オアシスにとって穏やかな過度期と言えた2001年。この年はアルバム・プロモーションを兼ねたツアーというのがなく、代わりに実現したのが二つの企画ものツアーでした。上半期はブラック・クロウズとジョイントした兄弟愛ツアーがアメリカで実現。そこからの極上オーディエンス「CHICAGO 2001 DAT MASTER」のリリースも記憶に新しいところ。さらにフジロックでの単発来日(こちらも「FUJI ROCK 2001 DAT MASTER」が大好評発売中)を挟んで下半期は母国イギリスにて「10 YEARS OF NOISE AND CONFUSION」ツアーが行われました。この短期ツアーが画期的だったところは、翌年から完全にスタジアム・ロック・バンドと化すオアシスが原点に返るかのごとくシアター・クラス限定で行われたということ。よってチケットの入手は困難を極めたのですが、本当に幸いなことに10月13日のグラスゴー、バロウランズでのギグが撮影されてアメリカとイギリスそれぞれのテレビで放送されました。これによって結成10周年記念ギグの模様が簡単に垣間見られるようになり、しかも音声がステレオ・サウンドボードだったことからCDも多くリリースされたものです。もちろん映像の方も当時から広く出回ったものですが、あいにくとDVDを使った録画が普及する直前というタイミングから、アナログを介した録画(=VHS)のバージョンで流通することに。おまけに英米それぞれの放送で画面にロゴが入っており、なおかつ現在とは画面サイズが異なるといった問題からYouTube上で見られるものなど、そのつじつまが合わないままアップロードされてしまったバージョンまであるという現状。その点、今回リリースされるのは2014年になってイギリスで再放送されたバージョンを元にしており、画質は2001年の各放送バージョンとはまるで比較にならない極上レベル。さらに画面サイズも含め、現在のデジタル&大画面テレビでも差し支えなく楽しめる唯一のバージョンだと断言いたしましょう。元々カットされていたリリース前の二曲と「Live Forever」は仕方ないとして、ノエルが歌った「Half The World Away」など、2001年の放送分から合計で6曲もカットされてしまったショートバージョンである点が玉に瑕なのですが、それでもなおこの画質の鮮明さは強烈。このままオフィシャルにリリース出来てしまうほどクオリティの高いもの。案の定YouTube上では本バージョンを元に、欠落している曲を2001年放送で補った全長版が見られるのですが、その画質の差はいかんともしがたく、またアップロードされた段階で2014年版の画質まで落ちてしまっているのだから痛い。やはり音源の補填と違い、映像の場合は画質が違うと違和感がどうしても出てしまうことからも、今回は潔く最新再放送バージョンをベスト・クオリティでのリリースという形に相成りました。何しろ画質が最高なので、貴重な「10 YEARS OF NOISE AND CONFUSION」ホール・ツアーの和やかな雰囲気がリアルすぎるくらいに伝わってくる。中でもノエルは久々のホールでのライブを心から楽しんでいるようで、自身が歌う曲になると積極的に観客に歌わせているところからもそれが伺えます。またリアムの調子も非常に良く、久々のレパートリー復活となった「Fade Away」や「Slide Away」といった初期の楽曲も凄くいい感じで歌えている。2001年のツアーでリアムの調子が悪い日はこれらの曲の出来がガクンと落ちてしまったほどですので、ここでの彼の伸びやかな歌いっぷりが際立っている。そして本ライブ映像が特筆すべきは、貴重な短期ツアーを捉えていたというだけでなく、非常に音楽的なセンスに溢れたアングルとカット割り。ギターソロになるとノエルの手とギターネックがドアップになるのは当たり前、ゲストのジョニー・マーですら肝心の場面をしっかり押さえてくれる。極めつけにアランが踏むバスドラムのペダルまで捉えて見せたほど。このようにショートバージョンである点を差し引いてもあまりある画質の鮮明さ。オアシスの穏やかな過度期2001年を代表するライブ映像を文字通りのベスト・クオリティでじっくり味わってください。 Barrowlands, Glasgow, Scotland 13th October 2001 PRO-SHOT 1. Fuckin' In The Bushes 2. Go Let It Out 3. Columbia 4. Supersonic 5. Fade Away 6. Whatever / Octopus's Garden 7. The Masterplan 8. Slide Away 9. Champagne Supernova 10. Rock 'n' Roll Star 11. Don't Look Back In Anger 12. I Am The Walrus Liam Gallagher - vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Gem Archer - guitar Andy Bell - bass Alan White - drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.58min.