1976年の” Isolar”アメリカ・ツアーから久々にアイテムが登場です。これまで本ツアーからは「SEATTLE 1976」に「CLEVELAND 1976 2ND NIGHT」という優良オーディエンス・アルバムをリリースしてまいりましたが、前者がツアー序盤、後者がツアー中盤のステージを捉えていたものでした。それらに対し、今回は初のアメリカ・ツアー終盤となる3月21日のスプリングフィールド公演がリリース。” Isolar”アメリカ・ツアーは何故かモノラルで録音されたオーディエンス録音が多く、過去にリリースされた二タイトルはもちろん、今回もまた同様の録音状態となるもの。しかし音像の近さという点ではクリーブランドを上回り、アメリカ・ツアー中のベストと称されたシアトルに肉薄する近さと迫力。もちろん「まるでサウンドボード」と形容されるような域ではないのですが、モノラルならではの骨太な質感と相まって、この日の空気をたっぷりと吸い込んでくれた素晴らしい音質。とはいえオープニングの「Station to Station」では何度か音が引っ込んでしまう箇所があり、次の「Suffragette City」になると今度は音切れが。同じオーディエンス録音でありながら、過去にリリースされた二タイトルと比べると安定度で劣ってしまうのは確か。それでもなお本公演がリリースされるのには明確な理由があります。つまり、それだけの価値があるということ。ボウイが凛々しすぎる逮捕写真が近年ネット上で話題となりましたが、その逮捕劇が起きたのがこの日だったという。彼がツアーを同行していたイギー・ポップと共に真夜中のホテルでマリファナ所持の疑いで逮捕されました。それは後に不起訴処分となるのですが、何がおかしいって、当時ボウイがあれだけ浸っていたコカインでなくマリファナだったということ。皮肉なことに不起訴処分という結果もやむなしだった訳です。これが日本だとアーティスト生命が絶たれてしまうレベルの騒ぎとなり、ツアーも中止となってしまうはず。ところがここはアメリカ。ボウイは保釈金を払って予定通りコンサートを行います。それが今回リリースされるスプリングフィールド公演。そして23日にあの定番ラジオ放送ナッソー・コロシアムを終えたボウイは再び出頭、そこで撮影されたのが例のマグショット(逮捕写真)だったのです。こうした顛末があったことを考えれば、この日のショーがオープニングの「Station to Station」が異様なほどのテンションの高さをもって始まったことにも合点がいくというもの。これまでリリースされてきた2月の音源と聞き比べても、そのテンションの違いは明らか。何しろ警察沙汰を経たのだから当たり前ですよね。何と言っても” Isolar”ツアーの独特なサウンドを決定づけたステイシー・ヘイドンのリードギターからして力の入り具合がありありと。つまり、トラブルをねじ伏せて強行されたコンサート。ボウイ以下、ステージ上のメンバーに力が入らないはずがない。そのオープニングから「Stay」まではテンションが完全にキレッキレで、本当に張り詰めた空気を発しながら演奏している様子がはっきり伝わってくる。” Isolar”アメリカ・ツアーの中でも異色の名演であることは、オープニングから同曲までの演奏で確定したのです。そんな激しい演奏の連続から一息つくような「I'm Waiting for the Man」も格別。ショーの前半がそんな調子でしたので、これが「Panic in Detroit」になると再び荒れ狂うかと思いきや、意外にもボウイの歌からは余裕が感じられる。この曲といえばデニス・デイヴィスのドラム・ソロですが、おなじみのスキャットはほとんど発せず、このツアーとしては珍しく正調ドラム・ソロ的な展開となっているのが意外と珍しい。とはいえソロ最中になると周囲の観客がお喋りを始めてしまう光景が何ともアメリカン。そして「Changes」以降はすべてから解放され、余裕と自信にあふれた絶好調のボウイが。何と言ってもこの修羅場を超え、ツアーを遂行できた果てに生み出されたのが永遠の定番ナッソー・コロシアムなのです。その境地に到達するまでの貴重なドキュメントでもある。それでいて2月のアイテムとナッソーの間をつなぐ架け橋だとも言えるでしょう。その証拠に「TVC 15」がセットリストの後半ではなく終盤で演奏されているのが意外と珍しいポイント。マニアの間で人気の高いツアーでありながら、これまでラジオ放送かつオフィシャルのナッソーと2月から生み出された二種類の定番ばかりにスポットが当たりがちだった。しかし今回、遂に3月の良質オーディエンス&極めつけの名演がリリースされます。逮捕という一大トラブルを通り抜けてステージに上がってみせたボウイがショー前半で聞かせた鬼気迫る演奏ぶりには圧倒されるばかり。このツアーを愛するマニアへ。
Live at Springfield Civic Center, Springfield, MA, USA 21st March 1976 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND (The morning/day of Bowie/Iggy Pop 3am drug arrest in Rochester, NY)
Disc 1 (39:47) 1. Station to Station 2. Suffragette City 3. Fame 4. Word on a Wing 5. Stay 6. I'm Waiting for the Man 7. Queen Bitch
Disc 2 (41:46) 1. Life on Mars 2. Five Years 3. Panic in Detroit 4. Band Introductions 5. Changes 6. Rebel Rebel 7. Diamond Dogs 8. TVC 15 9. The Jean Genie
David Bowie - Vocals, saxophone Carlos Alomar - Rhythm guitar, backing vocals Stacy Heydon - Lead guitar, backing vocals George Murray - Bass guitar, backing vocals Dennis Davis - Drums, percussion Tony Kaye - Keyboards





























