創設者デヴィッド・アレンの遺志を継ぎ、あの“RADIO GNOME三部作”の要となったスティーヴ・ヒレッジと共に来日を果たしたGONG。その一部始終を完全収録したライヴ・シリーズが登場です。昨年10月末に実現した来日公演は、全4公演。そのすべてを同一録音家が丸ごと真空パックした極上オーディエンス録音を2セットでリリースされます。その第一弾となる本作に収められているのは「2018年10月30日:大阪(夕の部・夜の部)」公演。まずは、シリーズ構成を日程で整理しておきましょう。・10月30日:大阪(夕の部)【本作CD1-2】・10月30日:大阪(夜の部)【本作CD3-4】 ・10月31日:東京(夕の部)『TOKYO 2018』・10月31日:東京(夜の部)『TOKYO 2018』 ……と、このようになっています。大阪・東京の共に夕の部・夜の部の2公演が行われ、トータル全4公演。本作の大阪2公演は、来日前半となる1日を丸ごと総括する1本なのです。まさに決定的な2連作となるわけですが、もちろん単にコレクタブルなだけではありません。真の凄さは、そのクオリティ。録音家本人から譲られた本作だけのオリジナル・マスターなのですが、その録音家がまた名作を連発している匠。近年で言えば、ポール・マッカートニーの『ONE ON ONE AT BUDOKAN』や18年来日の傑作『RYOGOKU KOKUGIKAN 2018』『NAGOYA 2018』でお馴染み。を賜ったリンゴ・スターの6枚組『ORCHARD HALL 2016: COMPLETE 3 NIGHTS』もこの名手の作品です。この中の1本でも体験された方ならピンと来ると思いますが、本作のサウンドはそれ以上。狭いクラブ規模の空間のおかげか距離感がまるで感じられず、芯はさらにオンでディテールも細やか。もちろん、GONGの客層ですからバカ騒ぎが起こるはずもなく、演奏だけが極太に轟く。圧倒的なほどの生々しい音色なのでサウンドボードと間違えこそしませんが、そんじょそこらのFM録音だろうと問題にならない超密着の極上サウンドなのです。そのサウンドで描かれるショウは、本当に素晴らしい。オープニングから三部作前夜の「You Can't Kill Me」が飛び出し、会場は一気に70年代ムード。その後も三部作の「I Never Glid Before」「Master Builder」やヒレッジのソロ曲「Hiram Afterglid Meets The Dervish」といった70年代ナンバーが軸となる。「You Never Blow Yr Trip」にしても『CAMEMBERT ELECTRIQUE』の「Tropical Fish / Selene」へと繋がるメドレー・アレンジが素晴らしい。もちろん、すべてが70年代というわけではなく、そこに総帥アレンに捧げられた『REJOICE! I'M DEAD!』の「Kapital」「Rejoice」や前作『I SEE YOU』の「The Eternal Wheel Spins」が織り交ぜられる。長く複雑な歴史を持つバンドではありますが、「70年代+現代」に絞り込んだセットです。また、夕の部(ディスク1-2)と夜の部(ディスク3-4)でも(わずかながら)変更。基本的に流れは共通ですが、夜の部ではヒレッジの「Hiram Afterglid Meets The Dervish」がショウの後半に移動しており、その前に「Insert Your Own Prophecy」が差し込まれています。そして、そんなセットを演じる演奏こそが圧倒的。基本メンバーは『REJOICE! I'M DEAD!』と同じ多国籍軍の5人で、オープニング2曲を演奏。そして、三部作の「I Never Glid Before」からいよいよ御大ヒレッジが登場! そのソロの素晴らしい事。かつてほどディレイ全開というわけではないものの、フレーズを止めどもなく紡ぎ出す演奏ぶりは実に流麗。さらに圧倒的なのは『YOU』の名曲「Master Builder」。呪術的な「IAO ZA-I ZA-O……」に煽られるようにビートが過熱し、一気にバンドが雪崩れ込むカタルシスはまさにGONG! そしてオリジナルのディディエ・マレルブにも肉薄するシャープなサックスソロが轟き、そこにヒレッジがスペーシーなギターを重ねていく。その絡み合いは実に有機的で、音だけでも目配せするメンバーの姿が浮かんでくる。創始者を失っても、そのヴィジョンは生きている。間違いなくGONGなんだと実感する素晴らしいショウなのです。強烈な個性派揃いのプログレッシヴ/カンタベリー・シーンでも、ひときわ異彩を放つ名バンドGONG。その最新来日の全4公演を極上サウンドでコンプリートできるアーカイヴ2連作です。決定的な同一録音家コレクションでありつつ、1公演1公演が極上で特濃。本作は、その第1弾となる大阪編。 Osaka, Japan 30th October 2018 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) 1st show Disc 1(52:54) 1. Intro. 2. You Can't Kill Me 3. Kapital 4. I Never Glid Before Gong 5. Hiram Afterglid Meets The Dervish (Solar Musick Suite) 6. Rejoice 7. Master Builder Disc 2(29:54) 1. You Never Blow Yr Trip / Tropical Fish / Selene (encore) 2. Insert Your Own Prophecy 2nd show Disc 3(49:22) 1. Intro. 2. You Can't Kill Me 3. Kapital 4. I Never Glid Before Gong 5. Rejoice 6. Master Builder Disc 4(45:53) 1. The Eternal Wheel Spins 2. Hiram Afterglid Meets The Dervish (Solar Musick Suite) 3. You Never Blow Yr Trip / Tropical Fish / Selene (encore) 4. Insert Your Own Prophecy Kavus Torabi - Guitar, Vocal Fabio Golfetti - Guitar Dave Sturt - Bass Ian East - Saxophone, Flute Cheb Nettles - Drums Special Guest Steve Hillage - Guitar