
RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWの最終公演から19年2週間と3日。ついに、ついにリッチー・ブラックモアがロックの世界に還ってまいりました! その初演「2016年6月17日ローレライ公演」を収めたライヴ・アルバムの登場です!!昨年の“ロック帰還宣言”以来、この日をどれほど待ち焦がれたことか。世界中のロックファンが注目しただけに、早くもさまざまな記録が駆け巡っていますが、その中でも飛び抜けて話題をさらっているのが本作。記念碑のフルショウを淀みなく一気貫通で聴かせるオーディエンス・アルバムなのです。まずは、今回の復活RAINBOWについて、ごく簡単に。“ノスタルジー”を理由にロックの世界へ戻る決意をしたリッチーは、限定的にRAINBOWを再編。メンバーは、ヴォーカルにチリ出身のロニー・ロメロ、リズム隊にはBLACKMORE'S NIGHTのデヴィッド・キース(ドラム)とボブ・ヌーボー(ベース)、キーボードにはSTRATOVARIUSのイェンス・ヨハンソンが決定しました(ちなみにボブ・ヌーボーの本名は“Robert Curiano”。BLACKMORE'S NIGHTでは“Sir Robert of Normandie”とも名乗っており、面倒くさい人です)。そして、肝心のライヴは3回(2016年6月17日、6月18日、6月25日)だけの予定(リッチー自身は「様子を見て、上手くいくようなら続けるかも知れない」とも発言していますが、「メインはBLACKMORE'S NIGHT」とも断言しており、その後は読み切れません)。本作は、そのたった3回の復活公演のうち、初日のフルライヴ・アルバムなのです。
話題を集めているのは何と言ってもフル収録だからですが、それと同じくらいにクオリティも素晴らしい。「まるでサウンドボード」と呼ぶには、やや距離感もありはしますが、歓声に邪魔されない楽音のクリアさはライン録音並み。すべての楽器がハッキリ・クッキリと聴き取れるだけでなく、特にギターとヴォーカルにフォーカスが当たっているのが嬉しい。今この瞬間で、“2016年リッチーのロックギター”を最上に味わえる1本なのです。そのサウンドで描かれる新生RAINBOWは……なんとも激しく胸を突いてくる。あの懐かしき「Land Of Hope And Glory」とドロシーの台詞に導かれ、「Over The Rainbow」が鳴り響く。そこから聞こえるのは、紛うことなき、“あのトーン”! 19年の時間が一瞬にして吹っ飛んだところで始まるのは「Highway Star」!! 今回の復活ライヴは「RAINBOW」名義ではありますが、リッチー自身は「DEEP PURPLEとRAINBOWをやる」と断言しており、2つのバンドを分けず“ハードロックを演奏する自分”が焦点。それをハッキリと宣言するかのようなオープニングなのです。そして、「Spotlight Kid」「Mistreated」……と、2バンドの代表曲を次から次へと繰り出していく。振り返ってみると、おおよそイアン・ギラン時代DEEP PURPLEと、ロニー・ジェイムズ・ディオ時代RAINBOWがほとんどを占めるショウとなりました。選曲と共に気になる各メンバーですが、正直なところリズム隊は「RAINBOWと言うよりBLACKMORE'S NIGHTっぽいかな」といった感じですし、「Spotlight Kid」のエンディングなど、楽曲を掴み切れていないシーンもちらほら。しかし、それらを吹っ飛ばして虹色に染めているのが、新シンガーのロニー・ロメロ。ヨルン・ランデに近いワイルドな声質ですが、歌いっぷりは非常にていねいでとにかく巧い。歴代メンバーで言うとロニー・ジェイムズ・ディオに近く、ヒロイックな声で熱く歌い込む。アマチュア時代にはRAINBOW、DEEP PURPLE、BLACK SABBATHのカバーバンドをやってきただけあって、オリジナルを尊重しながらも楽曲を完全に自分のものにしている。安易なモノマネに走っていないところも素晴らしく、イアン・ギラン曲からジョー・リン・ターナー曲まで違和感なく歌いこなしながらも「イアンみたい」「ジョーみたい」とは感じさせません(「ディオみたい」とは思いますが:笑)。白眉なのが「Man On The Silver Mountain」。中間部に独自の歌い回しを差し込むのですが、そこでは「銀嶺の覇者って誰だ? 教えてほしいか? ロニー・ディオだ!」と叫んで曲のハイライトを迎える。さらに、その後のMCでは世界中から集ったファンの国を確かめ、スペイン語も駆使して挨拶する。チリ出身でスペイン在住の彼にとってスペイン語は母語に当たるわけですが、ここでそれを思い出すほど英語も完璧だったわけです。無名のシンガーでありながら、観客の心を一気に鷲づかむ客あしらい。フロントマンを見極めるリッチーの慧眼、いまだ曇り知らずです。その他、猛烈に熱くも切ない歌いっぷりの「Mistreated」や「Catch The Rainbow」、感無量の「Stargazer」、終盤に「Woman From Tokyo」のリフを盛り込んで絶頂を迎える「Child In Time」等々など、すべての曲が聴きどころの嵐。正直に言えば、リッチーのギターには19年のブランクも感じますし、今年2月に左手薬指を手術した影響も気になる。ていねいに弾きながらもロックの感触が取り戻せていない感じです。しかし、それ以上に「あのトーンがロックを紡いでいる」の現実感が猛烈に押し寄せるのです。あと2公演でどれほどカンを取り戻せるか、どれだけ“あの閃き”を聴かせてくれるのか。それさえもが楽しみになってくるライヴ・アルバムです。“BLACKMORE'S HARD ROCK”で塗り固められた虹色の1本。待ちに待って待ち焦がれた、世紀の瞬間をあなたに。
Loreley Open-Air Theatre, Sankt Goarshausen, Germany 17th June 2016 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Disc 1 (57:59)
1. Land Of Hope And Glory 2. Over The Rainbow 3. Highway Star 4. Spotlight Kid 5. Mistreated 6. Since You Been Gone 7. Man On The Silver Mountain 8. Catch The Rainbow 9. Difficult To Cure
Disc 2 (56:56)
1. Band Introduction 2. Perfect Strangers 3. Child In Time 4. Long Live Rock 'N' Roll 5. Stargazer 6. Black Night 7. Smoke On The Water
Ritchie Blackmore - Guitar Ronnie Romero - Vocal Bob Nouveau – Bass Jens Johansson - Keyboards David Keith – Drums Candice Night - Backing Vocal Christina Lynn Skleros - Backing Vocal