
McAULEY SCHENKER GROUP結成直後を代表する名録音がカップリングで復刻です。日本人には思い出深い“SUPER ROCK ’84”を最後に活動停止となってしまったM.S.G.。その後、新たな相棒ロビン・マッコーリーを迎えて再始動したのが1986年の夏のことでした。彼らは、レコード会社へ売り込みをかける一方で、ヨーロッパ各地でバンドとしてのウォーミングアップ・ライヴを敢行。アイルランドやハンガリーでステージ・デビューし、SCORPIONSに帯同する形でドイツ版の“MONSTERS OF ROCK FESTIVAL”に出演しました。本作は、そのドイツ版MOR2公演「1986年8月30日ニュルンベルク」「翌8月31日マンハイム」をカップリングした2枚組オーディエンス・アルバムなのです。まずディスク1は「1986年8月30日ニュルンベルク公演」。かつてギフト・アルバムとしてもご紹介したことのある音源ですが、今回は決定仕様での復刻を目指し、最新リマスターで蘇らせました。再生すると、ロビンの開演MCがややオーバーピーク気味でビックリしますが、「Armed And Ready」が始まるやスッとヴォリュームが調整され、素晴らしいサウンドになります。その後は「残響ゼロ」な野外のうま味も美味しく、とにかく楽音の芯も図太いサウンドがたっぷりと楽しめます。観客の反応も良く、大いに盛り上がっているのですが、そこは野外だけに大歓声にまみれるようなことはない。間近の観客の手拍子が現場感覚を伝えてはくれるものの、演奏を遮るものは一切ないのです。そんなサウンドで描かれるライヴは、結成間際のバンドならではの熱演。ロビンも(恐らくは)初の大舞台で大いに張り切りつつ、ていねいに歌う。後のスタジオ作やライヴとはやや違い、さらにハスキーな歌声に「風邪でもひいている?」とも思うのですが、その割には元気で伸びやか。より若い頃の声がこういう声だったのかも知れません。もちろん、マイケルはマイケル。1984年の活動停止以来、久々のツアーの上、新バンドを軌道に乗せようという気合いも十分。満身創痍だった“SUPER ROCK ‘84”とは見違えるように溌剌と甘いトーンを存分に聴かせてくれます。そして最大のポイントは、熱演の土台となるセットリスト。結成直後だけに旧M.S.G.の名曲群をたっぷりと演奏している。今週は日本公演の大傑作『BUDOKAN 1988 1ST NIGHT』もリリースされますが、そこでは聴けない「Rock My Nights Away」「I'm Gonna Make You Mine」を披露してくれるのです。旧M.S.G.の中ではポップ寄りだった『BUILT TO DESTROY』時代の曲ですが、だからこそロビンにはジャスト・フィット。キャッチーなメロディと泣きに泣くギターのバランスは、“なぜこの2人が組んだのか”を百の言葉よりも明確に教えてくれます。さらにさらに、未発表曲「Here I Am」(!)や初期バージョンの「Here Today - Gone Tomorrow」も美味しい。「Here Today - Gone Tomorrow」は、後のスタジオ盤よりも遙かにハードでギターも歌っていますし、なんと言っても「Here I Am」が凄い! 現在に至るまで未発表のままですが、ハードにドライヴしながら必殺の泣きメロがふんだんに盛り込まれている。恐らくはポップな『PERFECT TIMING』のカラーに合わずに外され、そのまま忘れられてしまったのでしょうが、それだけに旧来のM.S.G.節に近く、とても「ライヴだけのボツ曲」のレベルではない。どちらも“BUILT TO DESTROYの続き”感が素晴らしいバージョンなのです。続くディスク2は翌日「1986年8月31日マンハイム」公演。これまた『SEQUENCE OF EVENTS』でご紹介したマスターを復刻しました。こちらは冒頭から絶好調のクリア・サウンドが存分に楽しめる傑作録音。基本的な特性、バンドの演奏はディスク1に酷似しているものの、新曲群はナシ。日本公演で聴けなかった美味しい曲も「Rock My Nights Away」だけです。では意味がないかと言うと、さにあらず。こちらでは予期せぬトラブル・シーンが体験できるのです。そのトラブルが発生するのは、「Cry For The Nations」の終了後。「次は新曲Here Today - Gone Tomorrowだ!」と高らかに宣言するものの、機材がイカれて音が出ない。思いっきりズッこけた雰囲気が流れる中、ロビンが延々と約13分もの間MCで繋いでいくのです。それまでGRAND PRIXしか経験がないロビンが、(ドイツ版とは言え)MONSTERS OF ROCKの大舞台でさぞや困ったろう……と思いきや、煽りやジョークをかましながらなかなかのステージ度胸。待てど暮らせど回復しない中、なぜか観客が「U.S.A.!」コールを始めるや「God damn, yankees!!」と高笑い。もっとも、そんな余裕も尽き果てるほどに長いブランクにはロビンも観客も辟易としたムードになっていくわけですが、それもまたドキュメント感。機材が復活したところで「Courvoisier Concert」を弾き始めますが、まだシンセが狂いっぱなしで雰囲気台なし。「Lost Horizons」に入る辺りでなんとかサマになってくるという、「ありゃありゃ……」なライヴが楽しめるのです(ロビンの声もやや枯れ気味で、ディスク1より苦しげ)。結成直後だからこその美味しい名曲群や未発表曲をたっぷり聴けるディスク1、思わぬトラブルに四苦八苦するドキュメントも楽しいディスク2。その双方が激クリアなサウンドで楽しめるライヴセットです。正直なところ、熱意が先走ってこなれていないシーンも散見しますが、それもまた極初期ならではです。
今を去ること30年前に誕生し、以後1993年までの7年間続いたMcAULEY SCHENKER GROUP。
Zeppelinfeld, Nuremberg, Germany 30th August 1986 TRULY AMAZING SOUND
Maimarktgelande, Mannheim, Germany 31st August 1986 TRULY AMAZING SOUND
Disc 1(57:18)
Live at Zeppelinfeld, Nuremberg, Germany 30th August 1986
1. Intro 2. Armed And Ready 3. Rock My Nights Away 4. Cry For The Nations 5. Here I Am 6. Here Today - Gone Tomorrow 7. On And On 8. Courvoisier Concerto 9. Lost Horizons 10. Into The Arena 11. I'm Gonna Make You Mine 12. Rock Bottom 13. Doctor Doctor
Disc 2(53:29)
Live at Maimarktgelande, Mannheim, Germany 31st August 1986
1. Intro.2. Armed And Ready 3. Rock My Nights Away 4. Cry For The Nations 5. MC 6. Courvoisier Concert 7. Lost Horizons 8. Into The Arena 9. Rock Bottom 10. Doctor Doctor
Robin McAuley - Vocals Michael Schenker - Guitars Steve Mann - Guitars, Keyboards, Vocal Rocky Newton - Bass, Vocal Bodo Schopf - Drums