初来日から14年を経て、初の全国ツアーを実現させた1982年のスティーヴィー・ワンダー。その象徴公演を最高峰更新マスターでセットした決定盤が登場です。そんな本作に収められているのは、1つのショウの2つの放送記録。「1982年11月5日:日本武道館」公演のFM放送サウンドボードをDISC 1、TV放送プロショットをDISC 2に配した2枚組です。スティーヴィーの初来日は1968年に遡りますが、基本的にはイベント的な単発公演がメイン。10公演以上をかけて全国を巡るようになったのは80年代に入ってからでした。まずは、そんな当時の来日日程を俯瞰し、本作のポジションを確かめておきましょう。・10月28日:福岡国際センター・10月29日:愛知県体育館・10月31日ー11月2日:大阪フェスティバルホール(3公演)・11月4日:日本武道館・11月5日:日本武道館 ←★本作★・11月6日:横浜文化体育館・11月8日:宮城県スポーツセンター・11月9日:郡山市総合体育館 以上の全10公演。その中でもハイライトだったのが日本武道館2DAYSであり、2公演目はラジオ/テレビで放送されて定番化。本作は、その双方をベスト・マスターでセットしたものなのです。それでは、それぞれ個別にご紹介していきましょう。DISC 1:長尺FM放送のベスト・マスター まず登場するのはFM放送版を収録したサウンドボード・アルバムです。このライヴはラジオ/テレビで内容が異なりますが、実はひと口に「FM版」とは言っても放送違いで何種類かあります。このディスクに収められているのは、その中でも長尺放送。50分尺の短尺放送が有名だったりしますが、本作は約70分もあるのです。その内容も特濃。当時はベストアルバム『ORIGINAL MUSIQUARIUM I』がヒットする中での来日でしたが、当時の新曲「Do I Do」「Ribbon In The Sky」「That Girl」を筆頭にヒット曲が次々と演奏される。もちろん、後述するTV放送版よりも長いわけですが、その一方で互いに未収録の曲もある。ここでFM放送/TV放送のセット内容を整理しておきましょう。FM/TV双方に共通している曲・My Cherie Amour/That Girl(★)/Sir Duke(★)/Do I Do(★)/Superstition(★)/Master Blaster (Jammin')(★)/Happy Birthday 各放送の個別曲・FM放送版(DISC 1)Uptight (Everything's Alright)/A Place In The Sun/Signed, Sealed, Delivered I'm Yours/I Wish(★)/You Are The Sunshine Of My Life(★)/Ebony & Ivory・TV放送版(DISC 2)Ribbon In The Sky(★)/Living In The City(★)※注:「★」印は『ORIGINAL MUSIQUARIUM I』の収録曲。DISC 2:黄金時代が鮮やかに甦るTV放送プロショット 長尺な新発掘マスター FM放送版のベスト・マスターに続くのは、TV放送版のベスト・マスター。TV放送版は以前から人気だったのですが、本作はそれとは異なり、さらに3分長い新発掘マスターです。もちろん、長さだけでなくクオリティも絶品。同じように当時のエアチェック・マスターなわけですが、ダビング痕やヨレはほとんどなく、白線ノイズも見当たらない。80年代らしさと言えばやや暗めなくらいで、デジタル全盛の現代の眼にも鮮やかな美麗マスターなのです。そして、そんな映像美で描かれるショウがまた素晴らしい。前述のようにFM放送版より短いものの、目で観る説得力はやはり強力。御大スティーヴィの脇を固めるのは相棒のネーサン・ワッツ(ベース)を筆頭に、キャロル・キングやマーヴィン・ゲイとも共演してきたノーラン・スミス(トランペット)、デヴィッド・ボウイやイギー・ポップでもお馴染みのデニス・デイヴィス(ドラム)、ジャズ界で活躍するリック・ズニガー(ギター)等々、当代きっての名手ばかり。しかも、女声コーラスも含めた全員が『HOTTER THAN JULY』にも参加しており、ピッタリと息のあったアンナサンブルで魅せてくれる。ドラムソロではスティーヴィ自身がスツールに座ってデニスとバトルを繰り広げ(映像処理も必見)ますし、ハイライトでは日本語「トテモ愛シテル!」で観客とかけ合う。「Living For The City」ではスティーヴィが倒れ込む熱演を見せ、スタッフが駆け寄ったり……。