全世界が『NEVERMIND』に震撼する中、ワールド・ツアーに乗り出した1991年のNIRVANA。そんな時代を伝える独自マスター・セットが登場です。そんな本作に収められているのは1つのショウの2つの記録。「1991年10月19日ダラス公演」のフル・ライヴアルバムと超絶映像をカップリングしたオーディエンス2枚組です。この2つの記録はどちらも海外のNIRVANA研究家から提供されたベスト・マスターであり、音楽革命が動き出した刹那を極上体験できるのです。そんな本作の現場は、どれほど歴史的だったのか。まずは、当時の活動概要を振り返ってショウのポジションを探っていきましょう。・1月18日/3月2日ー9日/4月17日:北米#1(7公演)・5月29日ー6月20日:北米#2(10公演)・8月15日+17日:北米#3(2公演)・8月20日ー9月1日:欧州#1(10公演)・9月16日ー23日:北米#4a(4公演)《9月24日『NEVERMIND』発売》・9月24日ー10月31日:北米#4b(30公演)←★ココ★・11月4日ー12月7日:欧州#2(28公演)・12月27日ー31日:北米#5(4公演)これが歴史の転換点だった1991年のNIRVANA。本作のダラス公演は、『NEVERMIND』リリースから1ヶ月も経っていない「北米#4b」の20公演目。このレッグからは公式映像『LIVE AT THE PARAMOUNT』も残されていますが、その12日前(10公演前)でもありました。それでは、それぞれの記録を個別にご紹介していきましょう。超クリア&ダイレクトなサウンドボー級録音 まず登場するのは、当日をフル収録した超クリア録音。とにかく空気感が透き通り、細部の微細部まで超克明に分かる。しかも距離感がない。極太な芯は密度もたっぷりとしていて、スカスカ感皆無。生々しくリアルな現場ムードも吸い込んでいるのでオーディエンス録音とは分かるものの、肝心要の演奏音はまるで……いや、丸っきりサウンドボード。あまりにもパワフルでピークが歪むシーンもあるものの、そもそもの出音が轟音系のNIRVANAだけに、むしろ迫力アップの装飾にすら感じられます。ステージ上のスタッフ体験ができる衝撃映像 んなサウンドボード級録音に続くのは、プロショット級の超絶景映像。分類的にはワンカメのオーディエンス・ショットなのですが、とてもそうは思えない。その最大のポイントは、撮影ポジション。なんとメンバーと同じステージ上(!)で、クリス・ノヴォセリック側背後から撮影している。分類名は「オーディエンス」ながら、実際には客席撮影ではなく「関係者ショット」なのです。もちろん「前方客」という概念すらない超絶景でして、ズームにしなくてもクリスの背中が大写し。しかも背中ばかり映しているわけではなく、曲の進行に沿ってカート・コバーンもデイヴ・グロールも間近で映す。そのアップ度と言ったら、バストアップどころかカートの口元とマイクだけが画面いっぱいになるほど迫る。まさに「メンバーの隣に立つ」スタッフ体験なのです。セキュリティがカートぶちのめすトチ狂った現場そんな2つの超絶記録で描かれるのは、力尽くで歴史を変えてしまった革命児のフルショウ。まずは直近『LIVE AT THE PARAMOUNT』と微妙に異なるセットリストからチェックしておきましょう。ネヴァーマインド(7曲)・Drain You/Smells Like Teen Spirit/Polly/Breed/On A Plain/Lithium/Territorial Pissings その他(12曲)・ブリーチ:School/Floyd The Barber/About A Girl/Love Buzz/Negative Creep/Blew・イン・ユーテロ:Pennyroyal Tea(★)/Rape Me・シングル他:L'Amour Est Un Oiseau Rebelle(★:ジャム)/Jesus Wants Me For A Sunbeam/Aneurysm/Sliver ※注:「★」印は公式映像『LIVE AT THE PARAMOUNT』で観られなかった曲。……と、このようになっています。レア曲うんぬんもさることながら、それ以上に強烈なのが現場。『NEVERMIND』リリース後とは言え、まだ会場は狭いクラブ規模でして、その狭い空間に“ヤラれた”観客がギュウ詰め。その熱狂は「ノッてる」という次元ではなく、地獄の餓鬼が押し寄せるような異様さなのです。そして、そんな餓鬼どもに立ち向かうNIRVANAも狂ってる。その象徴となるのが「Love Buzz」。何かをキメてるに違いない様子のカートがギターごと餓鬼どものド真ん中にダイヴ。プロレスラーのようなセキュリティが力づくでカートを引っ張り上げようと奮闘するのですが、そこでカートのギターがセキュリティの頭にガンガン当たりまくるのです。ここまではありがちな話ですが、本作はそれでは済まない。これにセキュリティがブチ切れ、ステージに上げたカートを殴るわ蹴るわボッコボコにしてしまう。こうなってはもう、ライヴだ演奏だの話じゃない。メンバーやスタッフが総出で筋肉マンを止めにかかり、ステージ上は大乱闘になるのです。しばしの乱闘が過ぎると、スタッフ仲間になだめすかされながら筋肉セキュリティは去り、カートも改めてチューニングを確認しようとギターを手にする。しかし、殴られっぱなしのカートは、怒りが収まらずにそのギターを力一杯投げつける。そして、その光景を見ていた餓鬼どもは「Bull shit!!」「Fcuk you!!!」の大合唱………いやはや、スゴい。凄すぎます。『NEVERMIND』の衝撃から34年。今では「歴史的な大ヒットアルバム」のひと言で片付けられがちですが、現実はそんな単純なものではありませんでした。混沌の時代を映し出した音に、バンドも観客もスタッフも狂っていた。本作は、その現実を100%リアルに体験できる究極セットなのです。「1991年10月19日ダラス公演」のフル・ライヴアルバムと超絶映像をカップリングしたオーディエンス2枚組。どちらも海外のNIRVANA研究家から提供されたベスト・マスターで、特にフル録音はクリア&ダイレクトなサウンドボード級。映像篇はステージ袖からスタッフが撮影した関係者ショットで、カート・コバーンとセキュリティが大乱闘を起こす事件シーンも目の前体験できます。Trees, Dallas, TX, USA 19th October 1991 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) CD(73:21) 01: Intro 02: L'Amour Est Un Oiseau Rebelle 03: Jesus Wants Me For A Sunbeam 04: Aneurysm 05: Drain You 06: School 07: Floyd The Barber 08: Smells Like Teen Spirit 09: About A Girl 10: Polly 11: Breed 12: Sliver 13: Love Buzz 14: Pennyroyal Tea 15: Negative Creep 16: On A Plain 17: Blew 18: Lithium 19: Rape Me 20: Territorial Pissings DVD(75:35) 1. Intro. 2. L'Amour Est Un Oiseau Rebelle 3. Jesus Wants Me For A Sunbeam 4. Aneurysm 5. Drain You 6. School 7. Floyd The Barber 8. Smells Like Teen Spirit 9. About A Girl 10. Polly 11. Breed 12. Sliver 13. Love Buzz 14. Pennyroyal Tea 15. Negative Creep 16. On A Plain 17. Blew 18. Lithium 19. Rape Me 20. Territorial Pissings COLOUR NTSC Approx. 76min.