ポップスターとしてキャリアの絶頂を迎えていた1983年のデヴィッド・ボウイ。栄光の“SERIOUS MOONLIGHT Tour”を伝える伝説録音がリリース決定です。そんな本作に吹き込まれているのは「1983年月4日ロンドン公演」。名会場“ウェンブリー・アリーナ”で記録された超極上オーディエンス録音です。本作最大のポイントは美しすぎるサウンドにあるのですが、まずは何よりショウのポジション。ボウイのキャリアでも最大・最長にして最も巨大な成功を収めたツアー概要から俯瞰してみましょう。《4月14日『LET'S DANCE』発売》・5月18日ー29日:欧州#1(10公演)・5月30日:USフェス出演・6月2日ー7月3日:欧州#2(21公演)←★ココ★・7月11日ー9月17日:北米(43公演)←※公式映像他・10月20日ー31日:日本(10公演)←※DEFINITIVE BUDOKAN 1983他・11月4日ー26日:オセアニア(10公演)←※SYDNEY 1983・12月3日ー8日:アジア(4公演)これが1983年のデヴィッド・ボウイ。ツアーの象徴と言えばバンクーバー公演のオフィシャル作品『SERIOUS MOONLIGHT』となるわけですが、本作のウェンブリー公演はその約3ヶ月前である「欧州#2」の一幕でした。当店では栄光の現場を可能な限りの名作でアーカイヴしており、この「欧州#2」も例外ではありません。さらに日程をフォーカスし、コレクションを整理しておきましょう。「欧州#2」レッグの詳細・6月2日+3日(2公演)*6月4日:ウェンブリー公演 ←★本作★・6月5日ー12日(6公演)*6月15日『BOCHUM 1983』・6月17日ー26日(6公演)*6月28日『EDINBURGH 1983』・6月30日+7月1日(2公演)*7月2日『MILTON KEYNES 1983 2ND NIGHT』・7月3日:ミルトン・キーンズ公演(3日目)そんなショウを真空パックした本作は、「超」の付く極上録音。録音家本人から譲られた大元マスターからデジタル化され、さらに精緻なマスタリングも実施。実際、そのサウンドはオーディエンスの常識外。この「欧州#2」からはもう1つのプレス名盤『MILTON KEYNES 1983 2ND NIGHT(Wardour-182)』も大定番となっていますが、あれは反響ゼロの野外だからこそのダイレクト感でしたが、本作は屋内にも関わらず同等以上の鮮やかさを誇っている。オーディエンスの証と言えばタムの鳴りが若干それっぽい事と生々しい曲間の喝采くらい。FM放送と言われても違和感のない精緻なサウンドであり、同時に猛烈にリアルでもある。本作を記録したのは歴戦の名手ではありますが、それだけでは説明が付かない。「録音の女神が微笑んでいる」としか思えない絶世の美録音なのです。そんな奇跡の美音で描かれるのは、「SERIOUS MOONLIGHT Tourの粋」とも言える名曲の宝箱。ただし、公式作『SERIOUS MOONLIGHT』とは似て非なるセットでもありますので、比較しながら確認してみましょう。80年代(7曲)・スケアリー・モンスターズ:Fashion/Scary Monsters (And Super Creeps)/Ashes To Ashes・レッツ・ダンス:Let's Dance/Cat People (Putting Out Fire)/China Girl/Modern Love クラシックス(18曲)・ジギー時代:Star(★)/Cracked Actor/Hang On To Yourself(★)/The Jean Genie(★)・ヤング・アメリカンズ:Young Americans/Fame・ステイション・トゥ・ステイション:Golden Years/Station To Station/Stay(★)・ベルリン三部作:“Heroes”/What In The World/Red Sails(★)/Breaking Glass・その他:Life On Mars?/Sorrow/Rebel Rebel/White Light, White Heat/Space Oddity ※注:「★」印は公式作『SERIOUS MOONLIGHT』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。単に豪華なだけでなく、過去のレパートリーもダンサブルな80年代サウンドに染め変えたアレンジ/サウンドが鮮烈。また、ちょっと面白いのが「Let's Dance」。1分半くらいのところで何かあったのか、突如としてバンドが進行を見失う。あわやアンサンブルが崩壊か……となりつつ、3秒と経たずに立て直すのです。よく聴くと曲後半でも危ういシーンがあり、さらに次曲「Red Sails」ではカウントをやり直している。モニターか何かに技術的なトラブルがあったのかも知れませんが、それさえも感じさせないプロフェッショナリズムが透ける名シーンだったりします。Wembley Arena, London, UK 4th June 1983 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1(64:56) 1. Stage Intro. 2. The Jean Genie(Intro)/Star 3. "Heroes" 4. What In The World 5. Golden Years 6. Fashion 7. Let's Dance 8. Red Sails 9. Breaking Glass 10. Life On Mars? 11. Sorrow 12. Cat People (Putting Out The Fire) 13. China Girl 14. Scary Monsters (And Super Creeps) 15. Rebel Rebel 16. White Light, White Heat 17. Station To Station Disc 2(43:18)1. Cracked Actor 2. Ashes To Ashes 3. Space Oddity 4. Member Introduction 5. Young Americans 6. Hang On To Yourself 7. Fame 8. Stay 9. The Jean Genie 10. Modern Love David Bowie - lead vocals, guitar, saxophone Earl Slick - guitar Carlos Alomar - guitar, backing vocals, music director Carmine Rojas - bass guitar Tony Thompson - drums, percussion Dave Lebolt - keyboards, synthesizers The Borneo Horns: Steve Elson - saxophones Stan Harrison - saxophones, woodwinds Lenny Pickett - saxophones, woodwinds Backing vocals George Simms - backing vocals Frank Simms - backing vocals