大ラスの「Happy Birthday」では武道館の空間に「HAPPY BIRTHDAY MARTIN LUTHER KING」の電飾が輝き、観客と一体になっての大団円を迎えるのです。黄金時代の薫りにむせ返る編集や懐かCMの数々そんなショウだけでなく、番組そのものが発散する時代感も必見。例えば、日本武道館のスティーヴィが「Do I Do」を歌い始めるとスポンサー・クレジットが容赦なく割り込み、そのままシームレスに砂漠の映像に変わる。何事?と思うと、実はカセット・テープのCMだった……。そして、次のCMではBGMに「Ribbon In The Sky」が使われ、そのまま日本武道館の歌声へとシームレスに繋がっていく。CMとライヴが行ったり来たりするという面白いけれども、今では考えられない豪快な演出が施されています。中盤にはインタビューシーンも入るのですが、そこでの質問はただ1つ「スティーヴィ!太陽って、どんなものだと思う?」。スティーヴィ・ワンダーが音楽界の伝説ではなく、そのメッセージが生きて輝いていた時代の空気感が漂う。そして、極めつけはラスト。観客達が武道館を後にするのですが、そこには日本の著名人も。忌野清志郎、かまやつひろし、福田一郎、河村ひさし、甲斐智枝美……。今は亡き人たちが今見たばかりのショウに目を輝かせ、その感動を熱っぽく語るのです。音楽シーンの頂点に登り詰め、ここ日本でも洋楽文化の象徴となっていた80年代のスティーヴィー・ワンダー。そのFM放送/TV放送をベスト・マスターでセットした決定盤です。黄金時代の生演奏というだけでなく「洋楽黄金時代の日本」そのものを自宅に運んでくれる2枚組。「1982年11月5日:日本武道館」公演のFM放送サウンドボード/TV放送プロショットをセットした2枚組。どちらも以前から知られる大定番ですが、本作は過去最長を更新するベスト・マスター。特にライヴアルバム篇は約70分に及ぶステレオ・サウンドボードで、TV放送版にはない名曲もたっぷりです。映像篇も目で観る説得力は絶大で、洋楽黄金時代だからこその芸能人コメントや懐かCMの数々が胸アツ。濃厚な80年代の薫りにむせ返る絶対セットです。Budokan, Tokyo, Japan 5th November 1982 STEREO SBD/PRO-SHOT UPGRADE CD(68:52) FM BROADCAST RECORDING 01 Uptight 02 A Place in the Sun 03 My Cherie Amour 04 Signed, Sealed, Delivered I'm Yours 05 That Girl 06 Sir Duke 07 I Wish 08 You are the Sunshine of my Life 09 Ebony & Ivory 10 Do I Do 11 Superstition 12 Master Blaster 13 Happy Birthday 14 Interview STEREO SOUNDBOARD RECORDING DVD 1. Intro 2. Do I Do / CM 3. CM / Ribbon In The Sky 4. That Girl 5. Superstition 6. Interview 7. CM 8. Living For The City 9. Sir Duke 10. My Cherie Amour 11. Master Blaster (Jammin') 12. Member Introduction 13. CM / That Girl 14. Happy Birthday 15. Outro PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.50min. Stevie Wonder - Vocal, Keyboards, Drums Benjamin Bridges - Guitar Richard Zunigar - Guitar Jeff Clayton - Tenor Saxophone Henry Redd - Alt Saxophone Larry Gittens - Trumpet Nolan Smith - Trumpet Nathan Watts - Bass Dennis Davis - Drums Earl Derouen - Percussion Isaiah Sanders - Keyboards Shierley Brewer - Vocals Melody McCully - Vocal Alexandria Brown - Vocal