2024年ツアーも発表となり、順調に活動を続けているニック・メイスン率いる初期フロイド復刻プロジェクトSAUCERFUL OF SECRETS。その極上映像が登場です。そんな本作が撮影されたのは「2023年7月20日パルマノーヴァ公演」。その超絶景オーディエンス・ショットです。映像でのレポートは久しぶりで『RANDERS 2022』以来。良い機会でもありますので、彼らの近況をスケジュールで俯瞰してみましょう。2022年・4月13日ー5月11日:英国#1(21公演)・5月14日ー7月13日:欧州#1(39公演)←※RANDERS 2022・9月22日ー11月1日:北米(28公演)2023年・7月14日ー26日:欧州#2(9公演)←★ココ★・9月16日ー25日:豪州(6公演)2024年・6月11日ー29日:英国#2(14公演)・7月2日ー8月1日:欧州#3(20公演)これがパンデミック以降、現在までに公表されている活動概要。昨年は公演数を抑えつつ、赤道を越えてオーストラリアにも進出。2024年は今のところ大票田のヨーロッパだけですが、それでもグッと予定を増やし、健在ぶりを見せつけてくれています。そんな中で、本作のパルマノーヴァ公演は「欧州#2」の5公演目にあたるコンサートでした。そんな現場を真空パックした本作は、強烈なズームがド迫力な絶景映像。冒頭「One Of These Days」のリフに乗ってステージ照明が付くとやや距離がある事に気づくのですが、そこからグイグイとズーム。あっと言う間に前方客の姿消え、ニックやぴょんぴょん跳ねるガイ・プラットを中心員メンバーが超大写し。まんまスクリーン・ショットのようなドアップになって撮影ポジションが分からなくなるのです。スゴいのは、その超ドアップのままカメラを自在に動かし、各メンバーの見どころキッチリ押さえまくること。いかに最新機材のズーム機能が凄まじくとも、そこまで寄りまくっては画面が暴れるものですが、本作はビシッと安定したまんま。1人ひとりの表情も手元も高画質で綺麗に描かれ、七色に輝くサイケデリックな背景まで超鮮やか。ズームだけでなく、カメラワークまでスクリーン映像並み……と言いますか、狙いを定める開演シーンがなかったら、本当にスクリーン・ショットだと思うところです。そんなプロショット感を高めているのが、ダイレクト感たっぷりなサウンド。実際にはカメラ付属のマイク録音なのでしょうが、芯は極太だわ、ディテールは細やかだわ、セパレート感は絶大だわ。ライヴアルバムとしても十二分に名盤級で、映像の添え物のレベルではありません。その要因は、恐らく会場。現場は星形要塞都市“パルマノーヴァ”の中心を成す六角形の大広場で、そこに野外ステージが設置されている。そのため、音を反射する壁も天井もなく、PAの出音を反響ゼロで拾っているのです。もはや「ワンカメのプロショット」と言った方がしっくり来る映像美で描かれるのは、結成5年を経て進化を重ねた最新の「初期フロイドの世界」。彼らの映像と言えば、何はともあれ公式『LIVE AT THE ROUNDHOUSE』がすべての基準。ここで比較しながらセットを整理しておきましょう。シド・バレット時代(10曲)・夜明けの口笛吹き:Astronomy Domine/Lucifer Sam/Bike・神秘:Remember A Day/Set The Controls For The Heart Of The Sun/A Saucerful Of Secrets・シングル他:Arnold Layne/Candy And A Currant Bun(★)/Vegetable Man/See Emily Play その後(10曲)・モア:The Nile Song・原子心母:If/Atom Heart Mother・おせっかい:One Of These Days/Fearless/Echoes(★)・雲の影:Obscured By Clouds/When You're In/Burning Bridges(★)/Childhood's End ※注:「★」印は『LIVE AT THE ROUNDHOUSE』になかった曲。……と、このようになっています。実のところ2022年のセットに酷似しており、「Interstellar Overdrive」が外れた以外は『RANDERS 2022』から変化はありません。もっとも、それだけ当人達も納得のショウ内容になっているわけで、淀みない演奏はピカイチ。そして何より、ド迫力の映像のお陰でまったく違って見える。『RANDERS 2022』が遠景中心だったというのもありますが、他客の存在を感じない独り占め感覚で初期フロイドの世界に浸りきれるのです。始動直後からNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETSを徹底的にレポートしてきましたが、ここまでの映像はちょっと覚えない。『LIVE AT THE ROUNDHOUSE』が絶対なのは当然として、「その次」は間違いなく本作……そんな次元の超絶景映像なのです。現在も進化し続けている最新形のレポートと言うだけでなく、5年の活動歴でもズバ抜けた極上の映像傑作。「2023年7月20日パルマノーヴァ公演」の超絶景オーディエンス・ショット。ステージ正面の客席撮影なのですが、観客の存在感がまるでない強烈なズームによる光景はまるでスクリーン・ショット。しかも、野外会場のために反響ゼロのサウンドも超タイト&クリア。「ワンカメ・プロショット」と言われた方がしっくり来る超絶景で5年の進化を経た最新の“初期フロイドの世界”に浸りきれます。Piazza Grande, Palmanova, Italy 20th July 2023 AMAZING SHOT!!!! 1. One Of These Days 2. Arnold Layne 3. Fearless 4. Obscured By Clouds 5. When You're In 6. Candy And A Currant Bun 7. Vegetable Man 8. If 9. Atom Heart Mother 10. If (Reprise) 11. Remember A Day 12. Band Introduction 13. Set The Controls For The Heart Of The Sun 14. Astronomy Domine 15. The Nile Song 16. Burning Bridges 17. Childhood's End 18. Lucifer Sam 19. Echoes 20. See Emily Play 21. A Saucerful Of Secrets 22. Bike COLOUR NTSC Approx.125min. Nick Mason - drums / percussion / gong Gary Kemp - guitar / vocals Guy Pratt - bass / vocals Lee Harris - guitar Dom Beken - keyboards