本作はコージー・パウエルが1983年に発表した3rdソロ「OCTOPUSS」の貴重なデモセッション音源を、コージーが所蔵していた3本の"EMI Britannia Row Studio"テープより起こしたもの。ここへ入念なリマスター・トリートメントを施す事で、歴史的な音源を楽しむのにふさわしい極上のサウンドを実現し ています。そのクリアさたるや、開け放たれたドアからスタジオの中へ入ったようなダイレクトサウンドで、聴き手は目の前でコージーがプレイする姿を見ている気持ち になるでしょう! これを聴いた後では、既発は部屋の外から窓越しに様子を覗いていたようなもの。特に「Rattler's Revenge (Up On The Downs)」や「Princetown」等では、細やかな楽音再現に驚いてしまうでしょう。また、本作では絶対に聴き逃せない要所が、以下の三つに大別できます。まず最初は「OCTOPUSS」でも最大の聴き所となった、ロンドン交響楽団との共演である「633 Squadron」から「The Big Country」への3曲メドレーを、それぞれ構築の段階で垣間見られる事です。「633 Squadron (Orchestra Rehearsing)」では、ロンドン交響楽団による音合わせと指揮者による楽団への指示が生々しくワイドな録音で収められており、聴き手自身がまるで楽団の一人として席についているような気持ちにさせられます。続く「Octopuss (Bass & Drum Machine)」では、コリン"ボマー"ホッジキンソンがドラムマシンのリズムに乗せて、WHITESNAKEでも聴かせたような、独特の太く弾むようなベースラインを披露しています。メドレーの最後に当たる「Big Country」では、まず始めにオーケストラのリハーサルを「633 Squadron」と同じリアルな現場サウンドで収録しています。 指揮者の指導ひとつで演奏の表情が見事に異なるストリングスの音色は必聴です。「Big Country (With Cozy)」では、こうして得られたオーケストラのバックにコージーがドラムを載せたミックスで、完成版に近い仕上がりながら、ミックスやアレンジの違いがとても興味深いです。そして二つ目が「The Rattler」のセッションテイクを、メンバーの視点を変えるように4テイクも聴ける事です。コージーとWHITESNAKEを結んだこの曲は、ギフ ト・タイトルとして話題を呼んだ「THE RATTLER: THE END OF SINNERS」においてライヴテイクを聴けました。本作でもWHITESNAKEとほぼ同じメル ギャレー、コリン ホッジキンソン、そしてジョン ロードというラインナップが、まるでスタジオライヴを聴かせるようなタイトさで、各々の持てる力量を発揮しています。Version 1ではコージーのドラムが大きく目立つミックス。続くVersion 2になるとメルのギターがぐっと前面に出て、コージーのドラムと対等に渡り合うようになります。さらにVersion 3ではコリンのベースが、最後のVersion 4ではジョン・ロードのキーボードが大きくフィーチャーされる、というように4テイクでそれぞれ異なるミックスが試みられています。全てのテイクにおいて英国ロックの魅力が極上の旨みで溢れ出す! 同じ素材でもフィーチャーされるメンバーという"スパイス"が替る事で、ファンクな風 味からブルージーなコク、さらにはDEEP PURPLEフレーバーと、多様な味付けでこの絶品の「料理」を味わえます!さらにラストでは特別なボーナスとして、コージーの「OCTOPUSS」とほぼ同時期に製作されたジョン・ロードのソロアルバム「BEFOR I FORGET」より、「Tender Babes」のラフ・ミックステイクを追加収録。このテイクは「OCTOPUSS」と同じく、コージー所蔵のテープに収録されていたもの。今回リリースされる「BEFORE I FORGET ROUGH MIX」にもほぼ同様のテイクが収録されていましたが、「OCTOPUSS」のラフミックス・テイクを網羅する本作においても、本音源は違和感ありませ ん。アルバムに収録されたものとほぼ同じ仕上がりですが、完成直前のテストミックスらしく、コージーのドラムの入りが完成版と較べて若干早いほか、より生々しさを感じる音色など、微細ながらデモならではの差と面白さを感じます。コージーとジョンが共演した「BEFORE I FORGET」と「OCTOPUSS」は、製作の背景や参加ミュージシャンなど関連する部分が多く、同時期のWHITESNAKEヒストリーにも深く関わ ります。両者を併せて聴く事で、彼らの'82~'83年にかけての活動が、より深く理解できるでしょう。「BEFORE I FORGET ROUGH MIX」とともに、じっくりとお楽しみ頂きたい一本です!
Recorded in Britannia Row Studios, London, UK September & October 1982 STEREO SBD(from Original Masters)
1. Rattler's Revenge (Up On The Downs) 2. 633 Squadron (with Cozy Powell) *3. 633 Squadron (Orchestra Rehearsing) * 4. Octopuss (Bass & Drum Machine) 5. Big Country (Orchestra Rehearsing) * 6. Big Country (with Cozy Powell) * 7. Formula One (Backing Track) 8. Princetown 9. The Rattler (Version 1)
10. The Rattler (Version 2) 11. The Rattler (Version 3) 12. The Rattler (Version 4)
Cozy Powell - Drums Mel Galley - Guitars Colin Hodgkinson - Bass Jon Lord - Keyboards
* with John Du Prez & London Philharmonic Orchestra
13. Jon Lord - Tender Babes(Test Mix)
Taken from Britannia Row Studios cassette tape which belonged to Cozy Powell
Jon Lord - Keyboards Cozy Powell - Drums Neil Murray - Bass