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ポール来日の興奮も冷めやらないままに「WINGS WILD LIFE」、「RED ROSE SPEEDWAY」といった初期二枚のアルバムが遂に再発されて盛り上がるウイングス。彼らが結成当初にバンドの結束を高めるために、イギリスの大学を回って抜き打ちでツアーを行ったことは伝説的なエピソード。今でこそ、この時期は「大学ツアー」と呼ばれていますが、本当に行き当たりばったりでバンド一行がルートの近くにあった大学を訪れ、今夜ライブをやらせてもらえないだろうか？と交渉するという、素朴の極みたるライブ活動だったのです。何しろビートルズの後に結成されたバンドであり、なおかつミュージシャンとしての経験は無きに等しかった妻のリンダもメンバーに加えたとあって、ポールが極めて慎重にグループを始動させた結果でした。よって実現したコンサートはどれもがサプライズ・ギグの様相を呈していたのですが、一番最初に開かれたショーである1972年2月9日ノッティンガム大学でのギグのオーディエンス録音が存在するというのは奇跡だとしか思えません。まだグループのファーストアルバム「WINGS WILD LIFE」がリリースされたばかりで、一般的にはライブ活動が行われることなど予想だにしていなかったのですから。そんな歴史的な音源だけのことはあり、21世紀に入って「FIRST FLIGHT」といったアイテムがリリースされていましたが、この音源は元々ヒスノイズが盛大に乗っていたこと、それ以上に当時の風潮を反映して激烈なイコライズが施されてしまいました。それでも貴重な音源がリリースされたということから、マニアの間では高く評価されたものですが、あれから15年以上が経過した今、その凄まじいイコライズ感で聞き通すのはさすがに厳しい。演奏のディテールすら歪んでしまったレベル。実を言うと原音は確かにヒスノイズが強いものの、それでもマニアなら聞けてしまうレベルのオーディエンス録音。いや、先日のポール来日公演で興味を持った人などには絶対に勧められない（笑）。「Bip Bop」とヘンリー・マカロックが歌うブルース（曲名不詳）では音質が落ちてしまうのも事実。それでもなお、既発盤と比べれば荒い音なりに、むしろウォーミーかつナチュラルさで圧倒的に好感を持てる状態で楽しめるのでは。既発盤は途中からピッチの大きな上昇がみられたのも欠点ですが、今回のギフトの元になった音源は反対にピッチが低め。そこを今回はきっちりアジャストしたことで、さらに聞きやすくなっています。何しろ公式ライブ・ツアーを行う前、結成したてのバンドです。サウンドのまとまりなど望むべくもない。雰囲気的には「骨太な学園祭バンド」とでも例えれば想像してもらえるでしょうか。ここで驚かされるのが、デニー・レインとヘンリー・マカロックそれぞれにブルースを歌わせていること。ウイングスはもとより、ポールのライブ史においても彼がここまで正調ブルースを演奏しているのが極めて珍しい。ここからは3コードの簡単なブルースを演奏させることでリンダを始めとしたメンバーの結束を図ろうと様子が伺えます。その一方で、まだ録音すらされていなかった「My Love」や「The Mess」といったレッドローズ時代の曲が既に演奏されているのも貴重でしょう。おまけに両方でリンダが無邪気に掛け合いボーカルを務めている様にも驚き。この素朴なパフォーマンスが、あの大成功を収めたウイングスのスタート地点であったことを考えると本当に感慨深いものがあります。そして最初のライブ・ステージの様子が音源として残っていたことも同様。いわゆる「荒くれ音源」的な音質なのは事実ですが、それでもナチュラルで十分に聞ける歴史的録音。 University of Nottingham, Nottingham, UK 9th February 1972 1972 Wings University Tour(49:28) 1. Blue Moon Of Kentucky 2. Give Ireland Back To The Irish 3. You've Got To Help Me Darling (Denny Laine) 4. Thank You Darling 5. Wild Life 6. Bip Bop 7. Shuffle Blues (Henry McCullough) 8. The Mess 9. My Love 10. Lucille 11. Long Tall Sally

拡大表示	Paul McCartney,Wings ポール・マッカートニー ウイングス/UK 1972 Raw Tapes 販売期間: 価格: 1,630円 (税込) 購入数: 個 在庫 在庫あり 返品についての詳細はこちら この商品について問い合わせる