
ラストツアー“THE END”。その極上録音がまた1つ誕生です。もう何度も書いてきたことですが、この“THE END”の録音状況は、ロック史でも希に見る超・超・豊作。世界中の録音家が「最後のサバス」を記録しようと躍起なっているのか、猛烈な超ハイクオリティ録音が次から次へと登場し、それが止む気配も見えない。今年1月のツアー開始以来、幾度となく“異常事態”を繰り返してきたものの、もはや“異常”が続きすぎて“通常”になりそうな状況。当店でも厳選しているというのに、北米レッグ7公演・オセアニア1公演・欧州4公演と、12公演もレポートしてきたのです。もちろん、こうして続けてこれたのも、お求めくださるマニアの方々がいらっしゃればこそ。そして、その期待に応えるクオリティばかりだったからこそです。本作は、そんな“THE END”の最新作。BLACK SABBATHにとってはラッキーナンバーである13本目のライヴアルバム「2016年6月17日デッセル公演」のオーディエンス録音です。この日は、ヘヴィメタル界の巨大フェス“GRASPOP METAL MEETING 2016”。先日は同フェスのIRON MAIDENもレポートしましたが、そのMAIDENとツートップのメインアクトとして出演した際の模様を記録しています。また、このライヴは欧州レッグの7公演目でもありました。近い日程のライヴアルバムと併せてポジションを確認しておきましょう。
・2016年6月11日:ドニントン→『DOWNLOAD 2016』・2016年6月13日:ヴェローナ(イタリア)・2016年6月15日:チューリッヒ(スイス)・2016年6月17日:デッセル(ベルギー) →【本作】・2016年6月19日:クリソン(フランス)・2016年6月23日:ハルデン(ノルウェイ)・2016年6月25日:コペンハーゲン(デンマーク)
・2016年6月28日:ウィーン(オーストリア)・2016年6月30日:プラハ(チェコ)・2016年7月2日:クラクフ(ポーランド)・2016年7月5日:リガ(ラトビア)→『LATVIA 2016』
このように、本作は先日レポートした『LATVIA 2016(Shades 665)』よりも前、『DOWNLOAD 2016』の3公演後のライヴ。別に出し惜しみしていたわけではなく、登場するのが一歩遅れた名録音なのです。そんな本作のクオリティは『DOWNLOAD 2016』に近い。まず上記のように日程が近いこともありますが、一番のポイントは野外の巨大フェスだということでしょう。『DOWNLOAD 2016』の解説でも触れましたが、昔はダメ録音の代名詞だった「野外フェス」は、現代においては名録音の品質保証ワードになっています。その美点を極カンタンにまとめますと「PAの進歩で野外でも出音が極太」「資金豊富なフェスだからPAは更に極上」「屋内と違って反響音がない」「ステージから遠方のPA塔から録れば、周りの観客も静か」「その反面、ステージ近くの熱狂が遠距離スペクタクルで録れる」……等々。もちろん、録音がこうした美点をちゃんと把握して、それをキッチリ狙わなければなりませんが、本作はその見本のようなサウンドなのです。『DOWNLOAD 2016』も同様の美点に溢れていたわけですが、本作との巨大な違いは天候。『DOWNLOAD 2016』は、BLACK SABBATHの出番中に雨が降り出し、その雨粒がマイクを直撃。その結果、アナログのスクラッチノイズのような音が記録されていました。しかし、本作では現場が晴れていたのか、そのノイズがない。「野外フェス」の旨みがそっくり美味しく味わえる録音になっているのです。さらに違うのが、オジー・オズボーンのノド。『DOWNLOAD 2016』は、母国イギリス最大のフェスという意気込みが空回りしたのかラフなヴォーカルが目立ちましたが、本作は非常に調子が良い。全体的には、先日ご紹介した『LATVIA 2016』ほどの絶好調ではないかも知れませんが、昨今「ボロボロがデフォ」とまで言われてしまうオジーとは別人のよう。高音が最難関の「Snowblind」でも歌いきり、終盤の難関「Iron Man」も(なんとか)こなしきります。「Dirty Women」は絶好調だった『LATVIA 2016』でも崩れてしまいましたが、本作では安心して聴いていられるほどの好調ぶりなのです。常にレポートし続けてきたラストツアー、“THE END”。現在は、大票田のヨーロッパ・ツアーも快走し、8月に控える二度目の北米レッグに向けて休止中。その後は、南米→2度目の欧州→母国イギリスと巡り、永遠の眠りに就く予定です。その日程を詳しく見てみると12月後半に隙間があり、“奇跡の再来日”の可能性もゼロではない。しかし、ここまでオフも長めに取ってきたスケジュールを考えると、限りなくゼロに近い。だからこそ、リアルタイムにツアーを追わずにはいられないのです。そんな“最後の歩み”に寄り添ってくださるあなたにお届けする名録音。いつまで続くか分からない“音源異常事態”の最新弾。
Live at Boeretang, Dessel, Belgium 17th June 2016 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(46:02)
1. Intro 2. Black Sabbath 3. Fairies Wear Boots 4. After Forever 5. Into The Void 6. Snowblind 7. Band Introductions 8. War Pigs
Disc 2(51:52)
1. Behind The Wall Of Sleep 2. N.I.B. 3. Hand of Doom 4. Rat Salad 5. Drum Solo 6. Iron Man 7. Dirty Women 8. Children of the Grave 9. Paranoid 10. Outro (Zeitgeist)