
2016年初夏の日本を幻想のプログレッシヴ・ロックで染め上げたCAMELとスティーヴ・ハケット。名録音の数々が一気に登場してきましたが、その決定打となる大作4枚組が登場です。本作が記録されたのは、「2016年5月22日・日比谷野外大音楽堂」公演。“PROGRESSIVE ROCK FES 2016”に出演したハケットとCAMELをフル収録したオーディエンス・セットです。当日はオープニングアクトに日本人によるフロイド・トリビュートバンドも出演していましたが、本作はディスク1・2にハケット、ディスク3・4にCAMELのフルショウを配した4枚組です。今週は、両バンドの来日タイトルが一気にリリースされますので、ここで整理してみましょう。
【CAMEL】・5月18日:大阪・なんばHatch 『OSAKA 2016』・5月20日:東京・EX THEATER六本木 『TOKYO 2016』★・5月21日:東京・EX THEATER六本木・5月22日:東京・日比谷野外大音楽堂 【本作】★
【STEVE HACKETT】・5月21日:川崎・クラブチッタ 『KAWASAKI 2016』★・5月22日:東京・日比谷野外大音楽堂 【本作】★・5月23日:大阪・なんばHatch 『OSAKA 2016』(★印は本作と同じ録音家による作品)
本作の収録順とは逆になってしまいましたが、先に来日したCAMELにとっては4公演目の最終日、ハケットにとっては中日の2公演目にあたるショウでした。そんなフェスを記録したのは、CAMEL『TOKYO 2016』やハケット『KAWASAKI 2016』と同じ録音家。もちろん同じ機材を使用していますし、なんと3回ともほぼ同じ“前方3列目”から録音されたそう。つまり、この3作は2バンドの“関東の単独公演”と”合同フェス”を同一環境で記録した三部作なのです。正直な話、両バンドとも「単独公演かフェスのどちらか音の良い方をプレスしよう」と考えておりましたが、この3作はいずれ劣らぬ超高音質盤ばかり。“前方3列目”ならではのド直近サウンドは会場音響にも左右されず、まるでサウンドボードのようですし、クリアさも特級なら、そのクオリティが全編微塵も揺るがない完全収録も凄まじい。関東圏でさまざまなバンドの名録音を連発している巨匠テーパーなのですが、彼のコレクションでもズバ抜けている。さらには、3作を貫く統一感まで揃っているのですから、すべて丸ごとCD化するしかなかったのです。そのクオリティで描かれる叙情プログレの洪水は感無量。演奏の詳細は、各バンドの単独公演タイトルと被るのでここでは触れませんが、大きな違いはショウの構成。この日はフェスだったために、両バンドとも少々セットを短縮しています。特に大きく削っているのはハケットで、ソロ篇の6曲「Spectral Mornings」「Every Day」「The Wheel's Turning」「Icarus Ascending」「Star Of Sirius」「Ace Of Wands」、GENESISの2曲「Get 'Em Out By Friday」「The Musical Box」が省略されています。一方のCAMELはそこまでではないものの、「Preparation / Dunkirk」「Air Born」「Lunar Sea」「Drafted」の4曲がカットされました。こうした曲は単独公演の『TOKYO 2016』『KAWASAKI 2016』でお楽しみいただけけるわけですが、単に「大は小を兼ねる」とならないのが音楽の面白いところ。セットが短くなった分、1曲1曲の集中力は高まりますし、普段と違う流れに緊張感も走る。その上、“これぞ”の曲を残すからこその濃縮感がアップしているのです。それ以上に美味しいのが、両巨頭が並び立つ空気感。『TOKYO 2016』『KAWASAKI 2016』にも同一録音家の統一感は流れていますが、会場の微妙なサウンドニュアンスも異なれば、居合わせている観客も違う。その点、本作は“同じ空気”を共有する一体感が途絶えることなく流れる。さすがに、両バンドとも超ベテランだけに“ライバル意識が火花散る”とまでは言いませんが、同じ観客が続けて観るだけに比較は避けられない。両者ともに一切の手を抜けない、ビシッとした演奏が4枚組を一本貫くのです。世界広しと言えど、ここまで極上に両巨頭の息づかいが並ぶ録音は2つとないでしょう。 叙情派プログレの第一人者たる名バンド2組が並び立った一夜。キャリア総括のハケット、奇跡のCAMEL再来日。その2つが交差し、ピークを極めた4枚組です。本来であれば、『TOKYO 2016』『KAWASAKI 2016』と併せた三部作としてお楽しみいただきたいところですが、「どれか1本だけ……」という方にも自信をもってお薦めできる大傑作です。2016年の日本に現出したプログレッシヴ・ロックの桃源郷、その頂点とも言うべき一夜。どうぞ、たっぷりとお楽しみください。
Live at Hibiya Open Air Concert Hall, Tokyo, Japan 22nd May 2016 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Steve Hackett
Disc 1 (35:22)
1. Intro 2. Out of the Body 3. Wolflight 4. Love Song to a Vampire 5. Loving Sea 6. A Tower Struck Down 7. Shadow of the Hierophant
Disc 2 (45:46)
1. Member Introductions 2. The Cinema Show 3. Aisle of Plenty 4. The Lamb Lies Down on Broadway 5. Can-Utility And The Coastliners 6. Dance on a Volcano 7. Firth of Fifth 8. Outro.
Camel
Disc 3 (53:34)
1. Intro 2. Never Let Go 3. The White Rider 4. Song Within A Song 5. Unevensong 6. Rhayader 7. Spirit of the Water 8. Ice
Disc 4 (40:51)
1. Mother Road 2. Hopeless Anger 3. Long Goodbyes 4. Member Introduction 5. Lady Fantasy