日本はS&G大国。残念なことに二人のデュオとしてのリアタイ来日は実現しませんでしたが、1974年にポール・サイモンの来日が実現したのを皮切りとして現在に至るまで二人としても、それぞれ単独でも何度となく来日(アートに至ってはお忍びで来日したことすら)が実現しています。サイモンのソロでの来日としては二度目となった1991年は初めて東京ドームでの公演が実現。当時は「GRACELAND」と「THE RHYTHM OF THE SAINTS」のワールドミュージック路線が大ヒットを記録、ソロにおいてもかつてないほどの成功を収めていた時期。前年に大晦日には日本の国民的テレビ番組への出演を中継ながらも果たすなど、我が国でも人気が再燃。おまけにバブルの末期となればスーパースターと呼べる彼のコンサート会場に東京ドームが選ばれたのは必然とも言えたのです。そしてこの東京ドーム公演は91年の来日公演の最終日でもあった。幸いにもこの日はテレビ用の撮影が行われ、一時間を超える枠で放送されたことも当時のサイモンのスーパースターぶりを物語っていたのではないでしょうか。とはいえ80分枠の放送に際して「The Boy In The Bubble」を始めとしたコンサート序盤のレパートリーがカットされているのは惜しまれるところ。その反面、当日披露されたS&Gの曲がすべて収められているのがS&G大国の日本ならでは。もっとも「Bridge Over Troubled Water」だけは途中からレゲエに切り替わるという当時のサイモンの好みを判明したアレンジが施されていて、これには当時からファンの間で賛否両論がありましたが、30年経過した今になって聞いてみてもちょっと気恥ずかしい感が否めません。やはりこの時期は「GRACELAND」と「THE RHYTHM OF THE SAINTS」という大成功を収めた二枚のアルバムからのレパートリーのステージ映えが凄まじく、それこそがこの時期のサイモンを象徴するものかと。何と言ってもこの映像の見どころは、そうした当時の最新作からの曲をサイモンが実に楽しそうに歌ってみせるところ。その姿は余裕たっぷりであり、「Proof」のブレイクでは野球好きのサイモンが客席で阪神タイガースの帽子をかぶった女性ファンを指してみせる(1982年のS&Gでの甲子園で自身もかぶっていた)など、日本に向けてのサービス精神まで見せてくれる。それにスティーブ・ガッドやマイケル・ブレッカーといった職人ミュージシャンに加え、この時期ならではのワールドミュージック系ミュージシャンとの組み合わせが絶妙で、賑やかな大所帯バンドという構成がまた東京ドームのような大会場でのステージに映えた。正に絶頂期ならではの余裕に溢れたライブを日本で披露してくれた記録なのです。テレビ放送ということからYouTube上でも見られる映像ではありますが、今回は当時の放送を録画したVHSマスターの提供をいただき、それとは比べ物にならないほどのクオリティ(音声はもちろんステレオ)で懐かしの来日公演を再現します。1991年の来日と言えば、つい最近のような気がしますが何と30年前!Tokyo Dome, Tokyo, Japan 12th October 1991 PRO-SHOT★過去最良のクオリティ (81:23) 1. Live Digest 2. Kodachrome 3. Born At The Right Time 4. Me And Julio Down By The Schoolyard 5. Bridge Over Troubled Water 6. Proof 7. Graceland 8. The Obvious Child 9. CM 10. Loves Me Like A Rock 11. Diamonds On The Soles Of Her Shoes 12. You Can Call Me Al 13. Still Crazy After All These Years 14. CM 15. America 16. The Boxer 17. Mrs. Robinson 18. The Sound Of Silence 19. End Credit 20. CM Paul Simon - Vocal, Guitar John Selolwane - Guitar Ray Phiri - Guitars Vincent Nguini - Guitar Richard Tee - Piano, Vocals Armand Sabal-Lecco - Bass Steve Gadd - Drums Cyro Baptista - Percussion Dom Chacal - Percussion Mingo Araujo - Percussion Sidinho Moreira - Percussion Tony Cedras - Accordeon, Keyboard, Guitars Chris Botti - Trumpet Michael Brecker - Saxophone, EWI Reginald 'Briz' Brisbon - Background Vocals The Waters - Background Vocals Barney Rachabane - Saxophone, Pennywhistle PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.81min.