本作は第3期DEEP PURPLEの「1974年8月29日カンサスシティ公演」を収めたオーディエンス・アルバム。9月からの本格的なヨーロッパ・ツアーに入る前、4公演だけ組まれた米国ミニツアーの模様です。このツアーの音源は、本作しか知られておらず、2009年に初登場した際には「8月28日」とされていましたし、本作のオリジナルアートワークにもそう記載されていましたが、最近の調査で「8月29日」と判明しましたのでそのように訂正させていただきます。ここで日程を確認しておきましょう。・1974年8月24日マイアミ公演・1974年8月26日ハートフォード公演・1974年8月29日カンサスシティ公演 【本作】・1974年8月30日ヒューストン公演このように、このミニツアーは8月の後半に組まれたもの。この“1974年8月”というのは「STORMBRINGER」が制作されたタイミング。アルバム制作の詳しい日程は分かりませんが、8月にドイツで録音されて9月にLAでミキシングが行われましたから、メンバーがアルバムを録り終え、マスターを携えての渡米だったのかも知れません。そんな時代の空気をいっぱいに吸い込んだ本作。「Burn」冒頭や「Space Truckin’」の前半にカットがあるものの、初登場した際には、未知の領域だった「1974年8月」が初めて姿を現したことで大いに話題となりました。ただ単に聴いたことのないライヴなだけでも驚きだったのですが、それ以上にサウンドが衝撃。ややひずみ気味サウンドで「ツアーのベスト・オーディエンス!」とは言えないのですが、ダイレクト感いっぱいで演奏の機微までビビッドに伝わる。35年間も人知れず眠っていたとは思えないサウンドだったのです。そんなサウンドで飛び出してくる演奏がまた素晴らしい。「STORMBRINGER」の録音直後だからと言って、「Lady Double Dealer」や「Stormbringer」を演奏しているわけではありませんが、その演奏には、新作を作り上げたばかりの熱気がたっぷりと詰まっている。「Lay Down Stay Down」のイントロでスティーブン・フォスターの「Oh! Susanna」を交えたインプロを機嫌良く奏でるジョン・ロード、「Mistreated」で絶品のアドリヴを聴かせるカヴァデール、「Highway Star」でもソウルフルにかっ飛ばすグレンのハイトーン。アルバム制作中にやる気をなくしたと言われるリッチーも「Space Truckin’」後半でここぞとばかりに弾きまくり、狂気のソロをたっぷりと聴かせてくれるのです。その第3期ならではのギタートーンがまた最高。この時期からRAINBOW初期のトーンにこだわる方が多いのも納得ですし、本作のサウンドも、それが分かるほどなのです。再び脚光を浴びつつある第3期DEEP PURPLE。今でも心を捕らえて放さない、あの魅力。ただ昔のアルバムを引っ張り出すだけでなく、聴いてなかったライヴで新鮮に思い起こしてみませんか?Live at Arrowhead Stadium, Kansas City, Missouri, USA 29th August 1974 TRULY AMAZING SOUND 1. Intro. 2. Burn 3. Might Just Take Your Life 4. Lay Down Stay Down 5. Mistreated 6. Smoke On The Water 7. Space Truckin' 8. Going Down 9. Highway Star Ritchie Blackmore - Guitar David Coverdale - Vocal Glenn Hughes - Bass & Vocal Jon Lord - Keyboards Ian Paice - Drums