
遂に佳境に突入した“RATTLE THAT LOCK TOUR”。その最新にして極上のライヴアルバムが登場です。現在ツアーは欧州レッグを終了し、最後の公演地ロイヤルアルバート・ホール5公演を残すばかりとなりました。本作は、その欧州レッグより「2016年7月18日ヴィースバーデン公演(ドイツ)」を収めたオーディエンス・アルバムです。それにしても、今回の欧州レッグは凄い。昨年9月の開始以来、常に最新音源でツアーをレポートして参りましたが、これまで以上に最高級の録音が次から次へと登場してくる。欧州レッグ初日の『WROCLAW 2016』を皮切りに、今週は『JAZZOPEN STUTTGART 2016』と本作が同時リリースとなりました。厳選に厳選を重ね、重箱を突っついてケチを付けようとしてもできなかった、一線を超えたハイクオリティ盤。本作は、その第3弾なのです。実際、本作最大のポイントは特級の芳醇サウンド。事実としては現場の観客が手元で記録したオーディエンス録音なのですが、もはや録音手法が何かといった次元ではない。その図太く鮮明な楽音は極限まで鮮やかで、ダイレクト感もたっぷり。生々しい歓声にオーディエンスらしさも刻印されていますが、それも極ささやかなレベルであり、本作全体を貫くド迫力の楽音の装飾にしかなっていない。「オフィシャル級オーディエンス」との言葉を躊躇なく捧げられる特級品なのです。同時リリースの『JAZZOPEN STUTTGART 2016』も極上だけにどちらが上とも言えないところなのですが、本作の特徴はリッチな重低音でしょうか。普通、オーディエンス録音は低音が苦手なはずなのですが、本作の低音は極太でありながらきめ細やかなヴァイヴまで伝わる。単に低音バランスが大きいのとはワケが違い、五臓を轟かせながら、六腑をトロけさせるほどに艶やか。全編・全曲に渡って素晴らしいのですが、あえて挙げるなら「Sorrow」でしょうか。この曲ラストのギターソロには、ぜひご注目いただきたい。シンセの重低音が森羅万象を美しく揺るがす大気を、エッジも鮮やかなギターが切り裂く……。ここまでリッチな低音を、まさかオーディエンス録音で体験しようとは。素晴らしいサウンドに「どうやって録音したのか?」と思うことはたまにありなすが、「ウチの機材でこの音が再生できたのか」と驚いたのは初めてです。
そんなサウンドで描かれるヴィースバーデン公演は、欧州レッグ全17公演中12公演目のコンサート。この欧州レッグは日替わりのセットリストも話題になっていますので、その点も改めて確認してみましょう。まず、この“RATTLE THAT LOCK TOUR”は2部構成。欧州レッグでは第1部に2パターン・第2部に4パターンがあり、それを組合わせるカタチでバリエーションを作っています。それぞれ詳しく見てみると……。
【第1部(SET A・B)】・SET A:「Us And Them」・SET B:「The Great Gig In the Sky」
【第2部(SET C・D・E・F)】・SET C:「One Of These Days」&「Dancing Right In Front Of Me」・SET D:「One Of These Days」&「Fat Old Sun」・SET E:「Astronomy Domine」&「Fat Old Sun」・SET F:「Astronomy Domine」&「Dancing Right In Front Of Me」
……と、このようになっています。この中で欧州レッグで初登場した曲は「The Great Gig In the Sky」「One Of These Days」「Dancing Right In Front Of Me」の3曲です。中には1回だけの組み合わせもあったのですが、一番多かったのは「SET B+D」の8公演、次いで「SET A+D」4公演、「SET A+E」2公演の順。ここまでにリリースされたタイトルを整理しますと……。
・『WROCLAW 2016』=「SET A+C」※この日のみのパターン・『VIENNA 2016 2ND NIGHT』=「SET A+D」・『JAZZOPEN STUTTGART 2016』=「SET B+D」・【本作】=「SET B+D」
……となる。つまり、本作は「The Great Gig In The Sky」「One Of These Days」「Fat Old Sun」の3曲が楽しめる1本。本当なら欧州レッグだけの曲を総まとめした「B+C」が理想なのですが、残念ながらそういう公演は1回もなかった。一番効率的なのは『WROCLAW 2016』と本作(もしくは『JAZZOPEN STUTTGART 2016』)の組み合わせなのです。同時リリースの『JAZZOPEN STUTTGART 2016』は、オーディエンス録音の極限に挑戦するようなハイクオリティ・サウンドでしたが、本作は“聴いたこともない重低音”を味わえる高音質盤です。その超絶サウンドで「The Great Gig In The Sky」「One Of These Days」が楽しめる1本、一気貫通の欧州レッグの王道セット「SET B+D」を本生100%体験できるライヴアルバム。どうぞ、思う存分お楽しみください。
Live at Bowling Green, Kurhaus, Wiesbaden, Germany 18th July 2016 ULTIMATE SOUND
Disc 1(70:22)
1. Intro. 2. 5 A.M. 3. Rattle That Lock 4. Faces Of Stone 5. What Do You Want From Me 6. The Blue 7. The Great Gig In The Sky 8. A Boat Lies Waiting 9. Wish You Were Here 10. Money 11. In Any Tongue 12. High Hopes
Disc 2(68:20)
1. One Of These Days 2. Shine On You Crazy Diamond 3. Fat Old Sun 4. Coming Back To Life 5. Band Introduction 6. The Girl In The Yellow Dress 7. Today 8. Sorrow
Disc 3(28:31)
1, Run Like Hell 2, Time 3. Breathe (Reprise) 4. Comfortably Numb