
“プログレ・オールスター”として大いに話題となったスティーヴ・ハケットの初来日。その初日「1996年12月16日・厚生年金会館」公演を極上サウンドで収めたオーディエンス・アルバムが復活です。 なにしろ、ハケットに加え、ジョン・ウェットン、イアン・マクドナルド、チェスター・トンプソン、ジュリアン・コルベックという錚々たるメンツ。肩書きバンドを並べただけでもGENESIS・KING CRIMSON・AISA・YESと、20年後の今見ても目眩がする豪華な布陣で、それぞれの代表曲を演奏するというとんでもないコンサートでした。まずは、そんな記念碑来日の日程を確認してみましょう。
・12月16日:東京厚生年金会館 【本作】・12月17日:東京厚生年金会館・12月19日:大阪厚生年金会館・12月20日:愛知厚生年金会館
このように、東名阪で全4公演の日程でした。その模様は、オフィシャル盤『THE TOKYO TAPES』でも同じみなわけですが、かの公式盤は「12月16日」と「12月17日」の編集・修正盤。メインとなったのは2日目「12月17日」でした。それに対し、本作は「12月16日」の本生100%オーディエンス・アルバムなのです。そんな本作最大の旨みは、凄まじすぎる高音質。「まるでサウンドボード」というフレーズはよく使いますが、その次元を超えて「コレがサウンドボードじゃない!?」というもの。豪華メンバーの注目公演とあってか、各公演で各種のオーディエンス録音が乱発されましたが、その中でNo.1に輝いた超傑作録音。当時の専門誌でも「オーディエンス録音であるが、バランス・臨場感など申し分ない」「周囲の人たちが静かなのか、遠く離れているのか、歓声はどの公演もほどよく割れることもなく収録され、演奏自体もリアル」「オフィシャル盤としても十分通用する位のクオリティ」と、言葉を尽くした激賛が贈られた逸品中の逸品なのです。実際、デジタル録音全盛の現代の耳で聞いても、これほどの録音は年に1本も出てこない。あらゆるアーティストを総合しても、です。そんな“オフィシャル級オーディエンス”で描かれる初日は、これがまた凄まじくスリリング。先ほど“公式のメインは2日目”と書きましたが、それは細かくチェックするまでもなく明らか。本作で聴ける初日は、ハケット自身にとっても約2年ぶりとなるライヴで、緊張でガチガチ。豪華メンバー達とのアンサンブルもこなれる以前の初舞台でリハーサル不足が露呈してしまっているのです。なにしろ、1曲目のイントロからして強烈。居並ぶスター達に熱狂する中、「Watcher Of The Skies」のあのメロトロンが鳴り響き、大喝采が怒るわけですが、ここで大きく音を外してしまう。多くの方が固唾を飲む緊張感に包まれた開演シーンが一気に不安に代わる瞬間。その後、ウェットンが美声で歌い出す際にも喝采が起きますが、開演の喝采とは微妙に違って観客の戸惑いが克明に刻まれているのです。もちろん、歴戦の猛者が揃っているのでショウが破綻することはありませんが、コンサートの各所で「だ、大丈夫!?」と言いたくなるミストーンが散見するのです。そうしたハラハラを交えつつも、やはり豪華メンバーの豪華セットの凄味は鮮烈。次から次へとシーンを代表する名曲が紡がれる。特にKING CRIMSONの人気ぶりはやはり凄まじく、ウェットンも久々のブリブリ・ベースを遺憾なく発揮する(あの攻撃的なベース・サウンドを聴いたのは、これが最後かも……)。そのすべてを“オフィシャル級オーディエンス”のリアリティとクオリティで味わうことができるのです。オフィシャル『THE TOKYO TAPES』がどこまで修正されているのかは寡聞にして分かりませんが、本作は紛う事なき本生100%。その史実を真空パックしながら、公式盤にも譲らない極上サウンドで描ききったドキュメントの名盤です。思えば、この時期にハケットがGENESISの金看板への思いを吐き出したからこそ、今がある。ハケットが自身の“プログレッシヴ・ロック”を総括して魅せた2016年だからこそ、もう一度振り返っていただきたい大傑作です。ハケットのターニング・ポイントでもあり、録音史にも輝く超絶なハイクオリティでもある1本。どうぞ、たっぷりとお楽しみください。
Live at Koseinenkin Hall, Tokyo, Japan 16th December 1996 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1
1. Watcher Of The Skies 2. Riding The Colossus 3. Firth Of Fifth 4. Battle Lines 5. Camino Royale 6. In The Court of The Crimson King 7. Horizons 8. Walking Away From Rainbows 9. Heat Of The Moment
Disc 2
1. In That Quiet Earth 2. A Vampyre With A Healthy Appetite 3. Talk To The Wind 4. I Know What I Like 5. Shadow Of The Hierophant 6. Drums Solo 7. Los Endos 8. Black Light 9. The Steppes
Steve Hackett - Guitars John Wetton - Bass, Guitars & Vocals Chester Thompson - Drums & Percussion Ian McDonald - Flute, Sax & Keyboards Julian Colbeck - Keyboards