ロジャー・ダルトリーの仕切りによって毎年恒例のイベント『TEENAGE CANCER TRUST』が今年もロイヤル・アルバート・ホールにて行われ、ザ・フーとしてのステージが実現しました。なお、この3日後に引き続き同会場で開催されたライブを引き金として、皆さんご存知の「ザック・スターキー解雇」が一時的に報じられてしまうこととなりましたので、本ライブ映像はその1つ前のライブとなっています。(なお、本ライブ映像とは直接関係がありませんので詳細は割愛しますが、ザックの特徴であるドラムサウンドの大きさが過度であるということや、彼が3日後のサプライズ曲となった「Song Is Over」のリハーサルの様子をインスタグラムで生中継したことがロジャーの怒りに触れたとされています)近年のフーはオーケストラを引き連れて『TOMMY』を中心にした構成のライブが中心となっていましたが、今回は久しぶりに『TOMMY』から解き放たれて往年の名曲を散りばめたマニア感涙モノのセットリストとなっています。中でも大きな話題を呼んでいるのが21年ぶりの復活を遂げた「Love Ain't For Keeping」のライブ演奏。しかも往年のエレクトリックなライブアレンジではなく、アルバム『WHO’S NEXT』収録のアコースティックなバージョンに近いアレンジで演奏されているのが実に新鮮で魅力的。しかも前後で「Bargain」や「Behind Blue Eyes」といった『WHO’S NEXT』関連の曲が多く取り上げられているのもまた魅力的かと。その撮影はアルバート・ホールのバルコニーから撮影されたもので、当日のステージ全景が見渡せるアングルとなっていて実に見やすい。というのも正面からのアングルで例えばロジャーやピートばかりを捉えたアングルだとしたらむしろ単調で飽きてしまうのですが、ここでは一つの画面にステージ上のあらゆる光景が収められているので見飽きるという事がまったくない。それに画質も音質も最高レベルであり、まだライブから一週間も経っていない最新ライブ映像としては申し分ないクオリティであることを保証します。とはいえロジャーも御年81。「I Can See For Miles」や「My Generation」では思いっきり歌の構成を間違えてしまっているのですが、それに一切動じず、むしろ笑い飛ばしているのが流石。それ以上にバンドも動じることなく演奏を続けている様子までもがこのアングルのおかげでしっかり捉えられている。一方ピートもフィナーレ「Tea & Theatre」のイントロをやり直していますが、これもまた冷静そのもので微笑ましいほど。その「My Generation」は演奏の終盤から「Cry If You Want」へと切り替わり、さらに「See Me, Feel Me」に移る展開が非常に効果的でした。このように非常に見やすいアングルにて捉えられた最新ライブは非常に和やかな雰囲気の中で行われており、次に予定されている夏のイタリアでの二公演に対する期待も高まるというもの。何より久しぶりに往年の名曲が散りばめられたセットリストが本当に魅力的。しかもマニア感涙のレアな「Love Ain't For Keeping」まで登場という見応え十分の最新ライブ映像です。Royal Albert Hall, London, UK 27th March 2025 AMAZING SHOT!!! 1. Intro 2. I Can't Explain 3. Substitute 4. Who Are You 5. The Kids Are Alright 6. I Can See For Miles 7. Bargain 8. Pinball Wizard 9. Love Ain't For Keepin' 10. The Seeker 11. Behind Blue Eyes 12. The Real Me 13. 5:15 14. I'm One 15. Love, Reign O'er Me 16. My Generation 17. Cry If You Want 18. See Me, Feel Me 19. Eminence Front 20. You Better You Bet 21. Baba O'Riley 22. Won't Get Fooled Again 23. Tea & Theatre COLOUR NTSC Approx.115min.