想的な名演がさらに一層美しくなろうとは。念を押させていただきますが、『STUTTGART 2016』も、FLOYD研究の世界的権威が太鼓判を押した大傑作なのです。しかし、いかな権威も予言者ではない。遅れて出てくる音源までは予想できなかっただけなのです。傑作『STUTTGART 2016』さえも超えた美世界を映しだした“RATTLE THAT LOCK TOUR”屈指の名盤。
Live at Schlossplatz, Stuttgart, Germany 14th July 2016 ULTIMATE SOUND
Disc 1 (69:51)
1. Intro. 2. 5 A.M. 3. Rattle That Lock 4. Faces of Stone 5. What Do You Want From Me 6. The Blue 7. The Great Gig in the Sky 8. A Boat Lies Waiting 9. Wish You Were Here 10. Money 11. In Any Tongue 12. High Hopes
Disc 2 (51:27)
1. One of These Days 2. Shine On You Crazy Diamond 3. Fat Old Sun 4. Coming Back to Life 5. On an Island 6. Member Introduction 7. The Girl in the Yellow Dress
Disc 3 (47:59)
1. Today 2. Sorrow 3. Run Like Hell 4. Time 5. Breathe (Reprise) 6. Comfortably Numb