
大作「Everything Under The Sun組曲」も話題の最新ライヴアルバムが登場です。つい先日まで9回目のジャパンツアーを行っていたEXTREME。再結成以降、毎回趣向の違うライヴで楽しませてくれますが、今回の目玉は3rdアルバム『III SIDES TO EVERY STORY』の“The Truth篇”を占める20分の大曲再現。EXTREME史上、もっとも壮大で複雑な大曲ですが、これをステージで生演奏するのは今回の来日公演が世界初でした。本作は、そんなバンド史上の重要ツアーを超・極上サウンドで描ききったオーディエンス・アルバムなのです。まずは、その記念碑ツアーの概要から始めましょう。
・9月29日:昭和女子大学人見記念講堂・9月30日:チームスマイル仙台PIT・10月3日:あましんアルカイックホール・10月4日:ZEPP NAGOYA・10月5日:東京ドームシティホール 【本作】
以上、5公演が今回の日程のすべてです。本作に収められているのは、その最終日「2016年10月5日:東京ドームシティホール公演」です。そんな本作最大のポイントは、極上を極めるオーディエンス・サウンド。録音家本人から譲られたマスターをダイレクトに使用しているので間違いなくオーディエンス録音なのですが、そこから流れ出るサウンドは「オーディエンス」の言葉から連想するものとはかけ離れている。極太にして距離感ゼロで吹き出すド直球サウンドは「まるでサウンドボード」という言葉さえ生ぬるい。「お前のどこがサウンドボードじゃないってんだ?」と、スピーカーに向かってつぶやきたくなるほど。もっとも、自然な“鳴り”はそんじょそこらの卓直結サウンドボードが裸足で逃げ出すレベルですし、極々わずかに入る手拍子も含めた絶品バランスは精緻にプロ・ミックスされた放送音源のよう。いわゆる「理想サウンド」というヤツなのです。そんなクオリティで繰り広げられるEXTREMEのショウは、いつも通りに素晴らしい。さすがにゲイリー・シェローンのキビキビとしたアクションこそありませんが、その見事な歌声、リズム隊のファンキーなグルーヴも超克明に描かれる。そしてやっぱり圧巻なのがヌーノ・ベッテンコートの妙技の数々。ギターヒーロー戦国時代も飽きられ始めた80年代末期に、ポール・ギルバートと共に“最終形”として一世を風靡したテクニックは一切の衰え、僅かな陰りさえも見せない。その絶妙なピッキング・ニュアンスやトーン・コントロールの隅々までもが、脳ミソ直結級のダイレクト感で注ぎ込まれるのです。繰り返しになって本当に恐縮ですが、コレが本当にオーディエンス録音なんだろうか……。そして、その妙技が描くセットリストも素晴らしい。再結成唯一の『SAUDADES DE ROCK』からは「Take Us Alive」1曲だけに止められ、『EXTREME』から『WAITING FOR THE PUNCHLINE』までの名曲群がバランス感覚もバツグンに繰り出される。そんな中で、やはり最大の聴きどころは傑曲「Everything Under The Sun」でしょう。スタジオ・アルバムでも21分半という大作でしたが、本作ではさらに長大に25分にも及ぶスケール。この曲が発表された1992年には“プログレ”もとうに死語となっていましたが、そのドラマティックで美しく、そして複雑な曲想はまさしくプログレッシヴ。ファンキーなノリやバラードで有名になったEXTREMEではありますが、その“核”に持っていた高度な音楽性と美意識がステージで一気に花開く瞬間を体験できるのです。そして、その美意識を受け継ぐのがラストナンバーの「We Are the Champions」。言わずと知れたQUEENの超名曲ですが、彼らが演奏するのは今年のアジア・ツアーが初めて。何しろEXTREMEと言えば、当のブライアン・メイが「QUEENが何たるかを誰よりも理解している」と認めたバンド。その彼らが綴るQUEENの象徴たる歴史的超名曲なのですから、その深み、感動は計り知れない。本家とはまたひと味違う唱和と大団円の中、ショウは幕を閉じます。“良い音・良い音・良い演奏”……素晴らしいアルバムの必須3要素として、何度となく繰り返させて頂きました。その3つが頂点的クオリティでそろった名作中の名作なのです。もう「オフィシャルか/アンダーグラウンドか」「サウンドボードか/オーディエンスか」といった話は止めます。素晴らしい音楽、極上の生演奏がここにある。それだけでいい、それ以上に重要なことなんかありはしない。そんな想いにまで駆られるライヴアルバムの超傑作。
Live at Tokyo Dome City Hall, Tokyo, Japan 5th October 2016 ULTIMATE SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (55:11)
1. Intro 2. It ('s a Monster) 3. Hip Today 4. Li'l Jack Horny 5. Get the Funk Out 6. Rest in Peace 7. Kid Ego 8. Play with Me 9. Midnight Express 10. More Than Words
Disc 2 (78:20)
1. Cupid's Dead 2. Take Us Alive 3. Hole Hearted / Crazy Little Thing Called Love 4. Flight Of The Wounded Bumblebee/Decadence Dance 5. Everything Under the Sun: I. Rise 'N Shine 6. Everything Under the Sun: II. Am I Ever Gonna Change 7. Everything Under the Sun: III. Who Cares? 8. Warheads 9. We Are the Champions 10. Ontro
Gary Cherone - Lead Vocals Nuno Bettencourt - Guitar, Vocal Pat Badger - Bass, Vocal Kevin Figueiredo – Drums