ディラン98年夏のヨーロッパツアーでは毎晩素晴らしい演奏が披露されただけでなく、遂にはイギリスの風物詩とも言えるグラストンベリー・フェスティバルへの出演まで実現。それどころか現在に至るまでディラン唯一のグラストンベリー出演となっています グラストンベリーと言えば出演者のステージがテレビかラジオで放送されるのが常でしたが、そこはディランらしくどちらの収録も拒否。そのせいで彼がグラストンベリーに出演したことを知らない人の方が多いのではないでしょうか。そこでディラン・テーパーたちの出番となる訳ですが、さすがの彼らでもグラストンベリーほど大規模なフェスで良ポジを確保するのは難しく、ライブの大半は98年夏のヨーロッパらしかぬ音質という印象。これが他のアーティストのオーディエンス録音なら上質の部類に入ってしまうのかもしれませんが、今回リリースされるニューキャッスルやハンブルグが証明したように、このツアーではサウンドボード・レベルの極上録音がゴロゴロしている。そんな中で広大な野外フェスの録音はディラン・テーパーの猛者たちが苦労させられた様子が伺えます。いかにも野外でステージを距離感のある音像で録音したことを偲ばせる状態で、厚みを欠いた音質。それでも1998年のオーディエンス録音ですので十分に聞ける音質なのですが、やはり高音質が当たり前な時期にあっては分が悪い。そのせいで今までアイテムがリリースされたことはありませんでした。しかし笑えるのが、テーパーも奮起してライブ終盤になってステージ前方へ突進。アンコール「Love Sick」からは一気に音像がオンになって98年夏のディラン・オーディエンスらしい状態へと進化。そして何と言ってもディランはこの日も絶好調で、ハイテンションな「Cold Irons Bound」の後にはご機嫌な様子でグラストンベリーの大観衆に語り掛けたほど。絶頂期のフェス出演ながら、今までアイテムが一切リリースされたことがないレア度満点の貴重なドキュメント。しかもフェスのステージらしくCD一枚に収まって聞きやすい。是非ニューキャッスルとハンブルグを揃えてディラン唯一のグラストンベリー出演をお見逃しなく!Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Pyramid Stage, Worthy Farm, Pilton, UK 28th June 1998 (66:04) 1. Leopard-Skin Pill-Box Hat 2. Senor (Tales Of Yankee Power) 3. Cold Irons Bound 4. Just Like A Woman 5. Silvio 6. Cocaine Blues 7. Masters Of War 8. Tangled Up In Blue 9. Highway 61 Revisited 10. Love Sick 11. Rainy Day Women #12 & 35 12. Blowin' In The Wind Bob Dylan - vocal & guitar Bucky Baxter - pedal steel guitar & electric slide guitar Larry Campbell - guitar Tony Garnier - bass David Kemper - drums & percussion